卒業式の日
【作者よりご挨拶】
初めまして!本作をご覧いただき、ありがとうございます。
私は海外在住の作者で、長年日本のアニメやライトノベルに親しんできました。その感謝を形にしたくて、この物語を書きました。
日本語にはまだ不慣れな部分があり、翻訳ツールを使用しています。もし「ここは不自然だな」と思ったら、こっそり教えていただけると嬉しいです。
本日は【10話】公開しました。明日以降は毎日1話ずつ更新していく予定です。
どうぞよろしくお願いします!
卒業式当日。
ついにこの日が来たのかと、俺はまだ信じられずにいた。
講堂は学生たちで埋め尽くされ、何列にも並んだ座席には、俺たちが身にまとった正装姿がずらりと並んでいる。
銀色のボタンがあしらわれた、紺色の制服。
三年間にわたる絶え間ない体力試験、筆記試験、各種テスト。さらには実際の警察活動を想定した実地訓練まで。
そのすべてが、ついに終わったのだ。
俺たちは全課程と訓練を優秀な成績で修了し、いよいよ現実の世界へと踏み出す時を迎えていた。
俺たちの向かい側、壇上に設けられた小さなステージには、一人の男が立っていた。
卒業式を締めくくる挨拶。そして、東京の新たな若手警察官となる俺たちへの、いくつかの助言。
男はそれらを語り始めた。
「魔法警察の世界は、非常に危険な場所です」
彼はそう切り出した。
「生半可な覚悟で務まる仕事ではありません。任務では、さまざまな状況に遭遇することになるでしょう。その中には、学院で学んだ知識や訓練だけでは対処しきれないものもあります」
「魔物、呪い、汚職……。我々の使命は、魔法から人々を守ることだけではありません。人々から魔法を守ることもまた、我々の使命なのです」
彼が身にまとっていたのは、白を基調とした海軍式の礼装だった。
その名は、松本健次郎司令官。
日本全国で発生する魔法関連の事件や事故に対処する、日本政府直属の組織。その一部門である魔法特殊緊急対応部隊、通称M-SERTを率いる人物でもある。
「しかし、この三年間、皆さんの活躍を見てきた私は……」
司令官は一度言葉を切った。
「危険を前にしても決してひるまない勇気。任務を成し遂げようとする決意。そして、どれほど困難な挑戦であろうと、決して背を向けないその勇敢さ……」
そこで再び、司令官の言葉が途切れた。
短い沈黙。
彼は講堂を見渡し、そこにいる一人ひとりへと視線を巡らせた。
その眼差しには、誇らしげな思いが込められていた。
そして、目の前の光景に満足したのか、司令官は再び口を開いた。
「皆さんは、我が学院がこれまで育て上げてきた中でも、最も優秀で将来有望な人材だと、私は確信しています」
「警察官として、隊長として、そして刑事として。皆さんが素晴らしい成果を上げてくれることを、疑ってはいません」
彼は堂々と胸を張った。
「さあ、行きなさい。そして、魔法のために。そして魔法から人々を守るために。この世界をより安全な場所にするのです」
……ああ、もうダメだ。
嬉しすぎて、今にも心臓が胸から飛び出してしまいそうだった。
子供の頃から、ずっとM-SERTの隊員になることを夢見てきた。
それが今、現実になろうとしている。
それでも、まだ信じられなかった。
本当に、俺がM-SERTの隊員になれるなんて。
やがて講堂にいた全員が立ち上がり、盛大な拍手が巻き起こった。
俺たちは司令官を拍手で見送りながら、彼が建物の出口へと向かうのを見届けた。
司令官は最後にこちらへ手を振り、そのまま会場を後にした。
拍手が収まり、俺たちが再び席に着こうとした、その時だった。
最前列にずっと座っていた人物が、ふと視界に入った。
カオリ・カツラギ。
別名、俺が猛烈に片思いしている女の子。
いや、正確には、学院中の男子が彼女に惚れていたと言っても過言ではない。
それくらい、彼女は人気者だった。
長い赤髪に、澄み切った青い瞳。
まさに才色兼備を体現したような女の子だ。
授業中の集中力も、目標に向かって努力する姿勢も、他の誰にも真似できない。
学院の成績上位者たちの中にあっても、彼女は筆記試験でも実技試験でも、常にトップの座を勝ち取っていた。
何事にも妥協しない、仕事一筋のキャリア志向。
そんな彼女にデートを申し込んだ男子たちは、例外なく即座に撃沈していた。
返ってくる言葉は、いつだって容赦なく率直。
そして、ほんの少し冷たい。
そんな彼女が、ふいにこちらを向いた。
目が合った瞬間、鋭い視線が俺を射抜く。
「っ……!」
慌てて目をそらした。
まるで最初から彼女なんて見ていなかったかのように、必死に平静を装う。
ああ、くそっ。
見ていたのがバレた!
心臓がバクバクと音を立てている。
しかし、彼女が再び正面へと視線を戻したのを確認すると、俺はこっそりと、もう一度だけ彼女を盗み見た。
そして、心の中で固く誓った。
――いつか、必ず。
いつか俺は勇気を振り絞って、君と真正面から向き合い、この気持ちを伝える。
カオリ・カツラギ。
今日じゃなくてもいい。
でも、そう遠くない未来に、必ず。
「それでは、皆さんは来週までに本部へ出頭するように」
今度は学院の教官が壇上に上がり、俺たちに指示を出し始めた。
「本部では、警察手帳とバッジの交付を受けるとともに、最初の配属先が決定されます」
「また、卒業した隊長候補の皆さんには、配属可能な現場要員の各班から、自分のチームを選ぶ機会が与えられます」
教官はそこで一度、俺たちを見渡した。
「ですから、勤勉で有能な仲間と組みたいのであれば、何があっても遅刻だけはしないことです」
「それでは改めて、学院の全課程を無事に修了したことを祝福します。諸君の健闘を祈る。以上、解散!」
俺たちは席を立ち、出口へ向かって歩き始めた。
それでも俺は、今起きていることのすべてが、まるで夢のように感じられてならなかった。
ついに、俺はM-SERTの隊員になったのだ。
しかも、ただの隊員じゃない。
隊長として、自分だけの部隊を率いることになる。
これから始まる新しい生活を想像するだけで、胸が躍った。
ただ、一つだけ願うことがある。
どうか、どんな状況でも任務を確実に遂行できる、有能な仲間たちと組ませてほしい。
勇猛果敢で、任務に忠実。
誰よりも勤勉で、規則を守り、効率よく仕事をこなす。
そんな精鋭ぞろいのチームこそ、俺が思い描いていた理想の部隊だった。
……もっとも。
この時の俺は、まだ知る由もなかった。
これから自分が、まさにその正反対のチームを率いることになるなどとは。




