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邸を売ろう

お立ち寄りいただきありがとうございます。


 熱く官能的な夜が明けて、翌朝、朝食後、へイエスは出勤した。

「いってらっしゃい」そして熱いキス。

へイエスは研究室までの道すがら、

(こういうことができるなら、どこで暮らしてもいいな)と思った。


 ジュリアは朝食の後片付けをして、洗濯を済ませ、部屋を掃除し、それからスノウに変装させてもらって街にでかけた。


 不動産屋に行き、邸を売りたい旨を告げ、週末に予約をして来てもらうことにした。

週末にしたのはへイエスに同席してもらうため。

(いいって言ってくださるかしら?)

仕事をやめる時っていろいろ忙しいでしょうから、無理だったら仕方ないと思い、もしその日がだめなら他の日に変えてもらおうと思った。

そうなると、早く訊きたい。

そうだわ!

これからお弁当を作って持っていくという口実を作ろう。

それで急いでサンドイッチの材料を買って、急いで作って学園に持っていく。

変装しているから誰にもわからないのが意外と快感だ。


 へイエスの部屋をノックする。

「誰だ?」

という声がした。。

「あの・・・」名前を言ってはまずいし、困ったな、そうだわ「リアです。」というとすぐにドアが開いた。

へイエスの期待していたような目が一瞬で落胆に変わった。

が、へイエスはもう一度見て、ジュリアを部屋に入れ、抱きしめた。

「驚いた。リアでないのかと思った。でも、わかったぞ。どうしてここに?」

ジュリアがにっこり微笑んで

「はい、お弁当です。」

とお弁当袋を差し出した。

へイエスはしばらくジュリアを見つめていて、

「それで、君はなぜそのような格好をしているんだ?」

「あ、これね、スノウが姿を変えてくれたんです。ふふふ、これなら誰にも気づかれないでしょ?」

「でも、同じ匂いがする。」

「それでわかるのはフィルだけです。」

「そうだな。」

2人は笑った。


 「あとね、もうひとつ、お願いがあるんです。」

「なんだ?」

「けさ、不動産屋さんに言って邸を売りたいと言ったんですけど、今度の土曜日に見に来てくださるってことになったんです。ご迷惑でなければフィルに一緒に話をしていただければと思ってるんですけど、いかがでしょう?」

「今度の土曜日だな。わかった。」

「わあ!ありがとうございます!」


 「しかし」

「は?」

「こういうのはやめてもらいたいな。」

「え・・・あ・・・ごめんなさい。強引でした?」

「ああ、君はわかってないな。」

「ごめんなさい。」

「俺は君のなんだ?」

「ええと、その・・・大好きな方です。」

「婚約者だ。」

「は、はい。」

「そして俺は婿養子になるのだろう?ちがうか?」

「そ、そうです。」

「それならに邸を売る話を一緒にしてくれというのは当然のことだから、いちいち迷惑だとか気にすることは不要だ。」


 「フィル!」

ジュリアはあまりにも嬉しくて抱きついてしまった。

「お、おい。一応ここは職場なのだが。」

「あ、ごめんなさい。あんまり嬉しくて、つい。」

「まあ、リアがあんまりかわいいから良いということにしよう。」

へイエスはそう言って抱きしめた。

「はあ・・・フィルが素敵すぎて困ります。」

「リアはかわいすぎるぞ。」

授業開始5分前の予鈴が鳴った。

「残念だが私はこれで授業に行ってくる。」

「はい、ではまたあとで。・・・・・・フィル、大好きです。」

「俺もだ、リア。」

ジュリアは今度はスノウに姿を完全に消してもらって学園から出ていった。


 邸に戻り、マーサたちに土曜日に不動産屋が来ることを伝える。

「それではぴかぴかにしておかないといけませんね!」

みんな気合を入れてくれた。

「あまり頑張りすぎないでね。」

とジュリアは言って、屋根裏部屋に入る。

鼻歌交じりに片付けて、鞄や箱に入れていくと、思いの外たくさんあった。

「ふう、これはお引越しが大変だわ。」

カカオが

「僕達みんなしまってあげられるよー」

「え?どうやって?」

「倉庫っていう力があるんだよー。ここでポイポイって倉庫に入れて、向こうについてからまたポイポイってだせばいいのー」リープが説明してくれた。

「やってみせてあげるー」

「今夜のごはんのおいもとか、籠にどっさり入れてー」

「わかったわ、じゃあ調理場に行って籠に入れるわね。」

「わかったー」


 「これでいいかしら?」

「いいよー。じゃあこれを倉庫に入れるねー」

籠が消えた。

「あとはフィルのお部屋に行ったら出すねー」

「うわあ、すごい力なのね。どのくらい入れてもらえる?」

「いくらでもいいよー」

「このお邸にある持っていきたいもの全部とフィルの研究室のものとフィルのお部屋の者全部でも大丈夫?」

「だいじょうぶだよー」

「すごーい!じゃあおねがいしちゃおう。ありがとねー」

「まかせてー」


 ジュリアはへイエスの部屋に戻る時に、使用人たちに、持っていくものを箱詰めして置いてくれるように頼んだ。

それからジュリアはお仕着せと母の傷んで着られない古いドレスと制服と端切れなどをカバンに詰めて戻った。


お読みいただきありがとうございます。

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