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傍から見たらコマ送りみたいなもの

 しかし、実際自分の事も常識やらの知識もない状態でほっぽり出されていたのだから、致し方ない部分もあるのではないだろうか? 情報収集の相手が戦闘民族だったりしたせいであってむしろ自分としては理性的に振る舞えるんじゃないかと思っているのだが。


「それに付き合ってる時点で理性的っていう単語からかけ離れているわけなんだけれど?」

「大体誰が戦闘民族だ!」

「そこは否定できないんじゃないかしら?」

「うるせぇ」


 悲しい突っ込みを受けつつも、戦闘民族には概ね同意が貰えたらしい。まあ誰だって状況を聞いてみればバトルジャンキーだの戦闘民族だのといった単語が浮かぶに違いない。結果が死屍累々(死んでない)なわけだけれども、人数がいけなかったのだ。


「まあ、これだけの人数相手にするからって無意識とはいえ人間相手に、それも街中で強化術を使うのは悪い事よ」

「あん? そいつは強化術なんぞ使ってないぞ? だからこいつら皆で突っ込んでいったんじゃねぇか」

「へ?」


 そうそう、そういえば森の帰り道(自分としては未知の道だったが)で言っていたなぁ、そんな事。自分自身でもわかっていないが、どうやら強化された身体能力なら仕方ないと思っていたこともいくらかあるのだが、ヘリオさんが観るには使っていないらしい。


「嘘でしょ? だって中型の魔物から走って逃げたって……」

「あーなんだ、どっちにとっても見せた方が早ぇだろ」


 言うや否や、ヘリオさんの雰囲気が一気に変わった。今度のこれが戦闘準備だとしたら、先ほど打ち合った時の雰囲気などは準備運動中ですらないのではないか、そう思うほどにオーラのようなものが立ち上っている。


 と、まるでぶれるようにしてヘリオさんが動く。なんとかぎりぎりで目に追える程までに速くなった動きは、しかし目で追えるなら対処ができるという事でもある。


 鋭く頭部に向けて繰り出される突きを往なしながら、手応えとしては打ち払わなくても当たる直前で止められていたことを伝えてくる。とはいえぎりぎりで反応できる程度の恐ろしい速さで突かれて、とっさに反撃していた剣はそのまま振り抜けば首を飛ばすコースであった。


 ぴたりと首に添える位置で剣を止めながら、今起きたことについて考える。圧倒的な身体能力の向上は、先ほどの比ではない、どころか下手をすれば打ち負ける可能性すら出てくるだろう。少なくとも手加減をしながら地面に転がすなんてことはおそらく出来ない。


 なるほど、これが強化術というやつか。確かにこれならあのイノシシみたいななまもの相手でも人間が勝利できる訳だ。ついでに言うと隣で唖然とした雰囲気で固まっているカラさんが無意識なりなんなりで自分が強化術を使っていたという推測もうなずける。


「……まさかとは思ったが、これでも対応されるわけか。冗談みてぇな話だな」

「冗談みたいな話はあなたの方よ! 悪いって言ったそばから何やってるの! そりゃ今のを見たら言いたいことはわかるけど、この常識知らず達!」


 ……あれ? こっちまで飛び火してきてないです?

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