第5章 エラー発生
朝の不機嫌が嘘のように、何でもない様子で帰ってきたソウタ。もちろん、セイヤ以外のところへなんか行っていない。仕事をして、帰ってきた。それだけ。体に収集物も詰まっている。
「ガシャッ!」
セイヤに体を預けるソウタ。いつもなら、爆音を立てて吸引が始まるはず。今日は静かだ。
「あれ…セイヤ?どうしたの?」
返事は無い。セイヤの様子がおかしい。今朝の悪態に怒っているのだろうかと、ソウタがセイヤの顔を見る。無表情。しかし、よく見ると顔に何かが書いてある。
『エラー:液体検知』
ソウタは思い当たる。
「あ、昨日の…。あれ、ダメなのか」
悪いことをしたと思う。セイヤは何でも吸ってくれる。だからソウタは、安心して仕事ができた。でも、甘えすぎていたのかもしれない。セイヤに任せれば何でも解決してくれる、と錯覚してしまっていた。
こうなるともう、同居人の帰りを待つしかない。セイヤの苦しみを想像して、ソウタの胸は痛んだ。こんな事になるのなら自分がエラーを出せばよかった、と悔やんだ。
「ごめん、セイヤ。帰りたかったんだ…」
エゴだ。あんなものを体に入れて、当然ソウタも苦しかった。けれど、エラーを出してセイヤのところへ帰れなくなる方が耐えがたい。自分のわがままでソウタにまで悪いものを吸わせ、そのくせ「察しろ」と言わんばかりに八つ当たり。最低だ。
「セイヤ、いなくならないで…」
セイヤと体は繋がっているのに、何もできない自分がソウタはもどかしかった。「替われるもんなら替わりたい」…そう言ってくれたセイヤに対して、悪態をついた今朝の自分をぶん殴ってやりたい。今、ソウタは心から思っている。「替われるもんなら替わりたい」…と。




