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それから半月、リラはユノの研究室に閉じこもったまま出てこなかった。
たくさんの医療記録の中に、兄の名を見つけた。
“ヘルメスの木”の症例一覧。
最新の症例として研究記録の終わりに自身の名前が刻まれる。
それがユノ・メディカの全て。
それを目にしたとき、リラはまた涙を流した。
涙を流しても、頁をめくる手は止めなかった。
死者は救えない。
それを知った今、それでもリラは前に進まなくてはいけない。
何もかも変わらなくても、それでも進まなければ、死んでいるのと同じだ。
だからリラは進むことに決めた。
「それでは、行ってきます」
そしてリラは旅に出る。
愛用のドクターズバックに兄の遺書を詰め、残された患者を救う旅に出る。
今ある、リラの全てを賭けて。その一歩は踏み出された。
これにて第一部、終了です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
第二部にもお付き合いいただけたら幸いです。




