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破壊と壊滅

「あれがアーロン皇国の兵隊か」


 景色が見える範囲内の空間転移を繰り返して、あっという間に兵士たちが見える範囲まで到着した。


 ほぼ全員が馬に乗ってディラスト王国に真っ直ぐ進んでいる。兵士の殆どが剣を腰に装備して、シルクハットのような帽子をかぶっている兵士達は、魔導士だろうか。


「かっかっか! いよいよ暴れられるってわけか! お前らはそこでのんびりピクニックでもしてろ! 俺様一人で充分だ!」

「ちょっと何よそれ!? 私達にも来いって言っておいて、私達は遊びに来たんじゃないわよ!」


 移動している間にフリザス王子の恐ろしいまでのオーラも耐えられるようになって、フィリムも恐ることなく反論できるようになった。


「かっかっか! だからピクニックしながら俺の戦いをよく見ておけと言っているんだ!」

「わ……私までピクニックをしていろと言うのですか? 剣聖クレアの名においてここは私の出番なはず」

「かっかっか! 必要ない! 戦争と思ったから来てみれば、雑魚しかいなさそうだし俺様一人で十分だ。剣聖は俺の力を見ておくが良い」

「な!?」

 クレアは言葉に詰まる。


「それに、俺様はただ暴れたいだけだ。敵が恐怖に怯える顔と悲鳴を感じれればそれでいい。邪魔は許さねぇ!!」


 そう言い放ってフリザス王子は勝手に兵士達の所へ正面から突っ込んでいった。

 移動スピードがあまりにも速く、フリザスを目で追うのがやっとだった。


 ここからフリザス王子の大暴れ無双が始まるのだった……。


 ♢


『おいテメェら!! 俺様と戦え!! 全員でかかってこい!』


 物凄いスピードでいきなり現れたフリザス王子の前に、兵士達は怯えているように見えた。


「は……話が違うじゃないか!」

『かっかっか! 何を寝ぼけている? ディラスト王国を攻めるんだろ? だったら俺様を倒すんだな』

「そ……そういう話ではなか──」


 ──バゴッ!!


 フリザス王子は喋っていた兵士が喋り終わる前に一発のパンチをお見舞いし、兵士は吹っ飛ばされ遥か彼方の岩山に激突した。


「か……かかれー!!」


 兵士達は馬に乗ったまま剣を抜きフリザス王子に一斉に襲いかかった。


『かっかっか!! そんな鉄クズで俺様を倒すってか!』


 最初に襲いかかった兵士の剣をフリザス王子は避けずに、腕で剣の鋭い刃を止めた。

 本来なら腕は真っ二つなはずだが……。


 ──ガキン!

「「「「「「な!?」」」」」」


 兵士達は信じられない光景を見て驚きのあまり一瞬金縛りにかかったように動けなくなった。

 見ていた俺たちも驚いていた。


『かっかっか! やはり話にならねーな!』


 フリザス王子は剣ごと兵士を吹っ飛ばす。更に次から次へと倒していく。

 無敵の無双状態だ。


「み……皆! 撤収!! 一旦引返し報告するのだ!!」

『そうか。じゃあ死ね!!』


 フリザス王子は、空高く飛び上がり、右手の拳を空に掲げ、そのまま地面に向けてとんでもないパンチをぶつけた。


 地響きと同時に地面が辺り一面が吹っ飛び、周りにいた兵士達が巻き込まれていく。

 地面がどんどんと沈んでいった。

 その衝撃はかなり距離が離れている俺たちのところまで爆音は響き、地面もグラグラと大きく揺れるほどだった。


 フリザス王子の周りは、隕石が衝突でもしたような大きなクレーターが出来上がっていて、巻き込まれた兵士達や馬もその後起き上がることはなく、ディラスト王国に攻めてくる者は全滅した。


「フリザス王子……とんでもないバケモノだ。剣聖と言われ続けた私でも絶対に勝てない。あのような者がこの世にいるとは思わなかった」

「む……無理もないわよ」

「おそらくギルドメンバーならば今まで存在したこともない伝説のランクSSSクラスも容易だろう……」


 俺たちのところにフリザス王子が独壇場で勝ったというのに不満気な態度で戻ってきた。

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