海だーーっ!
陽射しがカンカンと照りつける夏休み。
夏の1番の快楽といえばクーラーをつけた室内でのんびり作曲することだ。
「うーん、どうも響かねェなァ。もうちょいドラムを…」
今日も今日とてパソコンと向き合い、新曲を作っていると突然部屋の扉が開かれる。
オレはヘッドホンを外し、扉を開けたであろうクソ兄貴に声を上げた。
「邪魔すんじゃねェよ。暑苦しいのに暑苦しいやつなんざ関わりたくね……」
「つかさん、海いこ!」
「あァ? ヤダよ」
なんでこんなクソ暑い外に出なきゃならねェんだ。
オレはヘッドホンを再び被り曲を作ろうと前を向く。すると勝手にヘッドホンを外されて、黒い服の男たちがゾロゾロと部屋に入ってきたかと思うとオレを持ち上げたのだった。
「おい、コタロー! 何しゆがる……。あっ、せめてパソコンは持ってかせろ! 聞いてんのか! オイコラァ!」
「お嬢様……こんな強引でいいんですか?」
「いいのいいの。こうでもしないと外出ないから」
オレはそのままドナドナと連行されて車に詰め込まれた。
コタロー家愛用のリムジンに投げ入れられ、オレは地べたに転がされる。
「ちっくしょう……」
「大丈夫ですか!?」
「扱いが乱暴だな……」
「えーと、大丈夫、ですか?」
「……テメェらも誘われたのかよ」
リムジンの中には岩島、ヲタク、酒井が既に乗っていた。
「海行きたくねェ……」
「まぁまぁ。行ったら案外楽しいかもよ?」
「楽しかねえよ……」
リムジンはコタローを乗せて走り出す。
着いた先は神奈川県の江ノ島。江ノ島の海にやってきた。海水浴はあまり好きじゃねェ。
夏真っ盛りの今、海水浴客もとても多く、オレは少し顔を顰める。
「海だーーーっ!」
コタローは早速服を脱いで水着になった。
「今更だがなぜ僕まで? 僕だけ男なのだが……」
「ゲームやってる仲間だからだろ。あれは男女とかで考えてねェよ……」
「そうか……。まぁいいだろう。海に来たことだし僕も泳ごうか」
「私も泳ぎますよー! 全力で楽しみますとも!」
「わ、私も……!」
そういってみんな海に駆け出していく。
コタローの家の人が砂浜にシートとかパラソルを立てたりしている。オレはそのパラソルの下で寝そべることにした。
オレ泳げねェし。全然楽しくねェし。体動かすのそんなに好きじゃねェし。
「巽様は泳がないのですか?」
と、コタローのお付きの黒服の女性が話しかけてくる。
「オレ泳げねえし……。第一人混みそんな好きじゃねェっす」
「そうですか……。そういえば、一応パソコンだけはとおっしゃっていたのでパソコンをお持ちいたしましたが……」
「お、あざっす!」
オレはパソコンを受け取り、ヘッドホンをつける。
オレは泳ぐよりやっぱ作曲よ! オレは早速作曲作業に取り掛かったのだった。
こんな暑いビーチであの見張りもしないといけない黒服さんは大変だな。オレが主人なら外出ないからこんな暑い思いしなくて済むのに。
「江ノ島の情景はいいからな……。この感動を曲にして……。夏にピッタリの曲を作ろうか」




