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始末

「この程度の村の殲滅にどれだけかかっているんですか」


 スマイルはため息を吐く。

 既に仕事は殆ど終わっているも同然のはず。

 だが、殲滅完了の連絡が部下からない。

 何なら、部下からの連絡すらない。


「大変です、隊長! 第三小隊の者が戻ってきません!」


「何を……遊んでいるのかな?」


 第三小隊の向かわせた場所に向かうと、そこには全滅した第三小隊の姿があった。

 全て、一撃で首を刎ねられている。

 その様子にスマイルは小さく汗をかいた。


(どういうことかな? 主要な者は僕が全員殺したはずだと思うんだけど……)


 スマイルは違和感を持ち、すぐに中央の広場に戻る。


「ねえ、第二小隊は?」


 スマイルの声に反応し走って来た部下の顔色が青い。


「隊長……第二小隊が全滅しています!」


 その報告を受けたスマイルの表情が固まる。


(明らかにおかしい……居る! 何か……僕達が知らない何かが!)


「今すぐに残っている部下を全員集合させて!」


「直ちに!」


 部下はそう言って走っていくが、一向に戻ってこない。

 気付けば五十人も連れて来た部下が、目の前の数人しかいない。


「ど、どういうことでしょうか?」


 部下もすっかりこの異常事態にすっかり怯えている。

 スマイルの背中は汗でびっしょりだった。


(駄目だ……僕の部下だけが狙われている。だが、可能なのか? 僕に気配すら感じさせずに、部下だけを殺すなんて)


 考えていると、すぐ横に居た部下の方向から音がした。


「何をして……」


 スマイルが横を見ると、首が無くなって、倒れ込んだ部下の姿があった。


(いつ? 今さっきまで生きていた筈!? 居る! ここに! 俺より圧倒的に強い化物が!)


 スマイルはすっかり顔が真っ青に変わる。


「おい! どこに居る! 隠れているんだろ! 卑怯者が!」


 スマイルが周囲を見ると、数人いた筈の部下は既に全員死体に変わっていた。

 スマイルは剣を抜き、臨戦態勢を取る。


「どこだ、出て来——」


 次の瞬間、叫ぶスマイルの首が宙を舞った。

 死神の動きは、誰にも捕らえられなかった。


 ◇◇◇


 雑魚共の始末はすぐに終わった。

 けど、俺は間に合わなかったのだ。


「おい、領主の兵達が皆死んでいるぞ!」


「俺は見た! 突然奴等の首が飛ぶところを!」


 俺が奴等を始末したところは、村の皆の目には捕らえられなかったのか、騒ぎだけが大きくなった。


「おい! あの化物みたいに強い奴も死んでやがる!」


「誰がやったんだ……?」


「分からないけど……そんなのどうでもいい! 俺達助かったんだ!」


「「「「うおおおおおおおおおおおお!」」」」


 村人達の歓声が上がる。

 俺はただ、その歓声を聞きながら爺ちゃんの手を握っている。

 少しして、ソフィアが死んだような顔で現れた。


「ごめん……約束も、爺ちゃんも守れなかった」


 俺の言葉を聞いて、ソフィアの目から涙が溢れる。


「あ、謝らないでよ……だって、あんたが皆倒したんでしょ?」


「そうだ」


「なら、あんたのお陰で……皆助かったんだから……ああああああああああああああああああああ!」 


 ソフィアは爺ちゃんの遺体を抱き締め、そして絶叫した。

 俺も一緒に泣いた。

 どれほど泣いたか分からないほど泣いて、気付けばベン爺が隣に居た。


「すみません、間に合いませんでした」


「あまり、自分を責めるな。お前のお陰でこの村は確かに助かったんだ。ソフィアも、レイルも少し休め」


 そう言ってベン爺が頭を撫でてきた。

 その後、殺された村人を皆で埋葬した。

 ロクサス達と爺ちゃんが頑張ったお陰か、他の村人の犠牲者は四人だけだった。


 ロクサスも格上だっただろうに、頑張ったらしい。

 そのおかげか、ロクサス達もしっかり墓を作って貰っていた。


「死ぬまで戦ってくれたんだってな。ありがとう」


 俺はロクサスの好きだった酒を、墓に供える。

 最初は最低な奴だったが、死を覚悟してもなお村のために戦っていたとソフィアが話していた。


「どうしてそこまでしたのか。なんで俺に剣を習いたかったのか、聞けばよかったな」


 俺はそう呟く。

 爺ちゃんは好かれていたから、その墓にもいっぱいお供え物を供えられていた。


「爺ちゃん、約束は守るよ。今度こそ」


 俺は爺ちゃんの墓に、手向けの花を添えて去る。


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