オレも女だった
ハナミズキと別れた後、運営からメッセージが届いていた。
第一回イベントの開催のお知らせという文字が見える。オンラインゲームにはよくあるイベント開催情報だ。
今回のイベントは未来のモンスターが大暴走!?っていう感じで未来のモンスターが大量に増殖するが少し変なのだという。
その未来のモンスターを倒して、ポイントを稼いで景品と交換しようねというものだった。
景品リストがずらーっと並んでいる。季節は夏。夏限定のアイテムが多いようだった。武器も夏という感じのものがたくさんある。
たとえば剣だったらスイカ割りの棒っこなんてもんだし、銃はサマーみずでっぽうというものになってる。夏。
ほかにも水着だったり幽霊の白装束だったり夏といえば!の詰め合わせみたいな景品だな。
そう思いながら事務所に帰ると、リーダーが女性陣に詰め寄られていた。
「なんか修羅場だなオイ」
「リーダー。さすがにそれはダメよねぇ」
「ヲタクは嫌ですぞ……」
と、なんかいやだいやだと。
「どうしたんだよ」
と、オレはヲタクに聞いてみる。
ヲタク曰く、夏のイベント情報が出たことだし、イベント開催中は女性全員水着で動画に出るかということだった。
全員水着……。水着っていいよな……。
「いいんじゃねェの?」
「えっ」
「反対しないの!?」
「全員ビキニだろ? オレは楽しみにしてるぜ」
「あ、あぁ……こいつそういえば……」
「女性からもいいって言ってるぞ! いいじゃないか! 水着のお姉さんが必要なんだよ!」
「はぁ……」
女性陣全員ため息をつく。そして、一人また一人と受け入れていったのだった。
ただし、リーダーは女性陣に対して何かプレゼントを贈るという条件が追加されている。バイクを買ってもらっておいてその交換条件は少しひどい気もするが……。
まァ、女の子の水着姿ってエロくていいよな。オレもちょっと見たい。
「楽しみにしてるぜ」
「……言っておくけどラズリも女の子だからね?」
「……あ」
ということはもしかしてオレも着なきゃいけない感じか?
「嫌だ!」
「掌返した……。やっぱ自分の性別忘れてやがった……」
「リーダー! やっぱ水着なし! オレ水着着たくねェよ! ビキニだなんてオレやだぜ!?」
「決まったことだし……」
「オレだけ免除! オレ女物の水着なんて似合わねェし!!」
オレは自分でビキニを着てる姿を想像してみるが似合わねェ。
そもそもほかのもフリフリしてるし水着がそれほど似合わねェんだ。そもそも女物の水着ってほとんどフリフリしてるしよォ……。嫌なんだよ……。
「そういうことはさせないわよぉ」
「すいませんが、ヲタクとしても一人だけ免除というのはダメであります!」
「諦めて今から水着を見繕いにいこうね」
オレは女性陣に引っ張られて福屋に向かうことになったのだった。
助けてほしい(切実)




