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最終話

お立ち寄りいただきありがとうございます。


 フィリップの部屋に戻った2人は。温かいお茶を前にほっと一息ついた。

「フィル、きょうはどうもありがとう。素敵なご家族で、みなさんとっても優しくて感激しちゃった。」

「お礼を言うのは俺の方だよ。みんな君のことをすごく好きになったようだ。ま、当たり前だがな。」

「結婚式でのフィルはとっても素敵だったわ。見惚れちゃった。」

「それこそそれをいうのは俺の方だよ。ジュリアがあんまりきれいだから俺は見惚れたが、周りもみんなそうだった。思わず、男は見るな!と言いたくなった。」

「私、とってもとっても幸せです。」

「リア、俺の妻になってくれてありがとう。一生大事にするからな。」

「フィル、私の素敵なだんなさま。こんな私をもらってくれてありがとうございます。」

「リア、疲れているのはわかるのだが、今夜このまま寝かせられない。君があまりにも可愛くて、抱かずにはいられない。」

「フィル、私はフィルに抱かれたいです。大好きです。」


 そして月末となり、フィリップは退職した。

ジュリアは邸が売れて、邸での最後の夕食はフィリップも交えての楽しい夕食となった。

ジェフも参加している。

「フィル、ジェフは幼馴染でね、いつも私を助けてくれてたの。マーサはジェフのおかあさんなのよ。」

「そうか。ジュリアが世話になったのだな。ありがとう。」

「とんでもないっす。また王都でなにかやることあったらいつでも言ってください。」

「ジェフ、ありがとう。今までも、これからも、ジェフは私の大事な幼馴染よ。」

「ああ、わかってる。幸せになれよ。」


 楽しい夕食も終わり、翌朝、使用人の人たちと共に領地の邸に戻った。

フィリップの荷物もすべてカカオとリープが保管して、運んでくれた。

そして、新しいマクレガー領での生活が始まった。


 カカオとリープが領地の豊穣と穏やかな気候を祝福してくれたので、今年の収穫は豊作になる。

王都の邸を売ったお金で脱税の負債を払い終えたので、これからは領地の収入を増やし、領民と分かち合うことになる。

フィリップは非常に優秀な新領主で、また、邸の使用人たちにも、領民たちにもとても公平で平等に接するので、大変好かれている。

さらに、領民が使える魔導具をいろいろ開発しているので、領地の生産量がかなり上がっている。

カカオをリープはへイエス領にもマクレガー領と同じように祝福してくれたので、へイエス領も大いに潤って助かっている。


 五年後、ジュリアは大きなお腹を抱えて庭を歩いている。

2人の子供が楽しそうに庭を走り回っていて、それを目で追っているジュリアはとても幸せそうだ。

ひとりが転んで、もうひとりが助け起こす。

「泣かないで強いわねえ。」とジュリアが抱きしめ、子供が嬉しそうに笑っている。


 「この生活をしたかったの、フィルが私の夢を実現してくれたわ。ありがとう。」

ジュリアは傍らのフィリップにそう言って頭をフィリップの肩にもたせかける。

フィリップも幸せそうにジュリアの肩を抱いた。


 その時である。


 「あ・・・・・・フィル、お願い、部屋に連れて行って。たぶんもうすぐだわ。」

「そ、そうか。痛むのか。すぐに連れて行くからな。しっかり掴まってくれ。」

フィリップはそう言うなりジュリアを抱きかかえて部屋に戻る。

「医者の用意をしてくれ。もうすぐのようだ。」侍女たちに指示すると、皆、喜びながらてきぱきと準備をする。

「前の時はふたりだったが、今回はひとりだから楽だろう。俺はここについているからな。苦しい時は苦しいと言えよ。」

フィリップはジュリアの手を握っている。

陣痛の波のたびにジュリアはフィリップの手をぎゅうと握る。陣痛が大きくなるにつれ、フィリップの手にジュリアの爪の痕がつく。やがて痛みが最も強くなり、ジュリアの呼吸も乱れだした。

医者が

「大きく息をしてー。頭が見えてきましたよー。いきんでー。そうそう。はいもう一度ー。」と言っている。フィリップは

「もうすぐだぞ。がんばれー。うまいぞー。ジュリア、いいぞー。大丈夫だ。もうちょっとだ。」と励ます。

そして、大きな産声とともに、元気な男の子が生まれた。

「ジュリア、でかした。よく頑張ったな。愛してる。ありがとう。元気なかわいい男の子だ。」フィリップはジュリアの顔中にキスをした。

ぐったりとしたジュリアは、それでも生まれたばかりの男の子を見て微笑む。

なんてきれいな笑顔だろう。これこそが女神の微笑みだな、とフィリップは思った。


 2人の子たちがそおっと部屋に入れてもらう。

「かあさま、だいじょうぶ?」

「かあさま、いたいの?」

「私は大丈夫。見てちょうだい、あなたたちの弟よ。かわいがってあげてね。」

「うわあー、ちっちゃいんだね。」

「動いてるよ。かわいいー。」

「あー、おとうさま、泣いてるー。」

「おとうさま、悲しいの?」

「いや、人間はな。ものすごく嬉しい時も涙が出るものなんだ。」

「そうか、じゃあおとうさまは幸せなんだね。」

「ああ、とっても幸せだ。」



 それからさらに時は流れ、明日はジュリアとフィリップの50回目の結婚記念日だ。

子どもたちがお祝いの準備をしているようだ。

ジュリアとフィリップは庭の四阿に並んで座っている。

「気持ちの良い風ですねえ。」

「そうだな、寒くはないか?」

「はい、大丈夫です。あなたこそ、冷やしちゃいけませんよ。神経痛が悪化します。」

そう言ってジュリアはフィリップの手をさする。

「なあに、こう見えてもまだまだだ。」

フィリップがジュリアの肩を抱く。

ジュリアはフィリップの肩に頭を預ける。


 2人の子どもたちがそんなふたりを少し離れたところから見ていた。

「まったく、仲の良い夫婦だなあ。」

「死ぬまで甘々なんだろうな。」


 長男のチャールズは船乗りになって世界を渡り歩いている。

そのふたごの弟のジェームスは農学者となり、マクレガーの領主となった。

3男のジョンは王宮の魔導師長となっている。

4男のパトリックは魔導具を作り、手広く輸出入を行いつつ、ウイリアムの後継としてへイエスの領主となった。

その下の唯一の娘のアンは現在王太子の婚約者となっている。


 ジョンの子供たちが走り寄ってきた。

「おじいさま、僕は先週氷魔法と風魔法がSランクになりました。」

「おお、そうか、それはすごいな。ジョセフ、よく頑張った。えらいぞ。」

「おじいさま、今度僕の魔法を練習場に見に来てください。」

「そうだな。ぜひ見せてもらおう。楽しみだ。」

「おばあさま、これね、私が刺繍しました。」

「まあ、マリアンが?きれいにできたわねえ。上手ですよ。」

「私、大きくなったらデザイナーになって王都でドレスを売るんです。」

「そうね、きっと人気デザイナーになるわ。」

「はい、がんばります!」


 ジュリアがフィリップに

「フィル、私に幸せな人生をくれてありがとう。」

フィリップはジュリアに

「ジュリアこそ、俺を世界一幸せにしてくれたよ、ありがとう。」

2人はそう言って長いキスをした。


 「おお、まったくうちの父上も母上も、いい年してアツアツだなあ。」

「まったくだ。」

子供や孫はそう言いながら幸せな老夫婦を見守っていた。




お読みいただきありがとうございました。

ご感想、評価、いいね、などいただけますと幸いです。

みなさまの評価などがとても励みになります。


人を愛するということは素晴らしいことだと思います。

愛し合って、幸せな人生を共に歩むというのがどんなに素晴らしいことか、その思いを拙い小説にできる喜びを感じております。

どうもありがとうございます。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。


新作をはじめました。

もしできましたら

身も心も美しいレベッカが、顔に大きな傷のあるティモシーと出会う。ほんわかハッピーエンドのお話です。

https://ncode.syosetu.com/n2541ik/

です。

よろしくおねがいします。

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