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黒猫は眠らない  作者: 鳩胸 ぽっぽ
幕間 サバイバルゲーム
85/137

リーダーとの交渉

 今度はほかの奴らと出くわさないように、建物に入って誰もいないかを確認し、入り口を見張る。入ってくる人間がいたら見つからないように逃げるしかない。

 オレが見張っていると、道の真ん中をクンツァイトが堂々と歩いていた。腕を振って歩き、探検しているようにも見える。


 あのバカ……。警戒ってもんを知らねェのか。

 あれは格好の標的だ。狙えばキルはできる。が……撃ってはいけない気がする。というのも、リーダーとかあれを見つけてたらすぐ殺すわけがないんだよな。

 泳がせて、オレに撃たせるいい餌にする。あいつを狙撃させて、居場所を特定する。だから付近にリーダーか誰かがいるはずなのだ。


 オレは双眼鏡を取り出した。一応買っておいてよかったぜ。

 オレは双眼鏡で周りを見渡す。すると、案の定向かいのビルにリーダーらしき人影が見える。あっぶねぇ、アレを撃ってたら居場所を特定されるところだったぜ。

 アレは見逃すしかない。


「……あれ、リーダーが出てきた」


 こちらに向かっているような気がする。

 居場所がばれた……? そんなわけはないと思うが。いや……双眼鏡に反射した光か!


 リーダーは案の定この建物に入ってきた。

 オレは急いで逃げる。リーダーに出くわさないように建物を降りなくてはならない。オレは身を隠しながらあたりを警戒して逃げることにした。

 階段は三つある。一番近くの階段は東口の階段だ。だがしかし、そこはリーダーが上がってくる可能性が高い。素早く距離を詰めるならあそこが一番だ。


 だったら一番遠くを選ぶしかない。オレは全力で走る。


 オレは一番遠い階段まで全力で走り、早いところ降りていくことにした。

 だが。


「げ……」

「やぁ」


 読まれてた……?


「君は警戒心が高いからね。苦労したよ」

「追い詰めるのに、っすか」

「そう。でも、ちょっと提案があるんだ」

「……提案?」

「僕は優勝する気はほとんどないんだよね。だって僕が勝っても賞品はもらえないし」

「まァ……あんたがプレゼントするっつー話っすもんね」

「だから、協力しない?」

「協力ぅ?」

「君には飛行スキルを禁止するって事前にみんなに伝えてなかった負い目もあるし。このゲームは誰かと協力してもいい」


 リーダーは協力してほしいということを述べ、理由も述べる。 

 このゲーム、協力してもいいのだが、協力するメリットが存在しない。むしろ、協力するっていって裏切るまでがセットだ。

 

「……協力するメリットがまずない。勝つのは一人だけだし、最終的にはどちらか殺し合うことになる。だとすると、もし協力して残り二人となってもオレらで殺し合うことになる」

「そうだね」

「それに、この手のゲームは味方を作ってはいけない。一人しか勝つ人がいなく、協力者のメリットがない以上、裏切りは必然となる」

「それも正しい」

「あんた……何考えてるんだ?」


 わからない。

 リーダーの考えが読めない。


「僕は裏切ったりしないさ。僕が勝つメリットがない」

「それもそうだけど、協力して裏切らなかったら、オレに賞品をプレゼントしますって言ってるようなもんじゃねェか。主催者としてフェアじゃねェ考え。リーダーはそういうこと考えない人だ」

「……あっ」


 と、本気で忘れてた顔をした。

 演技っぽくはねェ。


「……マジ?」

「そっか、僕が協力しようと持ち掛けるとそういうことになるのか……。最後まで残ったら君が僕を殺せばいいって話だし……」

「……マジで考え付いてなかったんすか?」

「盲点だった……」


 えぇ……。


「となると肩入れすることになるか! これはなし! この話はなし! 正々堂々戦おうか!」

「いや、こっから戦うってなるとオレがガン不利なの分かっていってます?」

「え? あっ」

「明らかにあんたに利がある接近戦なのにここで始められるわけないでしょ」

「そりゃそうだ……。じゃ、じゃあお互い今は不干渉ということで離れよう」


 と、リーダーは急いで建物から出ていった。

 オレも建物から出た時、目の前にクンツァイトがいた。


「あ、ラズリー! やっほー!」

「やっほーじゃねェだろうが!」


 オレは拳銃を構える。


「え、何の真似……?」

「今サバゲ―の最中だろうが」

「サバゲ―……あっ!」

「本気で忘れてたのかよ……」


 忘れてたほうが悪い。

 オレはとりあえずキルしておいた。










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