クエストたっせい!
何とか勝つことができた。
オレは財宝のある部屋に戻ると、リーダーたちが財宝の物色を始めていた。
「なんだこれ。魔法世界の人から依頼された宝物なのに未来世界のもんがあるぞ?」
「なんかのカプセル?」
ヴァルキリーさんはなにかカプセルのようなものを手に取っていた。
鉄製のもので、中には何か液体のようなものが入っている。小さなのぞき穴があり、そこから中身を除けるようにはなっているようだが、暗くて何が入っているかわかっていないようだった。
「まぁ、ここで物色するのは後回しだね。依頼ではこれを持ち帰って渡すんでしょ? なら、さっそく持ち帰らないとね」
「全部持ち切れるかどうか怪しいな……」
オレは財宝をしまっていく。
この財宝はアイテムというわけではなく、クエスト専用アイテムという感じで何個も詰め込めるようになっていた。その仕様はありがたい。
オレは財宝を全部しまい、とりあえずクレバスから脱出しようというと、突然地響きが起きていた。
「なんだ?」
「……まさか」
リーダーは嫌な予感がするようで、冷や汗を流している。
「逃げろ! 多分崩れるぞ!」
そういって、リーダーは走り出した。
オレもそれにつられて走り出す。すると、後ろからものすごい轟音が響き渡ってきたのだった。後ろを振り返ってみると、氷の部屋が崩れ落ちていった。
財宝がなくなったら崩れる仕組みだったのか……? というか、通路も崩れてきてるし早く逃げねェと死ぬ!
「脱出口はどこだ!? 多分ここも全部崩れるだろ!」
「……わかんねえ」
「だよな! とりあえず、死んで財宝ロストってことは避けたい! ラズリさん、飛べるんなら全速力で飛んで上から脱出! 最悪俺たちは死んでいいから!」
「うっす!」
「脱出したらもう報告に行っちゃえ!」
そういうので、オレは翼を広げてターボジェットを使ったのだった。
ぎゅんっ!と加速し、クレバスの割れ目から脱出。クレバスの穴はどんどん崩壊していき、ついには割れ目すら見えないくらいに崩壊してしまったのだった。
「リーダーたち無事か……? まァ、報告に行っちゃえって言ってたしな。報告にいこう。アサヒカワまで飛んでいくかァ」
天候は晴れ。吹雪かないうちに下山してアサヒカワまで行ってしまおう。オレはなるべく全速力でアサヒカワに向かう。
連続して使用したからなターボジェット。少しクールタイムが必要だ。クールタイムが過ぎたら全力でターボジェットを使わせてもらおうか……。
オレはクールタイムが過ぎ去るまで、普通の速度で飛んでいく。そして、クールタイムが回復し、ターボジェットをフルで使用したら案外早くアサヒカワについたのだった。
アサヒカワのサイオンジ家を訪れる。オレの名前を守衛に伝えると守衛は普通に通してくれたのだった。
令嬢の部屋に案内され、オレは財宝を取り出す。
「これが財宝……! ものすごい山……!」
「もちろん報酬として半分はもらえるんだろ」
「もちろんよ! これ、これ、これ、これ、これ。あとこれはなにかしら。わからないからこれもあげるわ」
そういって、渡されたのは売ったら金にはなるであろう財宝と、液体の入ったカプセルのようなもの。
「本当に持ってくるとは思ってなかったわ。ありがとう。これからもなにかあったらあなたたちのクランに依頼するかもしれないわ」
「そうしてくれるとありがたいっすね」
「とりあえず、少し休みなさい。大雪山は疲れたでしょう? 疲れてないなら宝物をさっさとしまったほうがいいわ。この家には泥棒猫がいるから」
「泥棒猫?」
「うちの家臣の中にいるのよ。まだ調査中だけれどね……。この宝物はもちろんばれないように隠すけど、そういうのに見つからないうちに隠しちゃって」
「あー、うっす」
オレは宝物をしまう。
まァ、もう長居する理由はないな。
「オレじゃ、もういきますわ。あざっした」
「ええ。今後ともまたよろしくね」
サイオンジ家からオレは脱出することにした。
オレあんな貴族みたいな家には長居できねェなァ。苦手だ。




