始まり
序盤でヒロイン視点にすることで描写しにくい主人公の容姿を表示するぜ!
「くっ……」
とある地方の町にて。
少女は苦戦を強いられていた。
幼く見える顔立ちに、年齢に見合った小さな体。
金色の眩い髪は土や血にまみれてくすんでしまい、白を基調とした服はところどころが破けボロボロに。
怪我をして左腕を抑えながら、その青い目で敵をにらみつける。
人型の大きな蜥蜴。
それは魔物と呼ばれるもので、突如として世界に表れ侵略していった。
それに抗うように人には『アーツ』と呼ばれる力が宿る。
……しかし、それでも人は魔物に対してあまりに力不足だった。
絶え間ない侵略に人々は防衛する一方。
攻勢に転ずることは少なく、こうして町に表れた魔物を狩り続けることで精一杯。
「嫌、嫌っ! こんなところで――!」
少女は世界を救いたいと願っていた。
こんなひどい世界から平穏を取り戻すべく、本気で世界を救おうとしていた。
でも、現実は非情で……少女のちっぽけな力は為すすべなく潰えようとしている。
……だけど、時にして現実は幸運を呼ぶことも事実。
「あ、なんだこれ。ひっでー」
「っ! 一般人!? どうして戦闘区域に!?」
少女は悲鳴のようにそこに紛れ込んだ、冴えない男性を見て声を上げる。
警察はなにをしているのか。
きちんと立ち入り禁止にして通行規制をしていたはずなのに。
だめだ殺されてしまう。
魔物は人を無差別に襲う。
少女はボロボロで、助けようにも魔物を倒すことはできない。
――ああ。わたしってこんなに弱いんだ。
絶望し涙する。
うつむき、これから起こるであろう悲劇から目を逸らすように涙で視界を覆う。
……けれど。
「……クソだりぃ」
突然、魔物がバラバラに斬り殺される。
唖然と、少女は顔を上げる。
――そこには気怠そうに右手に刀を持つ、スウェット姿の頼りない一般男性。
でも、少女にとって、彼は
「すごい……」
なにか、特別な存在に見えた。
少女は舞い降りた幸運をまじまじと見つめる。
彼は手に持った刀を体内に収めるように仕舞いこむと、何事もなかったようにその場を立ち去ろうとした。
「あ、ま、待って……!」
去ってしまう彼を呼び止めようと、手を伸ばして声をかける。
「うぉ、人がいたのか……」
「あ、えと、その……わ、わたしは」
けれど、何て声をかければいいのか。少女は思いつかなかった。
助けるはずの立場なのに、助けられてしまったことで混乱してしまい、頭が回らない。
そんな少女を前に彼――日森安人は。
「あー、えー……お嬢ちゃん、迷子?」
「へ?」
今年で20歳、大学二年生の彼は日常会話でもするように少女に話しかけるのだった。
見た目中学生の少女と話すスウェット姿の成人男性……(事案)




