第58話 いいね
とりあえず、設定はこれでいいはず……
うん、記念すべき最初の投稿は何にするかな……
いきなりSSを上げるのもな……
そもそもSS機能、複雑すぎて時間かかりそうだし。
別に交流目的でもないし、
そもそもフォロワーなんていないし。
使い方としては違うのかもしれないけど、
俺のMMO記録帳にでもするか……
そうと決まれば……
ちょっとログインして、何かしてくるか。
本日は○○ダンジョンに3回いきました。
……と、ポチ。
うん、こんなもんでいいか。
これを積み重ねたら、あとで何回どこへ行ったかわかるしな。
次の日。
本日は〇ダンジョンに1回、
○○ダンジョンに2回いきました。ポチ。
次の日。
本日は〇ダンジョンに2回いきました。ポチ。
次の日。
……いや!
BOTか!?
俺はBOTなのか!?
流石におかしいぞ!
まるで天気予報BOTみたいになっとるやんか!
これじゃダメだ……
いや、何がダメかもわからんが、ズレてるのだけはわかる。
「……一回、SSでも投稿してみるか……」
うん、そうしよう。
SS機能がめんどくさいとか思ってる場合じゃない。
別に下手でもいいじゃないか。
そもそも前に他の人のを見た時、
皆上手すぎてビビってただけだ……
BOT逃避はここまでにしよう……
とりあえず……
うん、変に風景とか気にするからダメなんだな。
後ろを壁にして、
ただ立ってるだけのSSでもいいじゃないか……
誰に何か言われるわけでもないのにな。
よし、ここで……
もう光調整とかは気にしない。
ただ突っ立ってるだけのSSが、
一番俺らしいじゃないか。
パシャ。
うん、なんの変哲もないSSだ。
投稿……ポチ。
なんか、何もしてないのにちょっと疲れたな……
少し横になるか……
今日はもうダンジョンはいいや……
ピロリン
ん?
おっと、横になって寝てたらしい。
スマホの通知か……
どれどれ……
「……え?」
思わず、声が出た。
○○さんが、あなたのポストにいいねしました。
ただの1いいね。
ただそれだけなのに。
涙が止まらない。
なんで?
全く知らない人だ。
同じMMOをしてるのは、アイコンで判断できる。
わからない。
この人は俺のことなんて知らない。
ただ、いいねしただけなのに。
ちょっと、背中を押された気がした。
そんなつもりはないのはわかってる。
ただ、自分が助かりたいだけだ。
良いように解釈したいだけ。
でも、涙が止まらなかった。
たった、いいねがひとつ。
それだけなのに。
その日はログインせずに、
泣く日だった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
少しでも合いそうでしたら、ブックマークや評価をいただけるとありがたいです。




