お兄ちゃんのお仕事
いつもの朝ごはん。お兄ちゃんと私のほのぼの癒し時間が流れる。
今回、お兄ちゃんの絵のお仕事のお話です。お兄ちゃんがイラストを担当するライトノベル3巻が発売されて?
その反響は・・・。
お兄ちゃんが、リビングで携帯をいじっている。
(今日も、お兄ちゃんは格好良いなぁ♪)
今日は、お兄ちゃんの方が先に起きてた。私も顔を洗い、髪をセットして、制服に着替え終えている。
今日は良い天気。窓を網戸にすると良い風が入って来る。キッチンにいる私は、朝ごはんを作っている。後はお兄ちゃんのだけ。
TVの天気予報は、今日は一日中、晴れでしょうと言っている。
目玉2個のベーコンエッグをフライパンからお皿に移す。トーストも焼けた。トーストは、バターを使って食べると美味しいよね♪ヨーグルトにメイプルシロップをかけた物も用意。
「お兄ちゃん、朝ごはんが出来た♪」
「んん。ありがとう、花」
2人、笑顔で手を合わす。
「「いただきます」」
朝の登校前の団欒。少し眠いけど幸せを感じるひと時。
この場にお父さんとお母さんはいない。何故か。仲の良い2人は、月に一度、旅行に行っている日だから。
位置情報アプリで探したら、今は、山形県の鶴岡という所かな?あれ?おじいちゃんの故郷だ。
「美味しかった。花、アイスコーヒー飲むか?」
「飲むー♪」
癒されるなぁ。
いつもの日常。そんな中、この時の私は知らなかったけど。お兄ちゃんのお仕事は動いていた。
携帯。メッセージアプリのグループメッセージ。
飛鳥カフェ
カーター・ノー先生、新選文庫八巻様ご無沙汰しております。刀剣神姫の3巻原稿、読ませていただきました。とても熱い展開で、ワクワク、ハラハラしました。
僕なりに解釈して、レオーネとラウィニアの出会い他。ご指定の箇所のラフ画が描けましたので、ご確認下さい。よろしくお願いします。忌憚ないご意見賜りませれば。
既読2
画像
既読2
カーター・ノー☆
飛鳥先生♪♫とっても嬉しいです!
(^ω^)ラフ画、レオーネとラウィニアが私のイメージ以上のデザインで、大大感激です!流石です!
やっぱり、先生に似てますよね。レオーネ!ラウィニアも、あの子に生き写しで!
ラウィニアが助けられるシーン。デザイン、切なくて可愛くて、格好良かったです!
既読2
八巻 古都葉
飛鳥カフェ先生、編集部でも、画像データ確認させていただきました。編集長も私も、凄くラフ画気に入ってしまいました!ありがとうございます。
そのまま線画に進んで下さい。期限は、〇/△(◇)迄で大丈夫でしょうか?他、依頼書の通りでお願いします。作品の完成、とても楽しみにしております。
良い作品にしましょう!
ところで、カーター先生あの子って誰ですか?ラウィニアのモデルになっている子がいるんですか?生き写しって、あんな美少女が実在を?!飛鳥先生?
既読2
私は高校生。今日も電車に乗って通学。友達との時間は好きだけど。授業があまり楽しくは無い。頭に詰め込んでいるけど。将来何の役に立つの?
お兄ちゃん、私を貰ってくれないかなぁ。ずっとお兄ちゃんと一緒が良いなぁ。神様、どうにかなりませんか?
(わ?!)
この日。帰宅した私は、リビングで仕事するお兄ちゃんの背中越しに、描いているイラストを覗いていた。驚いた。目が離せない。
どんどん上手くなっている。お兄ちゃんはやっぱりプロだ。
美しいストレートのロングヘア。幼さを残しつつ整った綺麗な顔立ちの美少女を、護る?厳ついブラックアーマーの目付きが凶悪な髭男が、紅く輝く剣を構え。シルバーアーマーの美丈夫と対峙する構図。
(何このシーン!ラウィニアとレオーネの間の強そうな髭は誰!?)
この絵は。刀剣神姫のヒロイン、巫女姫ラウィニア・ディ・アストレアが、騎士レオーネ・ディ・クェスティと2度目に出会うシーン。
(え〜?!見つめ合う2人が、私とお兄ちゃんにしか見えないんですけど!?私、肖像権貰って良いんじゃない?!)
(凄く切ない顔。お兄ちゃんになら、恋しちゃうよね!)
ライトノベル『刀剣神姫』。作者は、文章担当がカーター・ノー。イラスト担当は飛鳥カフェ。
飛鳥カフェとは、お兄ちゃん飛鳥 将のペンネーム。秘密だからね?
私は妹の飛鳥 花。
1年前の8月。夏休みに発売された1巻で。レオーネとラウィニアはクェスティ兄妹として初登場。友達のエルフの女の子と、3人で東の島国への観光旅行へ出発。
その筈が、強大な魔力を秘めた魔物が出現した彼の国での冒険活劇が始まり、大賢者を助け、協力して一国を救い仲間を増やして帰国すると言う。
ラウィニアの力の一端が神秘的に描写され。その加護を受け、二剣を振るうレオーネの強さを印象付けている。
当時は、ストーリー設定がマニアック?で売れるか作者達も心配していたんだけど。予測不能な展開とイラストが綺麗だったので、そこそこ話題になったみたい。
その4ヶ月後12月に発売された2巻の中盤では、聖人ナターレの祝祭日を祝う2人がリストランテで食事。
その場で、実は血の繋がらない兄妹だと読者に明かされる。
若き騎士団副団長レオーネと、騎士団長レナートの友情。王国で一二を競う剣術の技。それは、周りから神技と絶賛される物で。
国王や大臣、参謀からの信頼と、一巻でレオーネとラウィニアが旅行に行った際のトラブルが、彼らの心労だった事がうかがえる。
それが、物語の本当の始まりが1巻でも2巻でも無いと匂わされる事に、読者は気付く。
人気キャラクターの1人、エルフのディアナと。ラウィニア、レオーネのほのぼの日常パートのお話。
1巻で仲間になった東の島国の隠密も、クェスティ家の食客となって。
そして、遂に3巻が発売される。
わーい♪発売日当日に、お兄ちゃんが刀剣神姫3巻をプレゼントしてくれた♪
まず、表紙のイラスト。甲冑の騎士が美少女を抱き止めている。
「ふふふ」じっくり堪能してから、ページをめくって行く。
その内容に目が離せない。1巻、2巻のちょっとおちゃらけた感じとは一転。
レオーネとラウィニアの出会いがこの巻で、初めて明かされた。
2人が何故兄妹として暮らす様になったかが描かれていた。
「戦だ。召集がかかった」
渋く厳格な顔立ちの男が、青年の肩に手を置く。
「レオーネ、祖先や国に恥じぬ戦いをな」
「はい。父上!」
「セバスティアーノ、レオーネを頼む」
「ああ、兄貴。任せてくれ!レギオン帝国等、恐れる俺達では無いさ!それに、兄貴は最強だ!」
青年は、これが初陣だった。父と叔父と共に参戦する。
国境侵犯し、穀倉地帯に侵出して来た敵を迎え撃つのだ。
訓練された騎士団が、魔導士部隊、歩兵師団、神官部隊を指揮。マントをなびかせ、白銀の鎧が煌めく。軍馬に乗った騎士を中核に、軍団が動く。
それは、良く訓練された動き。
「クアドラートに勝利を!」
「「「クアドラートに勝利を!!」」」
誰も勝利を疑わない。この騎士団長が指揮するならば!
対して。戦地となるだろう平野に面した森林。光にエメラルドグリーンに透ける木の葉。木漏れ日の揺れる様を見上げる。綺麗な光景だ。
ホッと息をする。姫の様な、巫女の様な美しい衣装を纏う美少女。長い髪、まだ幼さも残した綺麗な顔立ちは、絶世。
その中の、開けた空き地が整備され、周りに陣幕を張った陣地。武装した男達が沢山いる。上座に少女。その前の台では、将軍と軍師、屈強な将兵達が軍議を開き、木製の駒を動かす事で戦況が表され、攻略作戦を練る。
伝令が現れては、将軍と参謀が指示を与え、部隊を動かす。軍事行動中。
土と植物と、湿気を感じる匂い。
将軍は、黒い金属鎧。背の高い筋骨隆々、精悍だが目付きの険しい壮年。厳つい髭を蓄えた男。
背後のラウィニアをニヤニヤしながら眺める事が有る。その視線は、顔から身体まで舐め回す様。
卑しさを感じ、身を竦める少女。
これは、神聖レギオン帝国の重鉄騎兵団の陣。
隣国クアドラート王国に侵攻中で、本陣を森林地帯に隠して、前線を押し進めていた。
「姫。禊ぎの後、力の行使を兵士全体に」
「・・・」
レギオン帝国は、建国の歴史は古いが、今では二流の国家と思われていた。
戦術も戦略も優れる列強の勇クアドラート王国に、自ら攻め込むとは予想外。
だけど、レギオンの軍の装備が、強力な魔法剣を主装備とするクアドラート騎士より優れていた。伝説級の威力を発揮して?
また、騎士が倒された。
「リッカルド卿、カミッロ卿、戦死!!ステファノ卿、負傷!!重症です!!」
伝令の声に、クアドラート軍から悲鳴が上がる。
「レギオン軍がこれ程?!何だあの武器は!?」
「魔法剣も魔法も、敵の武装との差で無力の様だ」
技では勝るが、人が素手で熊に挑む様な力の差が現れた。レギオン兵の剣は、クアドラート騎士の魔法剣より、硬く強く、魔導士の攻撃すら弾くし、切り裂くのだ。
大臣で、クアドラートの老公は、軍に野戦を命じていた。だが、平野戦で総崩れになった。
「我はクアドラート騎士団長イルフォルテ・ディ・クェスティ!レギオン帝国の将よ!我との一騎討ちを所望!」
「クアドラート騎士団長?!クェスティ卿!その首貰った!俺はミケーレ・ダ・ジョルジュ!レギオン帝国騎士団の一番槍だ!」
互いに駆け出す、騎士が騎馬で交差する。火花を散らす武器と武器。数合撃ち合う。武器性能はほぼ互角。技量は?
「ジョルジュ卿の首、イルフォルテ・ディ・クェスティが討ち取った!!」
クアドラート軍の武器が、レギオン軍の物に劣ると言っても、流石に騎士団長の剣は業物だったのだ。
レギオン軍は、陣から将軍自ら出撃している。
「おのれ!相手になろう!!余がペルベリオス・ディ・ジュリオ将軍である!!ジョルジュの仇覚悟せよ!!」
お互いの剣が輝き、交差。火花が出る二十合以上の撃ち合い続け。
将軍の剣、性能が戦いの中上がって行く。
「何?!!」
技で対応するが、間に合わない。騎馬から落ちたのは騎士団長だった。
騎士団長が敵将軍との一騎討ちで戦死。先に副団長は片目と片脚を失った。指揮系統が混乱している。
そんな中、騎士になってこれが初戦の青年が、後詰めとして後方に配備されていた。
「叔父上、味方を追う部隊の横から逆撃する!」
「おう!」
名をレオーネ・ディ・クェスティと言う。剣技と、騎士道の英才教育を幼い頃から受けた彼は、気を吐き。
「ぐああ!こ、こんな小僧にやられた?!」
切り捨てる。
叔父ステファノと共に、混乱する仲間を救い。その勇気と、騎士団長の長子という事から抜擢され、敗残兵を鼓舞した撤退戦の指揮、一部隊の隊長を任され、一部成功に導いた。
父譲りの剣技で武器の差を埋め、局地的に勝利を挙げ始めて。
それに、レオーネの武器は悪くない。父から贈られた名剣だ。
彼らは森林地帯に潜んだ。そんな中、神泉と呼ばれる泉で、将軍の命令で禊ぎを終え、水を掬い飲んでいた少女と偶然出会った。
目が合った。水浴びは終えていて服はもう着ていた。
少女に護衛はいたが、禊ぎを覗く訳にはいかないので、見えない位置に離れている。
この国の装束とは違う。意匠を凝らした精緻な服は純白。レギオンの服?
(帝室の一族か貴族の姫君か)
2人はお互いの姿に何か特別な物を感じた。
「美しい子だ・・・」
「・・・ありがとう。その戦鎧、貴方はクアドラートの方ですか?・・・この場に居ては死にますよ。危険です。東に向かってそっと去って下さい」
「貴女はいったい・・・」
「・・・ラウィニア。私はアストレア家のラウィニアです」
「ラウィニア・・・。俺はレオーネ。クェスティ家のレオーネです」
「クェスティ?」
(それは、前に将軍が討ち取ったクアドラートの剣豪と名高かった騎士団長と同じ家名。この人はご家族)
少女の瞳が潤む。
「どこだ。レオーネ」
叔父セバスティアーノが探している。
その出会いに、レオーネは後ろ髪引かれながらその場を離れた。
日が落ち、森林地帯がもう直ぐ闇に包まれる。虫の鳴声だけが静けさの中聞こえる。
クアドラートの斥候が敵の本陣を見つけたと、レオーネに連絡が入った。敗残兵をまとめ助け、重傷者は逃す作戦行動中。
味方の撤退時間を助ける為に、少数で本陣に斬り込もうと夜陰に紛れ接敵した。夜襲だ。
「生きて帰れなくても、祖国を護る盾となる。皆んな、時間を稼ごう」
レオーネに鼓舞された騎士達は頷く。
この場には、同じく残兵をまとめ戦っていた剣術指南役のレナート・ディ・ザナルディという剣聖の部隊が合流していた。
「負けるとは限らんさ。敵将を討てば良い」
レナートが皆を勇気付ける。
笑顔が生まれた。
銀鎧の50騎強が、マントをなびかせ急襲した。驚き鳥が羽ばたき逃げる。
本陣奥深く。酒を飲んで勝った気になっていたレギオン兵。寝ていた者も多く。武器も鎧も取れず半裸で逃げる者までいる。討たれる者多数。
「敵将をさがせ!」
「おう!」
混乱させ、撹乱させる事に成功する。地の利も有りハマった。鳥の羽ばたきに、大軍が攻めて来たと錯覚も起きている。
何故か敵は昼間ほど強く無い。
「レオーネ隊長!レナート隊長!いました!敵将です!」
将軍とあいまみえた。侵略軍を指揮する将軍ペルベリオスは、鎖帷子だけで鎧は装着出来ていない。だが、自信たっぷりに剣を向ける。
「姫、急げ!ハハハッ。殺されるぞ!」
少女がいた。眠そうだが、身支度はしていて。将軍の言葉に答えて印を描く。韻を踏む。
「まとめてかかって来い!クアドラートの猿共。フフッ、神聖レギオン帝国ペルベリオスが相手してやろう!」
将軍の両手持ち大剣。その剣がその時、赤く輝き。クアドラートの騎士達を面白い様に屠る!衝撃波の様な物まで付与された。
血飛沫が上がる。
「「!?」」
レオーネとレナートが慌てて前面に当たる。
2人で盾で突進。だが、圧倒する力に2つの盾が弾け散る。
剣の速度、重さ、人間離れしている。
「なんだこれは!?」
だが、
(技でいなすことは何とか?!)
火花散らしぶつかる剣と剣。レナートの精緻な技が、隙あらばと将軍を狙った。レオーネも負けていない。卓越した剣技。
将軍の剣には2人を凌ぐ、力と重さ、速さ、凄みが有るが。技量だけでは、2人も負けていないかも知れない。2人とも、劣ってはいるが良い剣を持っている事も幸いした。
その時、レオーネは。ベルベリオス将軍の背後にいた美少女が、あの時、泉で出会った子だと気付く。
「ラウィニア!?」
少女がこちらを見た。
「レオーネ?」
少女の祈る姿に、謎の畏れと美しさを感じ、気がそれ。
「集中しろ!ぬあっ!?」それを庇うレナートが利き腕を負傷。それ程深い傷では無いが。更に苦しい戦況。
ラウィニアがレオーネに気付きつつも、眉を悲しげに下げ、祈りを捧げ続けている。
それでも剣戟が続き、技の数々を引き出し、レナートを庇いながら将軍の剛剣をいなし。
切り傷を増やしつつも凌ぎ続けるレオーネに、致命傷を与えれず舌打ちするペルベリオス。
大業で留めを刺そうと。大きく踏み出し斬り込む。恐らく衝撃波も来る必殺の構え。
レオーネの後ろには、体勢が入れ替わって、今はラウィニアがいた。
敵と思われるが、華奢で儚げな、絶世の美少女に運命的な感情を抱き。
(避ければ彼女が死ぬ)
青ざめ苦悩の表情で、庇ってしまうレオーネ。覚悟する。
「馬鹿な!レオーネ!?」
レナートは間に合わない。
凶剣を見る。レオーネを見る。どちらが味方か?!グッと拳を握り、ラウィニアは祈りを止めた。ペルベリオスの剣から超常の赤き輝きが消えた。
レオーネの魔法剣が、将軍の剣を受け止めた。
「?!!ラウィニア祈り続けよ!!」
将軍の言葉を無視して、
「逃げてレオーネ!」告げるラウィニア。
大きく舌打ちする将軍が、
「この女」ラウィニアの髪を掴む。
「ひ、ぃや」
痛みに目を瞑る少女。
「女性に何をする!止めろ蛮人!」
体当たりして少女を救うレオーネ。
「誰が蛮人か!下郎!」
怒る将軍。立ち塞がる騎士。怯える少女はその時、迷いを捨て、祈った。
「剣霊紋印 八角形・・・」
頭の高さに印を、韻を付けて描く細腕。松明の明かりだけだったその場に、少女の身体を白く清らかな光が包み、その光が、八角形の図形となった。
「聖なる図形を私は描いた!力の剣、獅子の剣・・・!顕現せよ!」
ニヤリと笑う将軍。剣が力強く光る。それは・・・
将軍の剣では無い。レオーネの剣だ!
力。圧倒的な剣の存在感に。将軍は怒り怯え。レオーネは、飛ぶ様な軽さで踏み込んだ。
将軍の剣が弾け、折れ曲がっている。それ程の威力が、剣に宿った。横薙ぎに一太刀入れる事に成功。
「な・・・に・・・」
将軍が言い終える事無く絶命した。
剣聖レナートが、大音声で叫ぶ。
「クェスティ家のレオーネが、父の仇、ペルベリオス将軍を討ち取ったりっ!!」
悲鳴と歓声が上がる。
「レオーネ、その姫が奴らの力の源だったのだ!姫を連れて離脱するぞ!!」
レオーネは、抵抗しない少女の手を優しく握る。頷く少女。生き残りの味方騎士もまとめて。レオーネ、レナート、ラウィニアが行く。
総大将を討ち、本陣を落とす。撤退戦の中奇跡的に勝利したクアドラート騎士団は、敗走するレギオン軍を追えはしなかった。
しかし、軍は満身創痍ながら、散り散りになっていた味方をまとめ上げ。整然と首都レグノリアに帰還。
騎士団長始め、死傷者を多く出しつつも、勝利し凱旋した。国王陛下、大臣直々に街の外まで迎え、民衆は皆、笑顔で歓呼し迎えた。
「「「勇者レオーネ万歳!剣聖レナート万歳!国王陛下万歳!クアドラート王国万歳!」」」
レオーネがこの時、歴史に初めて勇者と讃えられる。
騎士団長の葬儀が、国葬として営まれ。
レナート・ディ・ザナルディ卿は、亡くなったレオーネの父、騎士団長イルフォルテ・ディ・クェスティの後任に押された。
レオーネを押す声も民衆から上がった。舌を巻く実力だが、まだ初陣を終えたばかりの騎士をいきなり団長には出来ない。国は彼に、経験を積ます事にした。
そして、ラウィニアへの取り調べが行われた。切れ者と言われる参謀長オルディネ卿の他、ラウィニアの力を目撃した剣聖レナートと、騎士レオーネも加えて内々に。
(戦争責任。重罪なのは分かっている。殺されても不思議では無い)
彼女は、包み隠さず告白した。
明かされる巫女姫の秘密。
レギオン帝国には、帝室の傍流の血族に代々伝わる力が有る。剣に神代の名剣の力を宿らす、神降ろし。そんな能力が有る姫が生まれるのだ。剣霊紋印という人智を超えた理を知る特殊な力。
レギオン建国の初代帝王の妻から、代々受け継がれたという。国興しの力。
侵攻戦では、ペルベリオス将軍の剣に、神話に登場する伝説の帝神剣タナトスを、レギオン兵全員の剣に聖霊武器を降ろしていたという。
舌を巻く魔力の強大さだ。全軍の武器をとは、魔力量も、宮廷魔導士長を軽く凌駕している。匹敵する者がいるなら、塔の大賢者だけだろう。
魔法剣の上位に位置する、付与魔法究極の力だと推測した。
降ろすには、土地や、人、剣に由来する神紋が選ばれている。条件が有る様だ。
彼女の才能は、歴代姫巫女の中、初代に匹敵する。大人達の欲望を刺激してしまい。戦争に初めて徴用された。
将軍が戦勝した暁には、ラウィニア姫をくれてやると、ペルベリオス将軍はレギオン帝から勅令を受けていた。
自分の意思は捻じ曲げられ。敵兵に殺されたくなければ祈れと、戦場で強要され。怯えながら付与し続けた。
人が死ぬのを大勢見せられ、絶望していた。でも、だからこそ、自分が死ぬのは怖かった。あんな無惨に死にたくは無かった。
そんな時、レオーネと出会った。敵なのに、優しそうな青年。
一目でこの人は、自分を脅す髭将軍とは違うと思った。
でも私は仇の1人でと、泣きながら話し終えた。
レナートが小さく呟き。参謀長が青年と少女を見た。
「巫女姫がこちらに付いて良かった。で無いと、レオーネ程の勇者が、姫に惹かれて敵側に着いたかも。この少女の美貌は、傾国の美姫のそれだ」
ゾッとした。国が滅んだ可能性が予想出来る。
(だが、クリストフォロ陛下なら大丈夫だろう。人の物を欲しがる様な方では無い)
代々伝わる神力。力が力だけに、放置は出来ない。消してしまうのも惜しい。苦慮された幽閉の中、ラウィニアをレオーネが何度も見舞い。
クェスティ家で預かりたいと、嘆願し続ける。
レオーネの父と、レオーネ自身の生き様に友情の様な物を感じたレナート・ディ・ザナルディも彼女の助命を願う。
先日レナートは正式に騎士団長になった。
戦功を考慮し、レオーネも副騎士団長候補になり、領地を加増された。レナートと父の弟である叔父から、更に剣技、軍略、騎士道の教えを受ける修練の日々。
それでも、ラウィニアの見舞いには毎日行った。それが少女には救いだった。
惹かれ合う2人はセットにして置くにしかず。参謀長の具申が国王を動かす。
凱旋から一月後、少女はクェスティ家預かり。レオーネに下げ渡される。国王から、丁重にと言い含められて。
レオーネの献身。父親の騎士団長が死ぬきっかけを作った自分を、家族の様に労わってくれる優しさに。ラウィニアは涙し。レオーネを慕い。いつしか、お兄様と呼ぶ事になる。
ラウィニアの父母、愛してくれた身寄りは今はもういない。頼れるのはこの世にレオーネ1人。
力は、秘匿。失った事にし、普通の女の子として生活して行く。それが明かされるのが、この3巻。ラウィニア13歳、レオーネは17歳時。
読み終わった。涙が頬を伝う。
「お兄様・・・」
作品の中のラウィニアに、感情移入して声に出していた。
その姿、声は、本当に刀剣神姫のヒロインの様で。
1巻のお話は、この2年後の設定。ラウィニアが東方の島国で、剣霊紋印 揚羽蝶 小烏丸と、剣霊紋印 雷 布都御魂の二剣を降ろしレオーネにより鬼が退治されている。
発売後、3巻は初版が数日で本屋から消える。1巻2巻と共に重版が続く。
表紙イラストでの世界観。姫と寄り添う騎士、剣と魔法。王道ファンタジーと言うのだろうか。
挿絵と物語の相乗効果は絶大で。カーター・ノーと飛鳥カフェの名を広く知らしめる、一躍出世作となった!
続く
目が疲れました〜。お兄ちゃんこと、飛鳥カフェ先生と、カーター・ノー先生の作品内容が、メインのお話でした♪




