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別れ

「レイル、村長の家に行くわよ」


 目が真っ赤なソフィアが言う。

 今後について、村長宅で話し合うらしい。

 家に着くと、既に村人は皆集まっていた。

 皆、一様に顔が暗い。


「集まったか。では、今後について伝えよう。今回はなぜか奇跡が起きて領主軍を撃退できたが、これ以上は厳しかろう。クリフも、ロクサス達も死んだ。若い者だけでも逃げろ、と言ってあげたいがおそらく領主軍に追われるだろう」


 村長は暗い顔で告げる。


「そんな! 子供だけでもなんとか逃げさせてやれませんか?」


「勿論、逃がすのを止めはせん。だが、五十人単位の軍がやられたんだ。次は全軍に近い人数で来るだろう」


「この間も誰かが、倒してくれたんだろう? 今回もなんとかならねえか?」


 数人が俺を見る。

 俺だと感づいている者も居るようだ。


「人数が違う。千人近い人数を殺すのは不可能だろう……奇跡を祈るな」


 村長が呟く。


「僕が、出頭するよ。僕の命で許してもらえるように頼んでみる」


 アランが真剣な顔で言う。


「意味のないことはするな。ここまで事が大きくなったら、アランの命だけでは許してはもらえん。逃げる者を止めはせん。皆、どうするか考えて欲しい。最後まで戦う者は、死ぬ覚悟を決めてくれ」


 村長はそう締めくくった。

 俺とソフィアは家に帰る。

 ソフィアはどこかに消えたかと思ったら、俺の元に一つの手紙を持ってきた。


「お爺ちゃんがあらかじめ用意していたみたい。あんたの分もあったわ」


 そうか。爺ちゃんは予め死を覚悟していたのか。

 俺は封を開けて、中を見る。


「レイルへ

この手紙を手にしているということは、残念ながら儂はもうこの世に居ないのだろう。レイル、お前まで死ぬ必要はない。村から逃げなさい。行く場所がなければ、王都のガラクタ通りのハイデマリーを頼るといい。もし、可能ならソフィアも連れて行ってくれると嬉しい。レイルがやりたいことを見つけるまで傍に居てあげたかったが無理らしい、すまんのう。レイルもソフィアもずっと儂の宝じゃ。それだけは忘れんでくれ。どうか、体に気をつけて、幸せな人生を過ごしておくれ。それが儂の願いじゃ。                           クリフ」


手紙にはそう書かれていた。

ずっと俺の心配をしているなあ、そう思ったら自然と微笑んでしまった。


「なんて書いてあったの?」


「村から逃げろ。そして、可能ならソフィアも連れて行ってほしいって。ソフィアはどうする?」


「……私は残るわ。この村を捨てられない人も多い。きっとアミラも……私だけ逃げる訳には行かないもの。ねえ、レイル。あんたはどうするの?」


 ソフィアは心配そうにこちらを見ている。

 だけど、もう俺の答えは決まっている。


「俺はこの村を出るよ」


 俺の言葉を聞いて、ソフィアは一瞬悲しそうな顔をするもすぐ笑顔になる。


「そ、そうよね……。それがいいわ! 領主が本気を出せば数千はくる。いくらレイルが強くても、一人じゃ無理だもの」


「すまないな」


「何謝ってんのよ。残る方が馬鹿なのよ、こんなの。馬鹿は少しでいいわ」


 ソフィアは自嘲気味に笑った。

 それから俺はすぐに村を出る準備を始める。

 服数着と、爺ちゃんからもらったファーと手紙。後、今まで貯めていたお金と愛刀。

 リュック一つに余裕で入った。

 外に出ると、そこにはソフィア、ベン爺、アランとレミ、店主とアミラも居た。

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