ホテルの一室で
買い食いの後はホテルへと案内された。高そうなホテルで、普段なら絶対選ばないであろう部屋だ。
「とゆうか、全員同じ部屋なんだね」
ティターニアが言うとサイスは周りを見渡す。ティターニアにフーガ。ARにAKが同室である。
「6人部屋にしてもらえただけマシですわね」
本当ならフーガだけでも分けたかったのだが、ホテル側がNOと言った為全員を一部屋にすることで了承を得ている。ディーツはもともと別部屋だったので問題にならなかった。
「すこし居心地悪いぞ」
フーガの言っていることは少しだけ分かる。自分ひとりだけ男と言うのは居心地が悪いだろう。
「そうですね…私は気にしないですけど……てティターニアさん!?気にしなさすぎでは?」
ARは驚いてティターニアに言う。ティターニアは既に裸であり、服はベッドの上に脱ぎ捨てられていた。
「あ、いや、お風呂入ろうかと……」
ティターニアがドアノブに手をかけているところでARに反応していたが、すでにサイスも下着姿になっていた。
「サイスさん……貴方もなのね…」
「いえ、私もシャワーを浴びたくて……」
そして二人はシャワールームに消えていった。ARはフーガを見てため息一つ。
「貴方も貴方で見てるんですね……」
フーガに言うと、フーガは腰に手を当て
「いや、あの状況だったら見るだろ」
ARは頭を抱えAKを見て動きが止まる。
「やっぱりAKは裸を見ると固まってしまうのね……」
ARはAKを引きずるように椅子に座らせるとフーガに向き直る。
「こうゆう状況で女性の裸をマジマジと眺めるなんてどういうつもりですか」
フーガは顎に手を当て考えると
「いや、見るなって方が難しくない?」
「3人だけのときだったらソレでも良いかもしれませんが、今は私もAKもいます!」
正直ARの言ってる事がいまいちフーガには理解できなかった。
「で?」
「でって何ですか。でって」
「いや、よく分からん事言ってるなーと」
AR的には「この男何言ってるの?」となってるが、フーガ的には「何言ってるんだこの女」となってるのである。
「やはり自動乾燥は便利ですわ。金星にも是非欲しいですわ……て何をなさっていますの?」
ARとフーガが向かい合って何か話している様だったが、サイスは首を傾げた。
「いや、二人の裸を見るな、と言われてな…?」
「あらあら。ARさんはウブなのですわね」
サイスはそう言いながらフーガに抱きつく。
「なっ」
ARが顔を赤らめ、その光景に若干引いている。
「私はもう……」
「サイスさんは……一体だれの嫁になるおつもりで?」
ARが言うとサイスはARに歩み寄り耳元で囁く。
「それは……貴方ですわ」
ARは寒気にも似た感覚に襲われ一歩飛び退く。
「ソレ以上、イケナイ!」
ARが妙なカタコトを話すとサイスはケラケラと笑っている。
「可愛らしい反応をなさるのね。どうかしら。私と……」
「それくらいにしてやれ」
サイスの言葉を遮ったのはフーガだった。
「それもそうですわね」
すぐに引くあたり、サイスも遊びだったのだろう。そのあたりが分かるあたり付き合いの長さがうなずける。
「流石に裸は恥ずかしいからせめて下着を……」
見てる側が恥ずかしいと言うのも変な話だが、ARが言うとサイスは自分を見下ろす。
「女同士なのに不思議な方ですわね」
サイスが首を傾げながら下着を身につけるとすぐにフーガのもとに近づく。
「これでいかがかしら」
サイスが色っぽい声で言う。ARは少し目線を外しながら
「ええ、良いと思う……ほら、AKも何か言いなさいよ!」
ARがAKの肩をゆらし何とか言わせようとするが、AKの意識はまだ遠いままだった。
「ARさんは面白い方ですわね」
サイスはベッドに横になりながら言う、うつ伏せになり顎に手を置く。足をパタパタと動かして柔らかな笑みを浮かべている。
「子供っぽい見た目に反して大人っぽい下着なのね……」
ARが椅子に腰を下ろしながら言う。少し落ち着いたのだろうか。
「子供っぽいってどこ見てるんだ。こんな大人なレディつかまえて」
しかしそれに反応したのはフーガだった。
「いや、確かに頭身とかは大人っぽいけど……」
「ふふっ、金星人の中でも私は低身長なのだけど……それを見てなお大人っぽいだなんて……フーガはもしかして少女が好きなのかしらね」
サイスが可笑しそうに笑みをこぼしている。
「まあ火星人としては女に惚れるってだけで異端なんだけどな」
サイスが目線を上に上げて暫く考える。
「そう言えば火星も同性愛の国でしたわね」
そう言えばそうだった。と言わんばかりのサイス。シャワーを浴びてきたからだろう、いつもは結っている髪が降ろされ、いつもと違った装いである。ちょっとそういうのドキっとするよね。




