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レミ

 あれ以来、ベン爺さんと共に山や森に入るようになった。

 最初は毎日入っていたが、ベン爺さんにこのままだと山の鹿がいなくなっちまうと言われ、隔日で入るように変わった。


「むやみに殺してはならねえ。必要な分だけ、最小限だけ。偽善と言われるだろうが、それだけ重いものを俺達は頂いているんだ」


 それがベン爺さんの口癖だった。

 今日も解体した鹿を持って、夕方頃村へ戻る。

 すると、一人の少女が声をかけて来た。


「あっ、レイルさんですよね。この間は鹿のお肉ありがとうございます!」


 と頭を下げてきた。

 誰だ?


「あっ、誰か分かりませんよね。アランの妹のレミです! これ、お礼です。うちで作っているんですよ」


 と、でかいかぼちゃを渡される。

 青く綺麗な髪を肩までで揃えた小柄な少女。

 整った顔立ちは確かに少しアランに似ていた。


「アランの妹か。別に気にしなくていい」


「お兄ちゃんから聞いてます。凄い狩人だって。森に入っているなら、パラミという果実を知りませんか? もうすぐ兄の誕生日で……食べさせてあげたいんです」


「知らないな。ベン爺さんなら知っているだろうが、俺はまだ新米狩人だからな」


「そうですよね。まだ時間はあるのでゆっくり探してみます! お兄ちゃんには秘密ですよ!」


 とレミはかぼちゃを渡して去って行った。

 今日は酒場に、鹿を卸すか。

 酒場で向かっていると、ソフィアとアランが酒場の前で話している。

 アランは剣を腰に下げている。最近知ったが、彼はどうやら村の門番をしているようだ。


「あっ。レイル君また鹿を獲ったんだねえ。凄いや」


「たいしたことはしていない」


「毎日のように獲るのは凄いよ。僕ももう少し弓もつかえるようになりたいんだけどねえ。門番をしているのに、剣も弓もさっぱりなんだ。剣を振るうのも、戦うのも怖くて……」


「あんた昔から臆病だもんねえ。門番にも向いてないと思うわ。レイル、そのかぼちゃどうしたの?」


「レミという少女からもらった」


「ああ、レミと会ったのね。何か言ってた?」


 ソフィアに聞かれて考える。

 たいしたことは話していないが……秘密と言われたな。

 言わない方がいいだろう。


「秘密だ」


「秘密? あんたが珍しいわね。変なこと話してないでしょうね?」


 ソフィアの言葉に大きく反応したのはアランだ。


「ええ!? レミにいったい何を!? いくらレイル君でも、妹に手を出したら……!」


 と血走った眼で言う。


「止めなさい、馬鹿ね。この朴念仁にそんな甲斐性はないわ」


「そ、そうだよね。ごめん。レミは僕の宝物だから……。うちのかぼちゃはレミが頑張って作っているから是非食べて欲しいな。僕は仕事に戻るよ」


 アランはそう言うと、門へ戻っていった。


「あいつ、いいやつだけど重度のシスコンなのよ。妹関係以外ではまともなんだけど」


「そうだったのか……」


 知らなかった。


 俺はそのまま酒屋に入る。


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