エピローグ
2012年夏
「あー、キモチイイ」
俺はいま、奥能登って言うの?
能登半島の先端にある珠洲って所のビーチに来てる。
プールより透明度が高いんじゃないの?ここ。
まだ時間が早くて人が少ないから、浜が荒らされておらず海水が綺麗だ。
ぷかぷかとデッカイ浮輪にお尻だけ突っ込んで両手両足を出し、波間に漂っている。
なんかこう、平和! って感じがイイネ!
あれからトーコさんは上からの指示で直ぐに現場復帰出来た。
とは言っても、本当ならそれから直ぐ警部へ昇進するために警視庁刑事部から全国のどこかへ移動して2年ほど勤務をするハズだったそうだ。
そこへ今回の騒ぎでマッタが掛かった。
何せマスコミが追い回し、ちょっと研修で姿を見せなくなっただけで『やっぱり左遷か!?』とか言い出される始末、警察上層部がこれにはほとほとまいったらしい。なんとそのまま警視庁勤めを継続する前代未聞の事態になっている。
トーコさん自身にもマスコミは張り付いてパパラッチ状態だ。
ここ最近ではたとえ深夜だろうとFIR(遠赤外線)カメラや、LIDARと呼ばれる最新式のレーザー距離計測装置まで持ち出しての追跡劇にまで発展している。もっともトーコさんも、ビーエムにFIRカメラ盗撮防止カーテンとか、アンチLIDARとかいうレーザー計測を妨害する塗料を科捜研から融通して対抗手段を取ってるらしい。
守護霊の力を使いこなすトーコさんが記者を撒くのはわけはない。
レイディのスキルで見た目すら変えられるそうだし、そんな人物を追い回す記者たちも大変だよなぁと思う。
俺がアップした動画がその騒ぎの元凶なわけで、去年末はそれで散々な目にあった……
風向きが変わったのが、俺が退院する直前。
『ピッ』
システム・メッセージ:《レイディ》がランクアップしました。
システム・メッセージ:《煉獄丸》がランクアップしました。
なんでも100万人にトーコさんの顔もしくは名前が知れ渡ることで、レジェンドランク条件が揃ったんだって、それでレイディと煉獄丸はそれぞれレジェンド級へとランクアップ。
《神霊:藤井陶子》も《星霊:藤井陶子》と、アストラ級へランクアップした。
あの『美人すぎる婦警のバトル』の閲覧数の伸びは凄かったもんな。
そのおかげでトーコさんも『仕方ないから勘弁してあげるわね』と態度を軟化。
クリスマスにはトーコさんのマンションでパーティをしてくれたりと最高だった。
珠璃が赤サンタ、トーコさんが黒サンタのミニドレスを着てくれて、俺は珠璃の豪華な料理に舌鼓をうち、まだ包帯グルグルでギブスも一部してる俺の身体を二人が水着姿で洗ってくれたり、3人いっしょにベッドに入って二人から俺の腕枕をねだられたり。
俺のリア充っぷりはもう自分でも怖いぜ☆
そして迎えた今日。
自分でも信じられないけど、この奥能登へは婚前旅行で来てる。
陸で休んでる二人へ視線を向けると、
サマーベッドを広げて寝そべり、周り中の男どもの視線を釘付けしている銀髪二人。
氷の女王サマことレイディと一体化してるトーコさんと、水晶の姫ことアリアンロッドと一体化してる珠璃の二人だ。
普段はエルジェーベトと一体化してる珠璃だが、今日はトーコさんとお揃いになりたい!ってワガママを言われ、俺のアリアンロッドを強制徴用されちまった。
サングラスでしか見えない守護霊でも、《ワーヴォイド》中はプレイヤーが身に付けた服飾品と同じ扱いになってるそうで、オプションメニューの環境設定とやらを変更すれば一般の人々でも見えるようにすることが可能なんだと。
俺が選んだ水着を着て(当然ビキニだ、お金はトーコさんが出したがな、はっはっは)、
ドバン・ギュギュッ・ボ~ンで足がスラ~~~っと長い二人の弩迫力は半端無い。
トーコさんはもとより珠璃さえもこうして時々エルジェーベトやアリアンロッドと一体化して過ごしてる日々、二人を観察していて気付いたことがあった。
同じ守護霊を使っても中のヒトが変わると使うスキルが微妙に異なる、おまけに、仕草や立ち居振る舞いが違ってて、驚くやら新鮮やら。
むふ~
とりあえず、今夜は素の姿のままでだな。
ふっふっふ。
俺は今、無性に叫びたい!!
今夜、あの美女二人を俺が、この俺が、オンナにするんだぜーーーーーって。
二人とも《ビッグ・マグナム》の神罰効果でヤれば100発100中だそうだし。
今夜中に二人はママ確実だ。
つーか
『天太ぁ、また?またキちゃうの? あぁ~ん双子になっちゃうぅ~!!』
って言わせてみせるぜ!
となると俺も来年はパパか。
後悔しないのかって?
んなわけネー、俺は胸張って言える。
これがっ! 漢の花道だっ!
2012年8月1日
藤井天太、本妻・陶子、2号・珠璃と共に。(婿入りはハタチになってからだけどな)
~fin~ ?
「ね~トーコさん。このビキニって、おへその下が15センチも露出してるしお尻も半分出てるしサイドなんて紐だよ? いつも着てる下着よりも布の量が少ないってどういうこと?」
「そりゃ、ローライズのビキニだもん仕方ないわよ」
「天太に選ばせたのが失敗だったわ、周りの男たちの視線がイヤらしいったら」
「珠璃はまだ良いわよ黒のビキニだから。この白ビキニってばパレオ付きだからチラチラ見えるのがよけい下着っぽくて恥ずかしいったらないわ///// さすが天太ね」
「トーコさんはスタイル良いから似合っててうらやましいですよ、あたしの黒ビキニなんてなまじデザインがお揃いだから引き立て役だよ、もー」
「そんなこと無いわよ、珠璃の黒ビキニ姿はとってもキュートだし、天太には勿体無いくらいの美少女よ? さっきから男の目を惹き付けまくってるじゃない?」
「それは、トーコさんの女神サマっぷりを直視出来ないから仕方なくあたしを見てるだけなのよ、自分の突き抜けたハイレベルさ加減が自覚出来てないな、このヒトは、まったくもー」
「もーもー言ってると牛になるわよ? 寝転がってないで天太と泳いで来たら?」
「や、ヤーですっ! 天太のアノ水中メガネ、泳いでる後ろからガン見するつもり満々ですよっ、まったくそういう準備だけは抜かりないったら」
「あたし達は虚霊をまとってるから物理無効だし、どんなに激しく動いてもズレたり喰い込んだりしないから水着は乱れないわよ。 それに、どうせ今夜ゼンブ見せちゃうんでしょ?」
「へ?」
「へ? って?」
「いえ、ゼンブ見せるのはトーコさんでしょ? なんであたしが?」
「は?なんであたし? 珠璃にオネダリされたからこの旅行でキメルって天太言ってたけど」
「はぁあ!? あたしはトーコさんから我慢出来ずにオネダリされたって聞いてたよ」
「ぷっ あははははははっ」
「もー、トーコさんってば(笑 いつまでも笑ってないで、アイツほっとくんですか?」
「もう天太の妄想は、拡張現実を越えて脳内バーチャル・リアリティ級だものね、いったい彼の頭の中では、あたし達どんな痴態を繰り広げてるのやら? そう思ったら可笑しくて(涙」
「トーコさんがそんな風だから、アイツどんどん図に乗るんですよ? こないだも、天太に選ばせて買ったあのマイクロミニスカートを喜んで着てるし」
「ああ、あれはね、さすがに丸見えになっちゃうから家の中でしか着ないわよ。
それにね、あたしは身体張って天太の性犯罪を抑止してるのよ? 別に天太を喜ばすためじゃないんですからねっ」
「トーコさんいまさらですけど、どうしてあんなのが良いんですか?」
「なんだかんだ言っても男に必要なのは決断力と甲斐性でしょ? 細かく言うと経済力と精力、女を養えるかどうかの才と力のことよね。そして天太に経済力なんか求めてないし? あたしが男に求めるのは決断力と精力よ。この二つなら天太は文句なしね」
「そのスケベ力で、今夜トーコさんはママにされちゃうと」
「それはねぇ、さすがにマズイでしょ?色々と。現役男子高校生を相手に警察庁のキャリア警官が妊娠しちゃうなんて。だから今夜は珠璃に任せるわ」
「あたしもイヤですよぉ~、子供生むならトーコさんと一緒が良いんです」
「やっぱりそうなるか……そうすると、天太が我慢出来ると思う?」
「いつものように、アイツが悪戯出来ないように二人で両脇からガッチリ腕枕して押さえ込んじゃう作戦じゃダメですか?」
「さすがの天太も今夜それを許すほどマヌケじゃないと思うのよね……」
「そん時はこの剣で」
「あの蛇が落としたフザケタ名前のユニーク武器ね」
アイテム銘: ラ・異人剣
分類: 細剣武器
属性: 神聖
魔力: 320
攻撃力:750
素早さ:500
攻撃速度: 32%アップ
魔力付与: インドラの矢
特殊効果: インドラの炎
《ラ・異人剣》はエストックに分類される神聖武器です。
この剣は《三岐大蛇》がドロップしたイベント・アイテムです。
使用者が日本人種でない場合には、攻撃力に+400%のボーナスが追加されます。
《インドラの矢》は、遠距離攻撃用の雷攻撃です。
《インドラの炎》は、まるで炎が噴き上がるかのようにも見える積層化された高密度な雷光で、単体攻撃も範囲攻撃も可能とし、刀身に纏えば雷神剣となり攻撃力に+1000%のボーナスが追加されます。
「名前はふざけてるけど、性能はすごいですよね」
「Lv30レジェンドが落とす武器ならそれくらい当然よ」
「あたしが持つよりトーコさんが持ってた方が良さそうですけど?」
「あたしは神霊となったその時に専用武器をもらってるし、危険性で言えば《ワーヴォイド》の方が物騒だから別に良いわよ、それにプロパティ読む限り珠璃専用武器っぽいし?」
「イザとなったらこれで天太を」
「天太の泣きっ面が目に見えるようね、ふふっ でも今夜はそれの出番は無しで良いわよ?
あたしもそういうことに興味はあるし最悪デキちゃっても良いしね」
「あ~っ、トーコさんがそういう気なら、天太が童貞のうちにエルジェーベトで最後の美味しいところを頂いちゃわないと」
「首から血を吸うのも良いけど、アッチから吸い出すのも最高なのよ、知ってた?」
「……トーコさん試したんですか?」
「ん、天太と珠璃が寝てる間にね、あれって一度は経験すべき味よね」
「う……やだ、思い出したら天太の血が欲しくなってキちゃった、あたし今は吸血鬼のエルじゃないのに」
「決めた! 今夜は思いっきり吸い取っちゃおう! どうせ天太はあたしたち相手なら何度でもイケるんだしね、女の求めには何時でも最後まで応じるのが男の甲斐性よ、やっぱり」
「ああ、ホルスターに収めると無限に補充され……ううん、そうですよね、あたしたちを相手にして一回で終わっちゃうような淡白な男なんて御呼びじゃないですよっ」
「やっぱり気が合うわね、そうでなくちゃ! ねぇ珠璃?」
「はい、トーコさん」
「これからも仲良くやって行きましょう、天太のバカも含めてね」
「もちろんですっ」
~第一章:完~
ちょうど一年前ですね、このエピローグを書いたのは。
作者の趣味全開で好き勝手書きましたが、このお話を毎週更新楽しみにしてた
ヒトって居るのだろうか?
一応アクセス解析を見るとそれなりの数の人たちが読んでくださってたようで
すが、こう「俺が読んでやらなかったらカワイソウだよな」みたいな義務感で
だったりするんじゃなかろうか?と毎回心配してました。
これで一通り書き終えました。
最後ですので、一言感想欄に書き添えてくださると嬉しいです。
第二章は、いつか書きたくなったら……
や、だってこの作品読むヒト少ないもん、やっぱり。
そんなこんなでいったんここで筆を置きます。
ああ、ちなみに天太の初夜は邪魔されますよ、当然。
奥能登でおきる事件から第二章に繋がるハズでした。
エルフの時に書きましたが、自分、エルフの物語が好きなのね、そろそろ
エルフ成分が禁断症状となってます。
そういうワケで次回作はエルフ物。
スケベ要素はありません。出てもチラくらい?
投稿開始するまでもうしばしお休みもらいますけどねっ
「トゲエルフ」のキーワードを見かけたなら、読んで頂けると嬉しいです。
それでは、またご縁があればお会いしましょう(^-^)/~