ジャンクっていいよね
「はぁー…………」
魔物を倒し、新東京へと戻ってきた安人はそのまま新居に案内され荷ほどきもせずにベッドで寝転んでいた。
案内されたところは都内の高層マンション……なんていうか縁遠いものが間近にきてしまって感覚がバグってしまいそうだ。
前に住んでいたところよりも格段に部屋が広く、収集したものを飾る部屋とかも作れるぞ! と息巻いてはいたものの、荷ほどきが面倒くさくなり段ボールを一部屋に置いて放置。
「はぁーあぁぁー」
慣れないことばかりで疲れて、やる気がでない。
というより、部屋が広すぎて落ち着かなかった。
こんないい部屋をポンと差し出せる辺り、ルイエは相当の金持ちだと改めて実感する。
「……そういや、給料ってどれくらい入るんだろ」
魔物の討伐を依頼され、完了するとすぐに報酬が振り込まれるシステムになっており、いったんルイエの口座に振り込まれ、そこから安人や涼子たちに分配されるとだけ聞いてはいた。
いまの時代、スマホで簡単に口座を確認することができるので、枕元に置いてあったスマホを手に取りアプリを開く。
「へー、あんな感じの仕事ぶりで100万かー、へー……へっ!?!?」
仕送りで細々と暮らしていたのが、バカバカしくなる金額に思わず飛び跳ねてしまった。
……分配してこれだけの金額……おいしすぎる魔物討伐。
驚きと同時に、今まで趣味で魔物を狩りまくっていたのがすごく悔やまれる。
「え、まじか……こんだけあったら、欲しかったイヤホンとかヘッドホンとか色々と買えるじゃん!」
衝動的に通販サイトを開いて、心のままにカートに商品を入れていく。
……けれど、荷ほどきも終わってないこの部屋にさらに荷物が増えることに気付いたとき、急に頭が現実に戻ってくる。
「またの機会にしよう……」
一気にテンションが落ちていき、空腹を知らせるようにお腹が鳴る。
「昼に何か食べに行くかー……」
▼
――そうして、安人はマックにいた。
いくら経済的に余裕があろうとも、昼間からお高い店に行くなんて安人にはできない。……そもそも、そんな店知らない。
つまり安人にとってのご馳走とはジャンキーで安上がりなマックなのだ。
そもそも普通に考えたら、外食する時点でかなり金額がかかる。
自炊するという選択肢はない。
「うめー、マックうめー」
世の中にハンバーガーよりもおいしい食べ物があるだろうか? いや、ない。
少なくとも安人は知らない。
というかハンバーガーってマック以外に食べれるところがあるのだろうか? ハンバーガーといえばマックだし、マックといえばハンバーガーだ。
濃い味付けに塩気が多くてしょっぱい肉。
これでこそジャンクというものだ。
気付けば、三個ほどをぺろりと平らげてしまう。
いつもこうだ。
なぜかハンバーガーを食べるときは味わうというより、呑み込むように食べてしまう。
……まぁ、お腹ははち切れそうなくらいにいっぱいだから満足だけど。
さて、お腹も満たされたことだし、これからなにをしようか。
帰って荷ほどきもいいけれど、それはめんどくさいから今日はもうしない。
「となると……そこらへんをうろつくことくらいしか思いつかないけど……」
それもそれでどうなのだろう。
暇である。
なんだか、都会に来たのにやってることに全く変化がない。
刺激のある生活を求めていた気がするけど、やる気だけがいつも不足している。
なにかこう、向こうからトラブルでもやってこないだろうか……とか思ってしまう。
「ん?」
……とか思っていたら、遠目に顔見知りを見つけた。




