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お兄ちゃんと神絵師

私のお兄ちゃんに新しい出会い。それは私の友達の事だよね?

 最近、刀剣神姫というライトノベルが面白い。


 絵師仲間に薦められて、仕事の合間に読み始めた。


 巨大な鬼。角を2本持った人型の魔物が、洞窟の中ギロッと、こちらに狙い定めて。大きな足音がズンズン迫る。

「鬼ぃぃ!!?ガ、ガイドさん?!あれ?!」

 スラリとした体格の、ちょび髭の男性が慌てて辺りを探す。

「ガイドさんがいない・・・」

 ぐおおおおおっ!唸り、地響きの様な音が近付いて来る。絶対絶命?

「私、生贄にでもされたのですか?何か悪い事しましたか?」

 哀れな男は・・・



 クアドラート首都レグノリアという美しい石畳の広い道と、建物で都会と分かる街。広場には、噴水と優美な大聖堂。彼方に城も見える。


 大通りを行く、2人の美少女に目を止めるのは、通行人の同じく2人組の男達。こちらも今時の服装で小洒落ている。


「髪ロングの子、可愛いなぁ。めちゃくちゃ綺麗」

 絶世の美貌に、オシャレな服。均整の取れた身体付きに目が釘付けになる。

「もう1人の、セミロングの子もな!あの子の耳、彼女エルフだぜ。エルフは成人になると歳をとらないんだぜ」

 エルフは妖精の一族。長い耳と美しい顔立ちが特徴。

 恐ろしくレベルの高い少女達だ。


 ドキドキ。

「話しかけてみようぜ?」

「行くか?」


「あのー」

 声をかけたのは。

「「?」」

「こんにちは。可愛いお嬢さん方」

「「こんにちは」」

「?何ですか?」

 別の男だった。

((先越された!))


「私この様な物を配らせていただいております」

 路上で、旅行パンフレットを、愛想が良く背の高い眼鏡男性から貰った、ラウィニアという少女と、その友らしいエルフ族の少女ディアナ。


 美しい山と朝日が表紙。裏表紙は雲と月。パンフには、こうある。

「東方の島 八洲国《やしまこく》の旅?」

「ええ」

 ラウィニアに、にこやかに頷く眼鏡男性。

「私、旅行代理店の者です」

「へえ、東の島国の」とディアナ。

「クッ」

 少女を物欲しそうにしていたモブキャラ達は去って行く。


「この度、オススメのプランでして。1週間後の出発です」

「はあ」

 パンフを開くラウィニア。

「八洲国《やしまこく》。東海の島国は初代将軍 藤林《ふじばやし》 元長《もとなが》公によって統一されました。それから30年、現在は3代将軍 藤林《ふじばやし》 亘《わたる》公の治世です。将軍の居城『御月城《みづきじょう》』や、・・・伝説のモンスター『龍』『鬼』伝説の眠る国 八洲国で、エキゾチックな癒やしの一時を過ごしてみませんか?」

 お城の図も描かれていて。


「お城良いなー。え?ええー?!」

「?どうしたの?ラウィニア?」


「ディアナ!八洲国巡りがたった200オーロだって!やったー!」

 はしゃぐラウィニア。

「何か安過ぎな・・・大丈夫?丁度、夏季休校だけど」

 ディアナが眉をひそめ警戒するが、ラウィニアは、訳知り顔に微笑んで。


「ふふっ♪おじいちゃんが言ってた。疑わしくないものこそ、注意が必要だって」

「ラウィニア、それは、疑わしいものに注意が必要無いとは言ってない」

「まあ、良いけど」と、ディアナも案に乗る。

 じゃあ、と3人の旅行を申し込む。兄レオーネが、休暇中だから保護者として付いて来てもらうと言う。



 ザザー。海を大きな帆船が進む。海鳥達が飛翔している。

 少女達はおめかしして、甲板で船と海の景色にテンション上げていた。

「海、綺麗!」

「見て、イルカ跳ねてる!」

(旅、それは全ての束縛を忘れさせる何かが有るが・・・)

 そこへ。

 カツーン、カツーン!

「私の艦へようこそ。お嬢さん方」


 片腕の先は義手の金属製フック。片脚の先は木製の棒義足。片目に黒い眼帯。


「艦長のステファノ・ディ・カンパネッラだ。艦長《コマンダンテ》と呼んでくれ!」

「ひゃ!?」

 初老の男の登場。場数を踏んだ強者の顔。船長服と帽子を身に付ける。

(新たな出会いも・・・ある・・・)


「怖そう!?」

「艦?!コマンダンテ?!この船軍艦なの?!」

 慌てる少女達。ヒソヒソ話す。


「船旅を楽しんでおられますかな?」

 ガッチャーン!ガッチャーン!義手の手首を捻る艦長。

「は、はい。良い船ですね」

 ラウィニアが冷や汗をかきながら答える。


「フッ、それは良かった」

 ニヤリと笑う艦長。視線を移し。


「あちらの男性はお身内かな?」

 そこには、1人若い男性がこちらを見ていて。

(クアドラート騎士団の軽装備・・・)

 艦長は、若い男の服装をそう評す。

「兄です」

「へえ」

 カッ、艦長が歩く。


「何か困った事があったら、何でも言ってくれ!」

 手を挙げ、笑顔で去る。


 海風に帆がはためき。波の音が心地良い。潮の香。艦は、それ程揺れない。

(良い人?)


「私の艦へようこそ。騎士殿。休暇中かな?海軍《マリーナ》のステファノ・ディ・カンパネッラ大佐だよ」

「第1騎士団レオーネ・ディ・クエスティです。?海賊《ピラータ》でも出ましたか?」


「違うと思う。クエスティ卿。八洲国との連絡が取れんのだよ。船も帰らんし、魔導士による念話も遠見も効かん」


 レオーネに冷や汗が浮かぶ。そっと、視線を2人の少女へ。

(何それ?!)耳の良いエルフ少女には聞こえていた。

「・・・」

 ラウィニアには聞こえて無かったが。でも・・・

(あ、今回の旅行はダメっぽいな。お兄様の顔に出てる)

 察した。


 青ざめるディアナと、頬に汗が伝うラウィニア。


 場を艦内客室へ。

「つまりだ」

「「・・・」」


 レオーネが聞いた話を伝える。

「約1ヶ月、八洲国から船が帰って来ない。魔法を用いた連絡も遠見も、妨害に遭う。クアドラート王クリストフォロ4世陛下は、秘密裏に事態を究明する様、参謀総長ジョヴァンニ・ディ・オルディネ卿に打診。この艦リベルタ号に、調査命令が下った。軍艦だが、民間船として情報収集にあたると言う事」

「うう」

「何で私達、その船に乗ってるの〜」



 クアドラート城。城内を歩く男に声が掛かる。

「オルディネ卿」

「何か?」

「国王陛下がお召しです」

「うむ」

「こちらへ」


「陛下、オルディネ卿です」

「参ったか、席へ」


 黒髪黒髭王冠を頭に戴く男。クリストフォロ4世。

「八洲国の件どの様に進んでいる」

 その場には、丸眼鏡の老大臣セラフィーノ・ディ・エルカーン。騎士団長レナート・ディ・ザナルディ。参謀総長ジョバンニ・ディ・オルディネが集った。


 オルディネ卿が答える。オールバックに撫で付けた髪。切れ長の瞳は、切れ者を連想させる。

「原因究明を急いでおります。3つの対策を進めました。1つ、海軍のステファノ・ディ・カンパネッラ大佐にリベルタ号を付け、八洲国へ派遣。情報収集を。2つ、エルカーン大臣に魔法院と魔術師ギルドの記録から、今回の八洲国に似た事件の調査を依頼。古代エルフの王国ミセリコルディアでの事象を始めとし、ここ5千年に7回、714年周期で起きています」

 エルカーン大臣が引き継ぐ。

「そう。ミセリコルディア等は強力な魔物に襲われ滅びています。あまりに周期が長く、場所も魔物もその度違います」

 クリストフォロ4世が質問をする。

「魔法は何故使えん?見解は?」

「記録によると、魔物が強力な魔力を持っていて、他の魔法に影響が出ています。情報収集を待ち、救援するべきでしょう。オルディネ卿に続きを」

 目を閉じて引き継ぐ。

「国王陛下、並びに諸兄方。お話の途中で申し訳ないが」

 レナート・ディ・ザナルディ騎士団長が発言する。

「?」

「どうぞ。騎士団長」

 オルディネ卿に促され。彫りの深い渋めの男が発言した。

「では・・・八洲国が危ないという事は、私は今回この席で初めて知った訳ですが。つまり、騎士団としては聞いて無かったのです」

「うむ。大臣には知らせたが、参謀総長に内々に調査を命じたのでな」

 汗が伝う騎士団長の頬。

「八洲国行きの船を今朝、見送りました。休暇中の騎士が乗っています」

「騎士が?それは申し訳ない。命令が徹底されず」

 オルディネ卿が謝る。

(あの大佐の事だ。客船に見せかける為、本当に客を乗せたか)

「それは、その騎士にはすまないが。大佐の指揮に従って貰おう」


 老公エルカーン大臣は考える。

(ふぅむ。クアドラート騎士と言えば、大陸中に名を轟かす。此度、戦力として期待出来るかも)

「親しい騎士なのか?ザナルディ卿?」

「勿論。唯一無二の、私の副官です」

 辛そうに告げる。

「「「は?!」」」

「「「レオーネ・ディ・クエスティ卿!!?」」」



 ははっ♪何が始まる?一巻は、そんな出だし。クエスティ兄妹、刀剣神姫。ストーリーも面白いが、イラストが上手い。絵を描いているのは。


「飛鳥カフェ・・・喫茶店みたいな名前。コーヒー好きなのかな?」


 1巻、2巻と読んで、3巻で完全に引き込まれた。自分の仕事が疎かになるのでは?と、心配になる程、夢中になって読んでいた。


 SNSで検索をかけてみた。同じ名前がいくつか出てくる。


「これかな?偽アカウントがもう出来てるんだ」


 本人のアカウントを見付けて、イラストと、コーヒー、スイーツの写真の投稿をしているのを確認。


 コーヒーミルを使った投稿等も嬉しそうにしている。幾つかに共感し、いいね とフォローをした。



 雨が激しく降っている。土砂降りに近い。今日は、雷注意報も出ていたはずだ。


 登下校が憂鬱な日。風が吹くと傘が壊れるんじゃないかと心配だ。髪と肩、カバンも少し濡れた。靴は、気を付けないと本当にやられる。


 走って来る車が歩道に水溜りの水を飛ばすのがヤバいのだ。


 何とか着席。朝のホームルーム前。ガヤガヤする教室にて。一際元気な声がした。


「花!花!前から思ってたけど、花って、刀剣神姫のラウィニアに凄く似てるよね!?何でこんな似てるの!可愛いから似るのかな?」


(んん?気付いてたか。伊織)


 クラスメイト千葉《ちば》 伊織《いおり》が私の席の横まで来ていて、身振りを交え、テンション高く確認して来た。


 黒く長い髪をポニーテールに、生き生きした活発そうな伊織は、自他共に認めるオタクの女の子。伊織って、格好良い名前だなぁ。ポニーテールも、どこぞの剣士みたいで。


 女の子版、佐々木小次郎と密かに思う。いや、言えないけどね(汗)。


 高校に入ってから、オリエンテーションの自己紹介で互いに興味を持って友達になった。


 カバンに推しキャラのぬいぐるみを幾つも付け。普段から、明るく我が道を行く性格。武士道ならぬオタク道を極めつつ有る達人。


 私が、ライトノベル『刀剣神姫』を薦めたらどハマりした子の1人である。好きだろうなと思ってた。これで、更に親しくなったよね?


「・・・ありがとう」

「あー!?今の、3巻のラウィニア初登場っぽい!」

「!」

(良く読んでくれてる。嬉しい♡伊織には、隠せないなぁ。最近の私は、自分に似たラウィニアに影響を受けている)


 クラスメイトの中には、2人の会話に聞き耳を立てている人もいた。

「やっぱり、ラウィニアに似てるよな?」

と、言う男子生徒の声も聞こえる。


 やや?伊織以外のクラスメイトも読んでくれてるの?


(お兄ちゃんとカーター先生の刀剣神姫は凄いよ♪ただ、反響を受ける身としては、思うところが・・・この後どうなるんだろう)


「伊織。今日は予定有る?雨だけど、私の家来れる?」

 手を握ると、瞳を輝かせ、

「花の家?初めてだ!行く!楽しみだ〜」

 伊織が満足そう。伊織と私は、気安く名前を呼び捨てにしあう仲になっていた。


 何か、花ちゃんとか、ちょっと子供っぽいんだよなぁ。伊織ちゃんは、読んで違和感無いんだけど。


 携帯を取り出す。先生がもうすぐ来ちゃうから、慌てて。お母さんとお兄ちゃんに、メッセージアプリで軽く事情を伝えた。


 男子達がその時、

「俺も行きたい。花ちゃんの家」

「俺も連れてって」

「花ちゃん、可愛いな」

 とヒソヒソ言っていた。

 こらこら、花ちゃんって言うな。せめて、花さんが良いなぁ。クスリと笑いが溢れた。


 帰路、雨の中。傘を差す他の学生達と同じ道を行く。傘の花と言うが、土砂降りの中差すのは大変。

「ごめんね。伊織。こんな雨の日に誘って(汗)」

「全然大丈夫だよっ♪」


 2人学校の最寄り駅に着き、傘を畳むと。30歳くらいの大人の男性に声をかけられた。グレーの背広にネクタイ。口髭が特徴的。サングラスを外しつつ。


「君、君!突然だけど、ちょっとお時間良いかな?」

「え、なんですか?」

 良くないですけど。

「やっと会えた。いや、こういう者なんだが」

 名刺を貰った。ああ、芸能事務所の人?

「芸能人に興味有るよね?当然さ。良かったら、君のこの後を左右する、重要な話をしたいのだが」

「「スカウト?」」

 実は、またかと思う。私は慣れていた。


「うん。スカウトだ。私の事務所はこの業界の最大手でね。この駅を信じられない美少女が使っていると聞いて。No. 1プロデューサーの俺が来たんだ。3時間張った甲斐が有るよ」


 舐める様に?私の顔から身体までさりげなくを装い眺めるスカウト。どこかの神聖帝国将軍を思い出す。


「本当、凄く可愛いね!はは!天使みたいだ。俺に任せてくれれば。君なら、絶対直ぐにデビューさせてあげるよ!だから、分かるよね」

 彼が必死に声をかけている。少女を、商品として物にしようとしている。


 伊織は、会話に花の名前を出さない様に控えている。スカウトに情報を与えない為だ。


 でも、この辺りを張っているスカウトは皆、飛鳥 花の学校、名前は調査済みかもしれない。もしかしたら、家の住所を知っている線まである。


 絶世の美少女。刀剣神姫でラウィニアの形容詞だが、そのまま花に当てはまる。その希少な宝をモノにしたい。


 刀剣神姫の事までは、この人は知らないんだろう。


 スカウトは、名刺で身分を証明しているが、中には怪しい大人もいるのではと。伊織は思う。本物で無かったら、何にデビューさせられるか分かった物じゃ無い。

(可愛い花を、連れて行かせる訳にはいかないな。ドナドナの仔牛を見送る様な、最悪な気分にさせないでくれよ。まあ、花なら・・・トップアイドルにもなれるだろうけど。このストーカーもどきはダメだ)

「あの」

「じゃあ、そこの喫茶店でお茶をご馳走するから、付いて来て。甘い物を食べながら、これからの詳しい方針を」

 ぐいぐい話を進めようとする。


「・・・ごめんなさい!」最後まで言わさず、お辞儀して。花は伊織と急いで改札を潜った。

「待ってくれ・・・っ!どこかに行くなら俺も行くから!」


「怖かったね?」

「うん。ヤバいね。喫茶店は好きだけど、それはお兄ちゃんと行くからだよ」

「おお、花の推しのお兄ちゃん。会ってみたいなぁ。まあ、私の推しは」

 二次元キャラの名前を出し、カバンのぬいぐるみに愛を囁くいつもの伊織に、花はホッとし。嬉しくなる。



 郊外の一軒家。百貨店勤務のお父さんが、頑張って建てた、家族仲良し憩いの家。駅からは徒歩10分くらい。面した道は、住宅地でそれ程広くはないが。


 ピンクの外壁に、グレーのアクセントが入ってオシャレな家だと思う。敷地に、割と大きめな白い車が一台停めてあるのは、お父さんの愛車だ。


 お父さん、たまに事故るから、ちょっと心配。


「ただいま〜!」

「お邪魔します。おお、中もオシャレな玄関だね〜」

 傘を立て。靴を揃えて脱ぐ。

 観葉植物が飾られた綺麗な玄関。白い壁。


 リビングから、お母さんが返事しながら出てくる。お母さんは、セミロングに私に似た顔立ちの女性。


「お帰りなさい。花?連絡の有ったお友達?」

「うん。お母さん♪伊織だよ」

「千葉 伊織です。初めまして!」

 伊織が明るく答える。

「伊織ちゃん?花が仲良くして貰ってるって話してたわ。ありがとう。初めまして。ゆっくりして行ってね?」

「ありがとうございます!お母さん、お綺麗な方ですね!花に似てる!」

「まあ、ふふ♪ありがとう!2人とも、濡れなかった?タオルいる?靴は大丈夫?」

「少しだけ濡れたかな。でも大丈夫だよね?」

 頷く伊織。

(花も、お母さんも美形か。これは、花がいつも話しているお兄さんも・・・まあ、私にはこの子達がいるから。浮気はしないからねぇ〜)



 ドーン!!!

 雷が落ちた。様な気がする。

(レ、レオーネがいただと?!)


 リビングには、お兄ちゃんが席に着いて。アイスコーヒーと美味しそうに、メイプルシロップとバターで2段重ねのホットケーキを食べていた。


 ナイフとフォークを器用に使うお兄ちゃん。映えるなぁ♡


「ただいま〜。お兄ちゃん♪お友達の伊織、連れて来た!」

 お兄ちゃん、お兄ちゃん♪


「お帰り。花。伊織ちゃん?いらっしゃい。花の兄の将です」

 美青年の若々しい美声が耳に心地良く。

「レ、レオーネが私の名前をだと?!!ぐはっ!」

 あ、伊織が顔を赤らめている。これは?


「花とお兄さんが、ラウィニアとレオーネで?!・・・!そ、そうか!異世界転移か!?」

「「違うよ!」」

 どうして、そう?まあ、そう思うのか?

「じゃ、じゃあ、転生!?」

「「違う!」」

(多分、違うよね?)


「皆んな、ホットケーキ食べるでしょう?何枚食べる?」

 お母さんはマイペースで可愛かった。

 ホットケーキというと、昔大好きな絵本が有ったなぁ♪


 千葉 伊織は、その日、飛鳥 花の兄、飛鳥 将が刀剣神姫のイラストレーター、飛鳥カフェだと聞かされた。


「は!?な、な」


 混乱魔法をかけられた状態から、何か危ないキノコも食べさせられたかの様。マジック何たらというキノコが、この世界にも有るらしい。


「飛鳥カフェ先生?」

「うん」

 信じられない。そんな顔をしていると。タブレットで、描いたイラストを見せてもらい。しかも、その場で描き始めた。


 ドーーン!!!

(また、雷が落ちた。様な気がする。稲光さえ、室内なのに見えた気が?)


「あ、あ、あっ」


 伊織は、自分から手を差し出して、お兄さんと固く握手したのは覚えている。抱き付いても良いくらいだった。


 花のお母さんが作ってくれたパンケーキを食べたはずだが、味が思い出せない。あるあるだ。


「花、肩が雨で透けてるぞ?」

「ふふ。お兄ちゃんなら見ても良いよ?私もアイスコーヒー飲みたいな♡」

 リアル、レオーネとラウィニアの、ラブコメを見て。


「じゃあ、また明日学校で。伊織♪」

 それに、頷いた。

 ぼんやり、花が駅まで送ってくれた様な気がするが。

 そこから、伊織が気付いたら翌朝。どうやって帰って来たんだろう私。


 起きた時、夢だったかとも思った。だが、勉強机の上。新しい推しに出会ってしまったと、昨日の日付で自分の字で、日記に詳細に書かれていたのと。


 その横の昨日貰ったであろうラウィニアとレオーネのイラスト付き、飛鳥カフェ先生の直筆サイン色紙。伊織さんへと描かれているのを見て。


「きゃーーっ♪♬」と、黄色い声を上げていた。



飛鳥カフェのSNS

 コメントが付いていたので確認する。とあるアカウントからのフォローに、フォローバックした事への反応だった。


橘《たちばな》 綾瀬《あやせ》

 飛鳥カフェさん、初めまして。橘 綾瀬と申します。フォローバックありがとうございます。


 刀剣神姫、読ませていただき。ストーリーに飛鳥さんの絵がとても映えていて、感動しました♪


 私もイラストレーターをしています。アイスコーヒーも大好きです。これからよろしくお願いしますね♬



 それは、その名前は。将は驚いた。何でフォローしてくれたか分からずに、フォローバックしていたのだが。


 若手の中、ライトノベルの挿絵を多く手がける、美人としても名が知れている人。雲の上の存在と思っていた。


 そんな、『神絵師』と言われる女性の書き込みだった。


続く

(╹◡╹)♡

 今回、短めのお話でした。リアルに、台風の影響でお休みになったので。書けちゃいました♪

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