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冴えない僕が料理人になって成り上がったった  作者: 御節 数の子
第3章 ふわふわとろとろの味
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幕間 ~ルーツとハバネル視点~

荒野を走る馬車はよく揺れる。快適とはいいがたいが、木の椅子に敷かれたクッションのおかげで一般の馬車よりは幾分ましになってる。それでも揺れ自体は残る。その中でもすやすやと眠っている男をみると、不思議で仕方がない。


「これはいったい何者なんでしょうかね」


ハバネルが頭を寝ているキヅカを見ながら、いつもの笑顔を絶やさずにいった。


「何者、とは」


向かいに座る冴えない青年、第3王子のルーツは応えた。


「私も割と世界を旅にしているとは思うのですが、オオサカ国、というのは聞いたことがありません。いくら外部との交流を立っていたとしても、噂くらいは聞くものです」


「たしかに、私も一般教養で各国のことを記憶しているつもりだが、まったく聞いたこともない」


「迷い込んだ旅人でもいそうですけどね。旅人もいないような辺境にあるか、あるいは・・・」


「迷い込んだ旅人を返していないか・・・」


ルーツはちらりと寝ている男の顔をみる。


「そんな風には見えんがな」


非常に恐ろしい考えが浮かんだが、人も殺さないような男が血にまみれているようには思えない。もっとも、初対面の王子と大商人を目の前にして、しかも移動先では大役が待ち受けているのに寝ている神経の太さは、顔に似合わないことをしている証かもしれない。


「まあ、なんでもいい。とりあえず、今回の祝宴がうまくいってくれれば」


「私は情報を提供しただけですからね。どうなってもかまいませんが」


「お主は普通にそういうことを言うな」


ややあきれた様子でルーツは言った。


「私は裏表がない人間ですので。商人は正直なことが大事です」


「どうだか・・・」


ルーツはため息を飲み込んだ。こうやってルーツに懇意にしているようだが、一方で2人の兄たちにも取り入っていることをルーツは知っていた。


だが、それでもルーツに対して気兼ねなく話をする相手はハバネルくらいだ。


「ところで、どうしますか」


「どうする、とは?」


「キヅカの開発した料理はあくまで傭兵向けの安価なものです。しかも、言ってしまえば失敗してもいい状況です。下手すれば命にもかかわる可能性のある王宮での料理は経験がありません」


「まあ、確かにそうだな」


「一度、この男の実力を試してみては?」


「というと?」


「家に着いたら何か料理を作らせましょう。王宮ほどではありませんが、そこそこ食材はあります。いろんな料理ができますが、何を作るか、見たくありませんか?」


腕を組み、相変わらず笑顔で提案するハバネルだが、その目は笑ってはいない。


「そうだな。それもひとつか」


ルーツはうなずき、男の寝顔を見た。


まもなく、馬車は王都に到着する。

誤字脱字などの指摘、ご意見・ご感想、料理に関するリクエスト等あればぜひともコメント欄にコメントをお願いします。


なお、リクエストに沿えるかどうかは保証しかねますのでご了承ください。


ちょっとでも評価していただければ、筆者が喜びます。


次回から第4章・王宮編が始まります。

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