88話 奇特な龍はいないだろうか、ミスリルの鉈を使わせよう
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さて、半分が埋まったが、残り半分も住宅で埋め尽くす予定なのだ。まだまだ休みは貰えんよ。後10年はかかるがな。それ以上早くには出来上がらん。私がもう一人欲しいくらいだ。
だが、番は要らん。欲しいのは労働力であって相方では無いのだ。構う時間も無いだろうからな。自動で建物が建つなら話は別なのだがな。そんな都合の良い魔道具は無いそうだ。
結局のところ建物を建てるのは悪魔でも人間でも一緒。基本は木材だ。私のように魔力が有り余っていないと土を石材にして建築は出来ない。
となると龍の労働力が欲しい訳だが、都合よくここを見つけて且つ気に入ってくれて且つ雌でないことが条件な訳だが、そんな奇特な龍が私のほかにいるのだろうか。
いないであろうな。何がしたくて地下に住むのか。私は私の城が欲しかっただけなのだ。今はその延長線に過ぎない。城下町が欲しくなっただけなのだ。どうしてこうなったのかは解らんが、今が楽しいのだから良いのではないか?
まあ良いだろう。私だけでも。同志が居ればそれはそれで楽しいのだろうが、気を遣うからな。人間に容赦の無いものが来てもそれはそれで問題だしな。
さて、問題らしい問題は起こっていないな。少し難民の数が増えた程度か。まあ問題ない範囲内だ。収容は出来ている。受け入れ態勢は整っているから良しである。
難民の教育くらいか。時間が掛かっているのは。基本は農民として受け入れるのだが、子供たちは教育を施さないといけない。慣れればなんの問題も無いのだが、慣れるまでは流石に子供でも時間はかかる様だ。まあ無理もない。
いきなり環境が変わるわけだからな。まず迷うだろうな。同じようなというか、同じ建物だらけだからな。間違いなく迷う訳で。慣れていれば問題はないのだが、慣れるまでは迷うだろう。それは作ってから思ったことなのだ。もう遅い。同じ規格で作り過ぎた弊害だ。
まあ、作ってしまったものはしょうがないし、今さら規格を変えるのは難しいので、同じように作るが。そのためのユニット工法だしな。別規格では作るのに時間がかかる。
そんな訳でそのまま立て続ける。景観は今さらだな。城の視界さえ塞がなければ何でも良い。この際些細な事は気にしないようにした。気にし始めたら色んなところが気になり始めるからな。
他で問題があったとすれば、刈り取り機で1人腕を飛ばしたくらいか。処置は問題無く行われたぞ。腕は戻ってこないが。流石に無理だ。幾ら万能薬ポーションとて欠損までは治せない。それはそうだろうとは思うがな。治る方が不思議だ。
幸いにも、腕が無くなっただけで生きてはいる。ならば仕事は無くならないからな。出来ることをやればいいのだ。脱穀などの時間がかかるが面倒なだけの仕事などを担当すればよい。腕が無くなったのは大きなことだが、死ななかったのだから問題はあるまい。死ななかったのだからな。
生きていれば良いことはあるだろう。片腕でも生活は出来る。……魔界には義手はないのか? 無いのであろうな。腕が飛ぶような事がそもそも無いだろうからな。需要が無ければ開発はされんか。
人間の技術では無理だな。少なくとも我が国では無理だ。そもそも魔道具を作る技師がいない。漸く錬金術師が1人誕生したばかりなのだ。魔道具師もある程度の才能は必要だろう。
錬金術師のように素養が必要ではないのだが、そもそもどのように作っているのかが解らんのだよな。魔術回路なんかを組むのだろうか。魔道具を分解したことは無いからな。分解して直せなかったら困るだろう? 必要以上には買ってないのだから。
魔道具師は諦める事にしている。悪魔の方が長寿なのだ。長寿なのはメリットである。研鑽が十分に出来るからな。短命種である人間には難しい。
よって我が国では諦めるのだ。魔界と繋がりがあるからな。もし作る様になるにしても何十年も何百年も後の話だ。もっと人口が増えてからだな。興味を持つ者も産まれてくるだろう。
ああ、後ミスリルだがな。買ってもらったぞ。飛竜を3匹程狩ってきたが、その代金に当てた。まあ余裕だな。その量で両手剣5本分と言ったところか。練習用には十分の量だな。
それで作るのは包丁とかなのだがな。後は斧か鉈かその辺りだな。ともかく使わせはしないが練習用にドンドン使って欲しい。鉄の習熟も忘れずにな。
『カルネラ様、ちょっとええか?』
『ふむ、どうした?』
『ミスリルなんやけどな。斧くらいは使わせて感想を欲しいんやけど』
『ふむ、使えるものができる様になって来たか』
『まあまあやろ。鉄よりはましやな。習熟にはもう少しかかるやろうが、使い勝手なんかを聞きたいやろしな』
『ふむ、それならば鉈だな。斧は大きいからな。鉈が手頃であろう』
『そうか、まあええやろ。鉈やな。何本か用意させるわ』
『それでよいだろう。では頼んだ』
『頼まれたで。ええ練習になるやろ。技術は使ったらんと進歩せんからな』
『そうか。それならば任せる。要らないと言われないようにするのだぞ?』
『解っとるって。手放せやんような物を作れとは言ってある。問題ないやろ』
うむ、ミスリルを扱えるようにもなったか。これで長寿種ならば良いのだがな。人間の寿命が短いのが問題だな。その辺りはどうにもならんから仕方がないが。
さて、私は私で住宅を作ることとするか。あと半分。埋めなければならん。とっとと埋めて外壁の外壁を作らねばな。忙しくなるのだが別に構わんだろう。私だけだからな。




