町への帰還
地下から出た私たちは不死鳥に村の近くまで送ってもらった。
ボロボロだけど結果は上々、胸を張って帰れるね。
「羽と情報をありがとう、不死鳥さん」
「礼を言うのはこちらの方じゃ。それによいものも見せてもらったからの」
後ろにいる3人を見渡す不死鳥。
「…うん!自慢の仲間だよ」
少し頬を赤らめながら言う。
みんなも笑っているようだ。
「わしから聞けなかった話はそっちで聞くがよい」
「わかった、ありがとう!」
そうしてみんなと顔を合わせる。
さて、帰ろう。
「あぁ、待て待て。そういえばぬしら、名前は何じゃったかな?魔王と呼ばれておったじゃろう」
あ、そう言えば出会いからバトルまで唐突過ぎて自己紹介もしていなかったんだ。
「エルクル、魔王をやってる」
「参謀アーサーです」
「四天王の一人ハル」
「魔王リリスじゃ!」
一人ずつ名乗ると不死鳥は一人一人顔を見て頷く。
「覚えたぞい。エルクル、アーサー、ハル、角付きじゃな」
「クソじじいが!もう一度メテオを食らわせてやるわ!」
「やめなさい」
暴れそうだったので首根っこをつかんで止めた。
「はっはっは!最後になるがわしは不死鳥!名前はない!もしなにかあれば頼りに来るがよい!ではな、さらばじゃ!」
そうして不死鳥は巣へと飛んで帰っていった。
あぁ、なんかすごい疲れたね。
町へと帰ってきた私たちは例の情報過多すぎる転移所へ向かっていった。
「すみません、転移をお願いしたいんですけど」
「はいはい。おお!君たちか、お帰り…ってどうしたんだ!?傷だらけじゃないか!」
あぁそうか、手当は終わっているけど完全に治ったわけじゃないからね。
服も焦げてるし傍から見たらそりゃやばいよね。
「あぁいや、これには事情が…」
説明するのも大変だな。
なんて言おう…。
「いやいい!とにかく手当を!この店は観光案内所かつお土産屋かつ情報屋かつレンタル屋かつ転移役所、そして俺は医師の免許も持っていてので病院も兼ねている!」
この店兼ね過ぎでしょ。
「はぁ、でも転移を…」
「この状態では渡せない!それにもう日も暮れかけている!おとなしくここに泊まっていくんだ!」
「魔王様、私も疲れました。お言葉に甘えましょう」
助言するアーサーと二人を見ると確かにみんな限界そうだ。
リリスに関しては座り込んで寝ている。
「…じゃあお願いするよ」
「承った!じゃあ奥へ!」
そうして1日世話になることになった。
その後は問題なくちゃんとした手当をしてもらい一泊。
傷の言い訳はグリフォンの巣をつついてしまったでゴリ押した。
多分気づかれて何か訳ありって思われただろうな。
転移も問題なく魔境の近くまで設定してもらえることとなった。
「ありがとう、店員さん」
転移の間に入りながらお礼を言う。
「いいってことよ、お代の品ももらったしな」
ひらひらと不死鳥の羽を二本こちらに振ってくる。
「それに、俺も魔族の知り合いができるとは思わなかったよ」
魔族どころか魔王ですよ。
「もしまた来たら寄ることにするよ」
「その時はお土産も買っていってくれ。じゃあな」
そして魔境の近くへと転移していく。
「いいのですか?羽をあげてしまっても」
ハルが尋ねてくる。
「いいんだよ、こんなにあっても困るし…」
そうして今回の旅が終わっていった。
--------------------不死鳥の巣にて--------------------
「…そういえばあの魔女、アオイが言っておったな。魔王と呼ばれるものはただ一人しか存在しないと。名前は確か、リリスじゃったか?となるとエルクルとは一体…」
6章へ続く




