39話 木材で小物作り始めました、芋で畑を広げる作戦
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漸くと500世帯分の住宅が出来たな。もっと増やさねばならぬが。城下もまだまだ場所が残っている。10分の1も使っていないのでは無いか? もっと作らねばならぬな。
樵は大分と慣れたようだ。木を切るのに2日掛かっていたところを1日で切るようになった。根を掘り返すのは3日掛かるのだが。まあ道具も鶴嘴とシャベルだけだしな。時間が掛かるのも無理はないか。
細い丸太が地下に乾燥させるために山積みにされている。枝や根は売っている。まだ有効活用出来る以前の状態なのだ。金になるなら売る方が良いだろう。需要がある方が驚きだがな。
割と良い金になるのだ。特に根の部分だな。木炭にするそうだ。枝の部分は木炭を作るのに燃やすそうだが。それでも焚き付けとしてお手頃価格で買ってくれる。
木材経済も良いとは考えたが、植林には時間が掛かる。後100年程待たないと良い板材が採れる丸太が出来ない。人間が世代交代するな。まあ待つしかあるまい。家具やらを作らせたいのだがな。
今は土から作った石レンガだけだからな。木製の物もあるにはあるのだが、匙と箸くらいのものだ。人間が食べ物を食べる際に使うものは匙と箸なのだが、それは木材で出来ている。
村時代のものだな。新しい物も枝から作ってはいるようだが、殆ど売ってしまうからな。……小物を作らせる職業を募集してみるか? 店として成り立たなくても食わしてやればいいだろう。
そう思い募集したら3人の国民が受けた。生活に必要な小物を作って貰うとしよう。商売にはならぬだろうが、今のうちはしょうがない。それだけの人口が居ないのだから。
数世代もすれば食っていけるだろう。そのくらい人口が増えるのではないか? クレールも後5つの村を吸収する予定では居るのだがな。まだ見つからない。見つかっても限界集落間近だろうが。
限界集落とはいっても高齢化ではない。そもそも世帯が少なすぎるのだ。何をするにしても人手はいる。それすら確保できない程に過疎化しているのだ。大きな村があった最初の方が運が良かっただけだ。60世帯くらいはいたからな。
国にも寄るのかもしれないがな。大抵の所、国が悪いか、その土地を治めている貴族が悪いかだ。前世の知識だがな。この世界に当てはまるのかは知らぬ。だが、所詮は人間だ。同じようなものだろう。上が馬鹿なのは不幸でしかない。
しかし、権力者が無駄に頑張ると余波を食うのは末端の人間なのだ。何もしない無能の方がまだましという場合もある。良い人間もいるとは思うが、イメージは正直なところ悪い。
悪いやつばかりでは無いとは思うのだが、見た村を思うと、まともではないだろうなと思う。村として機能していなかったのだからな。もう少しどうにかなったであろう。
まあ私はそんな事をするつもりは無いが。善政を敷くというつもりは全くないが、悪政を敷くつもりもない。言ってしまえば半ば放置するのと一緒だ。政は解らんからな。
自分の仕事をするまでだ。建築だな。幸いなことに建材は沢山あるのだから。ここは地下だ。土さえあれば建物は作れる。魔力があればと言ったところだが。
人間には真似は出来ぬからな。悪魔でも無駄が多すぎてやる気が起きない程だという。木造建築の技術は育たぬかもしれぬが、家具作りをしてくれればそれでいい。木材を有効活用してくれればいい。
問題があるとすれば、農民の方だな。農地をもっと広げようというものが少なすぎる。癖になっているのだろうな。自分たちが食べられる分だけ作るというのに。
麦を売るという事に慣れていないのだ。世代が変われば変わる可能性もあるが、もう少し何とかならないものか。カトリーヌに梃入れさせるか。
魔界では農民だったのだろう? であれば何かいい知恵があるかもしれぬ。私では解らぬのだから何かいい方法があれば、実施してもらおう。
『という訳だ。何か無いか?』
『何かないかと言われても困りますよ。長年の積み重ねですから』
『ふむ、それでも何とかならぬのか?』
『そうですねえ……。麦以外を作らせた方が良いと思いますよ。麦以外なら勝手が解らないから何とかして育てるという事を考えると思うでしょうし』
『麦以外か。何か案はあるか?』
『種の仕入れ次第じゃないですか? 手に入るものを育てるしか無いと思いますけど』
『種は手に入るのか?』
『さあ? 人間の市場に行ったことが無いので解りません』
『ふむ、種を手に入れずに育つ物はないのか?』
『うーん、芋なら育ちますよ。市場にも売っているでしょうし……芋なら何とかなると思います』
『芋か。それは育ちやすいのか?』
『簡単ですよ。麦よりも手間が掛からないと思います。あたしの知っている芋なら同じ場所で何度も作ると駄目になりますけど』
『麦と交互に植えるのであればどうだ?』
『良いんじゃないですか? 麦わらも焼きますし、肥料もばっちりですから』
『そうか。……麦わらで小物を作る職業は成り立つと思うか?』
『うーん、難しいと思いますよ。麦わらを買って仕入れて作って売るわけですから利益は殆ど出ないでしょうし、多分農民だから自作してしまうと思います』
『ふむ、農民以外には売れぬのか?』
『売れますけど……多分カルネラ様が食わせていくことになるかと思いますよ。農民以外が少なすぎるので』
『ふむ、であれば麦わらの製品は農家が作るしか無い訳か。それで樵や服飾職人に売って小遣い稼ぎをすると。それしかないか』
『じゃないですか? とりあえず、芋なら育てるのに苦労もそんなに無いですし、良いと思いますよ』
『クレールに仕入れて貰うとするか。芋を仕入れてくるので良いのだな?』
『そうです。芋は芋からでも増えるので。後は他に種があれば買ってきて貰えば良いんじゃ無いですかね? 売っているかは知りませんけど』
『魔界では売っているのか?』
『売ってますよ。自宅で作りたいって人もいますから。少数ですけど売ってますよ。農家をやるほど大量に用意しようと思うと大変ですけど』
『成る程。今度クレールに伝えておこう』
芋か。……前世の私が、芋からも酒が出来ると言っている。酒の原料なら魔界にも売れるな。麦とどちらがいいのかは解らぬが。まあ作ってみてからだな。
ともかく、麦畑以外にも畑を作らせれば、広がるのでは無いかと思う訳だ。……村では麦以外を育ててなかったようだしな。農民の持ち物にも野菜の種は無かった。
恐らく、野菜を作っている集落もあるとは思う。引き入れた村が麦しか作っていなかっただけだろう。麦しか作らなかったのか、作れなかったのかは知らぬが。麦以外を作る余裕次第なのだろう。
ともかくクレールと相談だな。大量に買い付けてもらわねばならぬからな。これで畑も広がってくれれば良いのだが、広がってくれるだろうか。




