情報の代金
「次はギルドのお助け人。効果はNPCの好感度微上昇です」
「初めて聞く称号!獲得する条件は聞いても大丈夫?」
「はい。えっと同ギルドの職員から一定数感謝される、みたいです」
「感謝される、か。通常クエストをこなすだけだと獲得は無理そうだね…」
私が獲得できたのも運が良かったからですね。なんか立て続けに、お力になれるクエストが舞い込んできたので。
「…もしかしてまだ称号を持ってるの?」
「そうですね、後お話しできるのは2つでしょうか?それがどうかしましたか?」
「…うん、なんでもないよ。僕の普通はステラの普通とは限らないもんね」
なんか1人で納得なさっていますが…。これは気にしないほうが良さそうですね。うん、サクサク話してしまいましょう。
「えっと次は慈愛です。条件は一定期間モンスターと一度も敵対しないこと。効果はモンスターの敵対率減少と友好モンスターの好感度微上昇です」
「あ、それは他のプレイヤーが情報を売りに来てた。まぁ獲得条件は言わなかったけどね」
「そうなんですね」
「それと慈愛の称号なんだけど、獲得してから1ヶ月の間にモンスターを攻撃すると称号が『薄情』に変化するらしいよ。ステラも気を付けてね」
なんと!そんな隠し要素もあったのですね。慈愛を獲得してからどれくらい経ったのか分かりませんが…。…あれ、もしかしてバイオレントモンキーを倒したことについては、カウントされてないのでしょうか?あれは妖精さんたちが倒した判定になってます?ですがランキングには名前が載ってますし…1ヶ月経っていたのでしょうか。よく分かりませんが。
「えっと、最後は古代魔法を知る者です。獲得条件は誰よりも早く古代魔法についての知識を得ること、効果はMP+30です」
「古代魔法?!そんなのよく見つけたね!しかもMP+30って結構嬉しいね」
稲荷さんのメモをする手が止まりませんね。それを眺めながらコーヒーを一口。のどを潤します。ちょっと話疲れました。
「古代魔法はどこで知る機会があったの?」
「詳しくは言えないのですが…本当、称号を獲得したのはたまたまだったんですよ。」
図書館のクエストの最中だったことは一応伏せておきましょう。フルールさんも他の人には内密にと仰っていたので。…称号くらいは話しても大丈夫でしたよね?
「私が話せる称号は以上になります」
「ありがとう!…それにしても、ステラは本当にすごいね。今聞いただけでも称号を5つも持っているんでしょ。普通のプレイヤーは持っていない人の方が多いのにさ」
「…そうなんですか?」
全くすごいことだとは思っていませんでした。だってプレイしていたらいつの間にか貰っている感覚でしたから…。オートマティック・オンラインは称号が獲得しやすいものだと勝手に思っていました。
「俺も称号は1つも持ってないよ。攻略組でも持っている人の方が少ないんじゃないかな」
「そんなにですか…」
「獲得できるコツとかなんかあるの?」
「至って普通にプレイしていたら、なぜか称号を貰ってるんですよ~」
「ステラは多分普通のプレイはしてないと思うな、俺」
どういう意味ですか、稲荷さん!…まぁ確かに、妖精さんたちと仲良くなったり知恵の精霊ビビさんから祝福と加護をもらいましたが。それでも私は一般的なプレイヤーだと思います!
「大丈夫、ステラはそのままでいいよ。そうだ、情報料なんだけど総額で30,000Gでどう?」
「そ、そんなに頂いていいんですか?!」
「いやー次の街が北の森の奥にあるって知れただけでかなり値段が跳ね上がったよ。あとは情報の価値がだんだん高くなってきてるから、買取価格も上がってるんだよね」
情報の売買といった商人系統を職業にするのも意外と面白そうですね。まあ私には向いていないと思いますが。値切られて結局赤字で終わってしまいそうです。
稲荷さんから30,000Gを受け取ります。順調にお金が貯まっていますね。まだまだ旧図書館を買い取るには足りませんが、のんびりやっていきましょう。
「それじゃ、そろそろ解散しよっか」
「そうですね。コーヒーも飲み終わりましたし」
「モンスちゃんたちもまたねー」
「ホホー」
「…シュー」
「売りたい情報ができたらいつでもメールちょうだいね~」
「分かりました」
稲荷さんはメモをしまうと、足早にカフェから立ち去っていきました。何か用事でもあったのでしょうか?いつも忙しそうですしね。
私もカフェを後にすると、トロンさんの工房に向かって歩き出します。途中で露店通りが開かれていたので覗いていくことにしました。掘り出し物とかお宝が見つかると思うと、ついつい寄り道しちゃうんですよね。
「これは何ですか?」
「それは石の詰め合わせだ。価値があるかは分からないがな」
気になる物があったので足を止めました。NPCの彼が出店していた中で注目したのは、たくさんの石が入った袋。要らないものをまとめて処分したいと言わんばかりにぎっしり詰まっています。なぜこれが気になったかというと、魔力感知が反応したからです。つまり、魔力を持った石が袋の中に入っているということ。
「ーーこれください」
「1,000Gだ。あとこれおまけね」
「…あ、ありがとうございます」
お支払いすると、彼の後ろからパンパンに石が詰まった袋が5つ出てきました。買ったものも含めると合計6袋。…おまけの域を超えているのではないでしょうか?
次の更新は4月23日です。




