オレ死んだ
クレバスの中を探検して何時間が経過しただろうか。
周りが全く見えない。何も見つかる気配がない。クレバスの中には何もないのだろうか?
オレは壁に手を触れ、移動し続ける。
「クソ、なんもねェな……」
ただの無駄足だったか。
そう思いながら歩いていると突然壁がなくなっていた。すかっと空を切るオレの左手。
左側に何か通路のようなものがある……?
なんだろう。ここまで一本道だったってのに通路があるのはおかしいよな?
見つけた。やっぱりこんなところにあったのだ。オレは左側に進んでみると、突然光が放たれた。
「うおっ、ピカピカと光る財宝……」
氷で出来たであろう部屋に包み込まれている財宝。その財宝が光を放つ。光っているのは何か機械のようなものだった。
財宝伝説は本当だったのだ。これを持って帰ればクエスト達成だな?
オレは財宝に手をかけた時だった。
『財宝を狙う不届者発見しました』
『防衛システム、作動』
と、どこからか声が響いてきたと思うと、オレの背後に何かが立っている。
そういや、戦えるかと聞いてきたな……。となると、あの令嬢は戦うことがわかっていたということになる。
で、ここに来るまで魔物の一匹とも出会っていない。運がいいのかわからないが、魔物があまり出ない、もしくは魔物が棲息するには過酷すぎてそもそも魔物がいないという環境なのかもしれない。
なのになぜ戦えるか判断したのは……。
「もしかして在り方は最初からわかってたけど、手に取ると魔物がいるってのわかってたのか? 嘘つかれたってことかよ」
食えねえ令嬢だ。
それが嘘だってんなら分前をもらえるかどうかも怪しい。それに……。
「オレがこんなとこで戦えるわけがねェ」
大人しく殺されることにしようか。
オレは防衛システムの魔物でも拝んでやろうと振り向いた。防衛システムは……。
「そりゃ悠長に考え事してたら、な……」
防衛システムはアイスゴーレム。すでに攻撃する寸前だった。
オレは宝から手を離すが見逃してくれる気配なささそうだ。意外と死ぬ瞬間って怖え……。
死の恐怖が迫ってくる。ゲームとはいえど、この緊迫感はリアルさながらだ。
「……オレ、アサヒカワでリスポーンするように設定してねェなァ」
またサッポロからやり直し。
アイスゴーレムはそのまま、豪腕を振り下ろした。オレはその馬鹿でかい拳に叩き潰されたのだった。
「クソ……。普通にビビるわ」
死んで現実世界に引き戻された。
デスペナルティとして10分程度のログイン禁止。オレは仕方ないので10分間の暇を埋めるべく一階に降りていく。
「腹減ったな……。カップ麺残ってたか?」
オレはリビングに行くと。
「ふふ、巽さん、もう少しでお昼ご飯できますからね」
「おう……」
オレはソファに座る、
そして、天井を眺めた。
「って、なんで酒井がオレんちで昼食作ってんだァ!!!」
オレは腹の底からつっこんだ。




