森の脅威
「どっち…?」
北の森へ10メートル入った瞬間、やはりというかなんというか360度ジャングルだらけという有様となった。
さすがにノープランすぎたね。
入ってすぐだからまだ戻れるけど。
「…これは通った道のマッピングが必要だね」
「一応自分が植物の形状などを覚えているので問題ないのですが、確かに全員がわかる目印が必要ですね」
さすがミドリさんだ。
「よし、じゃあさっきの木にわかりやすい傷でもつけて…」
そうして振り返ってあるはずの木を探すが。
「あれ?」
通ったはずの景色が異なっている。
さっき横を通ったはずの木がない。
たった10メートル。全員で歩いて戻り、確認するがどう見ても草木がずっと続いている。
この位置は入口より手前のはずだ。
「余が上から見てこよう」
「あ、待っ…!」
こちらが止める間もなくリリスは太い木をものすごいスピードで登っていき見えなくなる。
そしてすぐに戻ってくる。
「一面森だらけじゃ!」
「無茶しないで…」
「魔王様、少しですがどこからか魔力の反応が…」
アーサーが魔力探知を行って周りを見渡す。
どういうこと?転移?だったら魔力探知はこの場所を示すはず。
「…嫌な予感がする。この場所に目印を立てて進んでみよう」
今いる位置に枝を刺して旗を立てる。
そしてすぐに戻れるように木に傷をつけながら進んでいく。
5分ほど進むと見たことのある光景が現れ始めた。
「なんじゃこれは!?さっき立てた旗ではないか!」
嫌な予感が当たってしまった。
「つまりこれは…この森に閉じ込められたわけだね」
私はそう断言するしかなかった。
「はぁ…ごめん、さすがに無警戒すぎたよ」
やっと先手を取ったはずが先手を取られた気分だね。
「いえ、謝るのは自分たちの方です。魔境を境界線に張られた森、罠があると予想すべきでした」
抜け出す方法はないのかな?
「こういう罠は内部に原因となる魔法石などがあるはずです。それを壊せば…」
そう言うアーサーは魔力探知でその魔法石を探しているが芳しくない。
「どちらにせよこのジャングルの中探すのは一苦労だね…」
そんな魔法石なんて小さいもの、探すことできるのかな?
「一帯を燃やせばよいのではないか?」
「殺す気なの!?蒸し焼きになるよ!」
またリリスがわけのわからないことを言っている。
「お、食べられる物はありますね。これは食べられる実です」
ミドリが木に生っている赤い実を口に含んだ。
ありがたい、こういう時希望のあること言ってくれるととても助かる。
「なんじゃ!この赤いやつ食べれるのか!全部余の物じゃ!」
赤い実を根こそぎ取ろうとバクバクと食べ始めるリリス。
「味は最悪ですが」
「ごふぁぁ!!ぺっぺっ!!」
「あと大量に食べると毒になります」
「ぴっ!!う~ん…」
ピンと直立しながらバタリと地面へ転がるリリス。
「えぇ!?ちょ…大丈夫なの!?」
「はい、しばらく動けなくなるだけなので。すぐに元に戻りますよ」
「あ、そうなの…」
直立状態のままのリリスを見ると、時折痙攣しながら焦点のあっていない目があちこちへ動いている。
いやもうほんと全部の行動が忙しいな…。
私は食べないようにしよう。
その時、どこからかガサガサと音がするのが聞こえる。
「なに!?」
「魔力探知には…薄くてわかりません」
動けなくなったリリスを引き寄せて音のする方を警戒して構える。
そうしてすぐそこというところまで近づいてきたとき、
「後ろです!!」
ミドリが叫び私たちをドン!と押す。
「うわっ!」
「きゃっ!」
ズサァと地面へ倒れた後すぐに振り返って構えると
「ズゾ…ゾ…」
「あ…」
そこにいたものに対して嫌悪感が沸き、気持ち悪くて全身がぞわぞわする。
「む…む…ムカデーー!?」
体長数十メートルはあろう大きさのムカデがうねうねと木を這っていた。




