月影の島1日目⑤
「かなり奥まで進んでしまいましたね…」
ラクルの後ろを追って歩くこと早数十分。いえ、実際には数分かもしれませんが体感だと数十分歩きました。どことなく森の空気が重くなってきているような気がします。辺りはシン、と静まり返っており、私が歩く足音しか聞こえてきません。
『アト、スコシ。ステラ、ガンバッテ!』
「はい。ちゃんと付いていきますよ」
『ワー!』
「ホッ」
「シュー」
ルノーとフォスも応援してくれています。ふふっ、元気が湧いてきました。それにここまで来て街へ引き返すことはできませんからね!ちゃんと灯火を見つけて持ち帰りますよ。
「ですが、もうそろそろ夜になってしまいますね…」
夜になれば視界が悪くなり、歩くスピードが落ちてしまいます。幸い私にはトロワさんから頂いた導きのランタンがあるので、最低限の光源は確保することができますが…それでも夜の森に長時間滞在したいとは思いません。なるべく早く見つけたいですね。
そんなことを考えていると、ふいに違和感を感じました。いえ、違和感というより異変でしょうか。いつからこうだったのかは私にも分かりません。足元の草が、木が、まるで私に道を譲るかのように左右に開いたのです。なんだか道を示されているようです。促されるようにそのまま歩いていきます。ラクルもいつの間にか私のすぐ横を飛んでいました。
『ダイジョウブ。アンナイ、シテクレルヨ』
「そのようですね…」
ただ黙々と歩いていきます。頼れるのは草木の道案内と、木漏れ日だけ。ただもうすぐ夕暮れになるのでしょうね。オレンジ色の光が周囲を照らしています。
「なんかワクワクと不安がごちゃ混ぜになって、心臓が痛くなってきました」
「ホー?」
『ステラ、イタイ?』
「あ、その言葉の綾と言いますか…実際に痛いわけではありませんよー」
言葉は選んで使わないといけませんね。誤解を招きかねませんから。
『ステラ!』
「…あ」
ラクルの嬉しそうな声が聞こえるのと同時に、見つけました。ポツリと宙に浮かんでいる光。あれが灯火でしょう。
「ホーホー」
「そうですね、ルノー。見つけましたね」
「シューシュ」
『ワー!ヤッター!』
灯火は、まるで朝露が光を閉じ込めたような形をしていました。まさに雫型ですね。森の力を取り込んだのか、新緑の輝きを放っています。
私が灯火に近づくと、まるで歓迎するかのように明るさが増しました。なんとも神秘的な光ですね。
「…ですがこれ、どうやって持って帰りましょうか」
そもそも灯火って実態があるのでしょうか?とりあえず触ってみます。すると灯火が何かを訴えるかのようにピカピカと光始めました。め、目が痛くなります。
『ステラ、ランタン!』
「え?」
『ランタン、ダシテ!』
「分かりました」
導きのランタンを取り出します。何か関係あるのでしょうか…?と次の瞬間、灯火が待っていましたと言わんばかりにランタンに吸い込まれてしまいました。…え、これ大丈夫なんですか?取り出せないとかありませんよね?
しばらく灯火がどうなったか弄りまわしていると、どうやら灯火は一時的に仕舞われた状態であることが分かりました。
「これなら持ち運ぶことができますね」
『ネー!』
「ラクル、ありがとうございます。あなたのおかげで上手く事を運ぶことができました」
『マカセテ!』
「ホー…」
「シュー…」
「ルノーとフォスも、いつも頼りにさせてもらっていますよ」
今回自分たちは役に立たなかったと2匹が落ち込んでいるので、頭を撫でながら慰めます。よしよし、あフォス、私の指を食べないでください。ラクルも真似して嚙まなくていいんですよ。
ーーさて、街に帰るとしましょうか。帰り道はもちろん分からないので、ラクルに案内してもらいます。街に入る前にはちゃんと送還しますよ。あまり人目に触れさせるのもよくないと思うので。
「まずはギデオンさんに報告しに行きましょうか」
「ホホッ」
「その後は街の人に聞き込みしましょう。灯火がありそうな場所が分かれば、探索しやすくなりますし」
「シューシ」
『ラクルモ、ガンバル!』
「はい。一緒に頑張って、灯火を全部見つけましょうね」
街につくころにはもう夜でしょうか。泊まる場所なんかも考えなくてはいけませんでしたね…。今からでも宿は空いているでしょうか。もし満室だったら、ギデオンさんに教会に泊まることができないか聞いてみましょう。他のゲームだと教会が宿屋の役割を果たしているものもありましたから、ダメもとで。
新しい人物を登場させたい!稲荷とオールド以外にもステラとフレンドになるプレイヤーがいてもいいと思うんですよ。次回かイベント2日目にでも登場させたい(願望)。
というか1日目が終わらない!多分もうすぐ夜を明かすとは思います。ほんと物語の展開が遅くてすみません。
ちなみに、今回ステラが灯火をすんなりゲットできたのは称号『慈愛』を持ってたからという設定があります。それがなかったら戦闘が始まってました。どこかで詳しいこと書けたらいいなー。




