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運は、制度を変える勇気を持たない者には、

わたしは、はっきりと言いたい。

運は、制度を変える勇気を持たない者には、その裁定を変えようとはしない。

天も、自ら破滅したいと思う者は、助けようとはしないし、助けられるものでもないのである、と。


「若干の序論と考慮すべき事情を述べながらの、資金援助についての提言」


この警句は、マキアベリ氏の『政略論ディスコルシ』第1巻冒頭部に置かれた「資金援助についての提言(若干の序論と考慮すべき事情を述べながら)」である。

この部分は、単なる財政論ではなく、国家の衰退を防ぐための制度改革の必要性を説く「序論」的役割を果たしている。


◎ 「資金援助についての提言」の核心

(1)国家は「制度の腐敗」を放置すれば必ず衰退する

(2)その、衰退を止めるには「制度改革」という「外科手術」が必要になる。

  制度は自然治癒しないので、勇気ある改革者(医者)が必要になる。

  しかし、改革者が、勇気をもって改革を実行しない場合は、運はその国家を見捨てる 。

(3)「資金援助」は、腐敗した国家が外部に依存して延命しようとする愚行

  理由は明確で、外部資金は国家の自立性を奪い、腐敗した制度を温存し、改革を遅らせる。

  結果として国家の破滅を早める。

  つまり、「資金援助」問題は、制度改革を避ける国家の「逃避」の象徴 である。


◎さて、なぜ「運」は改革しない者を助けないのか。

 マキアベリ氏は、『君主論』でも『政略論』でも一貫して、、運は、準備のある者に味方する   

という立場を取る。

 したがって、制度改革を怠る国家は「準備のない国家」であり、準備のない国家は運に翻弄され、運に翻弄される国家は滅びる、という論理になる。


◎ 古代ローマの参考事例(『政略論』が依拠する素材)

(1)成功例:ローマの「護民官制度」創設

  貴族と平民の対立が激化したとき、ローマは制度改革として護民官を設置した。

  これにより、国家は内乱を回避し、長期的安定を得た。

   勇気ある制度改革が国家を救った典型例になる。

(2)失敗例:ローマ末期の腐敗と外部依存

  元老院の腐敗、軍隊の私兵化、外部勢力への依存(同盟国の軍事力に頼る)が顕著化した。。

  これらは、マキアベリ氏が「改革を怠った国家の破滅」として批判する典型。


◎マキアベリ氏の警句を現代で考えてみると、

(1)外部資金(国債・補助金・財政出動)で制度の欠陥を覆い隠すと、腐敗は進む。

  社会保障制度、行政組織、地方自治、政党政治等、制度疲労を「金」で覆い隠す。

  つまり、改革の先送り → 破局的負担増 → 制度崩壊 という道筋をたどるリスクが高まる。。


(2)改革の遅れは「運」に見放される。

  人口動態、国際環境、財政状況など、外部環境(運)は待ってくれない。


そして、「制度改革を怠る国家は、運の変転に耐えられず破滅する 」というのがマキャヴェッリの警句である。


以上国家について書いたけれど、個人にも、十分通用する警句と思う。

病気や生活等の諸問題について、改善する勇気を持たない、または「どうなってもかまわない」と破滅を望むような人に、助けを与えるにしても、限界があるのだから。

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