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1/96〜男女比1:96の貞操逆転世界で生きる男刑事〜  作者: Pyayume
第一章「110番」

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第6話「異分子の配属」

「佐藤警部補は本日、捜査第一課特務捜査係での勤務を命ぜられました!」


4月1日、俺は捜査第一課長室で勤務命免を受け、特務捜査係に配属になった。


ちなみに、この世界でも階級制度や職名は前世と同じだった。


警視庁本部の所属であれば、巡査、巡査部長、警部補(主任)、警部(係長)、…となる。


警察署の場合は係長が警部補、警部は課長代理だ。


「あまり気負わず、勤務してくれて構わない。なにしろ特務捜査係は君のために作った係だ。警察組織なんつーのは一部を除けば女所帯だから、焦らずゆっくり馴染んで欲しい。」


目の前には捜査第一課長である50歳程の利発そうな女性、竹村課長が柔らかくそういった。


しかし、声色の雰囲気とは裏腹に目は笑っていない。


「はい!早く戦力となれるよう、粉骨砕身の覚悟で努力いたします!」


「くれぐれも無理しないようにね」


---


庶務担当の女性に案内された警視庁捜査一課の部屋は、在室している者もまばらであった。


さらに、予め資料で見ていた課員数に対しては大分席が少ないように感じた。


「執務中失礼します。本日付けで当課に配属になる佐藤警部補からご挨拶があります。」


凛とした声で紹介されると、部屋にいた課員が一斉にこちらに向いた。


明らかに歓迎の視線は無く、好奇や侮蔑といった表情が浮かんでいる。


始めての男性であり、警大組キャリアの人間がそう簡単に受け入れられるとも思っていない。


「業務中失礼します!本日、捜査第一課特務捜査係を命免しました佐藤と申します!早く皆様の戦力となれるよう一生懸命頑張りますので、よろしくお願いいたします!」


短く挨拶を済ませ、一礼をするとまばらな拍手が起こった。


「それでは、業務にお戻りください。」


庶務の女性はそういうと、自席に戻っていった。


---


「佐藤主任、君の席はこっちだ。」


そういわれて振り返ると、きっちりとしたスーツに身を包んだ身長150㎝程でショートカットに鋭い目をした女性が居た。


年の頃は三十代半ばといったところか。


「まぁ席という大層なものではないがな。」


そう言われて案内されたのは一課の大部屋の隅にある10畳ほどの小部屋だった。


棚には備品が雑においてあり、倉庫のような雰囲気を醸し出している。


部屋の中央にはコの字型に置かれた席が5つあった。


「特務捜査係長の山崎玲奈だ。私の席がここで、君の席は私の左手だ。」


そう言いながら山崎は誕生日席に座った。


「佐藤主任も座っていいぞ、荷物整理とかあるだろう」


「それでは、失礼します。」


---


「佐藤主任、ちょっと聞きたいことがあるんだが」


荷物整理も中盤に差し掛かろうというところで、山崎から話しかけられた。


俺は思わず手を止め、「なんでしょうか」と山崎の方に振り返ると、俺を珍しそうに眺めていた。


「あ、いや、手を止めてもらうほどのことじゃないから、作業しながらで良いよ。」


「それでは失礼して作業しながらにしますね。」


俺は荷解きを勧めながら山崎の声を待った。


「予め言っておくが、答えたくない質問には答えなくていいから。」


そう言うと、山崎は少し強張った様子で質問を投げかけてきた。


「佐藤主任はここが怖くないか?」


「えっと、どういう意味でしょうか?」


「ほら、女の私と二人きりだろう。今は君のSPもいない状態だ。」


山崎は俺をこの世界における普通の男性だと思って気を使っているようだった。


「係長のように気遣いに溢れた素敵な女性なら大丈夫ですよ。それに警大時代の女性達で慣れてますし…」


と、話したところ、山崎は耳まで真っ赤にして口をぱくぱくさせていた。


「そ、そうか!しゃ、しゃ、社交辞令として受け取っておくぞ!」


「お任せしますね。」


俺の言葉に山崎は再度顔を赤らめ、時折小さく呻いていた。


「係長、話変わりますけど、係長の出自というか、畑はどこなんですか?」


山崎は、俺の質問にようやく平静を取り戻したようだ。


「まぁ刑事畑かな、強行と知能が半々で盗犯がちょろっとって感じだよ。」


「凄いですね!今度ぜひお話しゆっくり聞かせて下さいね!」


「んっ!?それって、どういう…」


ガチャリ


山崎が俺の言葉で再度動揺した瞬間、部屋のドアがいきなり開いた。



そして、そこには不機嫌そうな顔の二人の女性が立っていた。

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