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二話

Eternal League of Nefia、通称Elona。あの名作フリーゲームを舞台に書かれた小説です。

※二次創作はフリーということで書かせていただいております。

elona作者様のサイト

http://ylvania.org/jp/elona

 

「風、やんだぞ」


「あ、ほんほら」


 ほんとだ、と言いたかったのだろうが、寝起きのリシェはまだ微睡んでいるようだった。

 俺は夜から朝にかけての火の番をしていたので、これから寝るところだったが……。

 まぁいい、幸い夜中襲われることもなかったので、安堵の深い息をこぼす。


「リシェ、お前が旅をする目的はなんだ」


「魔術師ギルドにはいるために、古文書を集めてるの。その資金稼ぎ、かな。」


「古文書……解読できるのか?」


「ヴォイニッチ写本くらいなら」


「ヴォイニッチだと? そんな簡単なものしか読めないのか」


「そーいう記憶はあるんだね」


「自分のこと以外は、覚えているみたいだからな」


「じゃあ魔法使えるの?」


「それは無理だな」


「なーんだ、つまんないなぁ」


「エーテルの風、やんだが出発するのか?」


「そうだね、今依頼受けてるからはやく行かないと」


「依頼、か。どんな依頼だ?」


「ヴェルニースまで魔法書を届けなきゃいけなくて」


「ヴェルニースまで? ここはどこら辺だ」


「……ルミエストとパルミアの間だけど」


「期限は?」


「あと6日。いや、エーテルの風で足止めくらったからあと4日かな」


「少し急がないとな」


「そうだね、まぁ私は荷物ないから」


「……まかせておけ」


 荷車に手をかけ、力を込めて押し始める。

 ごろごろ、がたっと音を立て、荷車と俺らはヴェルニースまでの旅路についた。

 ところだったのだが。

 一応道なりに歩いてきたが、その道をプチ達がぽよぽよ横断していた。

 プチぐらい無視してもいいのだけど、運悪くプチ達の群れは俺たちの技量を下に見たのか、敵意を示してきた。


「戦う、しかないね」


 リシェが杖を構え、魔法の詠唱をはじめる。

 聞いてる分には、魔法の矢を詠唱しているようだが、所々間違っているのがわかる。

 ……まてよ、間違っているのがわかるということは、正しい詠唱がわかるということだ。


 試しに俺も杖を構え、魔法の矢の詠唱をはじめる。

 リシェより速く詠唱を終えると、目の前に魔方陣が浮かび上がり、小さなマナ製の矢がプチめがけて飛んでいく。

 見事命中した。

 ぷちっ、という小さな破裂音と共にはじけた。

 しかし、まだまだプチはこちらへ向かってくる。

 そして俺の矢がプチに命中したタイミングでリシェが詠唱を終えるが、飛んでいったのは弱くひょろついた魔法の矢だった。

 プチが相手だったからよかったものの、コボルトやイーク相手では到底通用しないだろう。

 本当に素で人がいいし戦闘力もない……一体どうやって生きてきたのだ?


「ケイブ、魔法撃てるじゃん!」


「たまたま覚えていた」


「でも、杖の力使ってないみたい」


「呪われてるのかな」


「かもね」


「まだ敵はいる」


「逃げた方が早かったかな……なんて」


「うるさい! やるぞ!」


「はいっ!」


 残りのプチを二人で――いや、ほぼ俺が倒し、一段落ついた。


「今までどうやって金を稼いでいた?」


「恥ずかしいことに、これが初めての運搬依頼なの……今までは納品依頼ばかりだった」


「そうか、合点がいった」


「弱いでしょ、わたし」


「そうだな」


 口を弧にして笑うリシェ。

 どこか懐かしく感じてしまう。

 記憶が、ないのに。

 そしてなぜか心が痛む。

 なぜだ?


「先を急ごう」


「間に合うかなぁ」


「間に合わせるんだ、いくぞ」


 再び荷車を、押し始めた。


ヴェルニース

パルミアで一番大きな炭鉱街。


パルミア

ゲーム内ではパルミアという国と、パルミアという王都が存在します。この小説では区別をつけるため、王都会パルミアの方をパルミア城下町、パルミア市街地、パルミア城という風に書きます、


ルミエスト

パルミア南東にある水と芸術の街。

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