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世界観測推理録 ―天ヶ瀬零の記―  作者: 天ヶ瀬
第1章:一難去ってまた一難
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謎と追跡者と魔獣-0002

前回までのあらすじを軽く。

異世界?に転移させられた天ヶ瀬零。

そんな彼に神は言う。


「君には実験台になってもらう」


そこからまぁ色々あって侍の男に襲われ、謎の組織が出てきて、まぁ、天ヶ瀬は命が狙われてるのかもしれない。以上。

あの後、俺は川から出て、辺りを探索する。


「さっきは散々な目にあった……」


もちろんガラケーは完全に死んだ。


次会う機会があったら弁償させるか、それに見合う物を集ろうと思う


少しすると、街に出た。


「少し休んでいくとするか……」


ところが、やたら騒がしい。


何かあったのか?


「皆!大変だ!魔王が活性化してるらしいぞ!」


魔王……なんだそれは。


「大丈夫だ、君主様方がなんとかしてくれる!」


君主……絶対王政?


「そうだよな……君主様方なら……」


街中は妙な騒ぎになっていた。


———整理するとしよう。


どうやらこの世界には魔王というものが存在するらしい。


そして、それを倒すために選ばれたのがこの世界の『君主』だとか。


……なんだそれ。


「あの、すみません、君主とはなんですか?」


俺が近くの店主らしき男へ尋ねる。


すると男は目を丸くした。


「……は?」


「え?」


周囲の人々までこちらを見る。


「お前、本気で言ってるのか?」


なんだ。


そんなに変なことを聞いただろうか。


呆れたかのようにため息を吐き、説明する。


「はぁ…君主って言うのは世界最強クラスの人———即ち権力者のことを指す。現段階では7人いるな。」


…7人。なるほど?


いや、全然なるほどじゃないな。


世界最強クラスが七人いるってどういうことだ。


権力者が7人。国王や天皇みたいな人がいるのか。


……ゲームのラスボスみたいな連中が七人もいるのか?


というか、最強なら一人でよくないか?


「ちなみに、その君主ってどうやって選ばれるんだ?」


俺が聞くと、店主は首を傾げた。


「?この世界の権力者の人様達だよ。けど、そんな権力者様達には必ず共通点がある。」


権力者……確かに言っていたな…忘れてた。


それより共通点か……実は全員『魔導士』だとか?


「共通してること?」


「全員、人間離れしてる。」


…人間離れ、よし、出会さないようにしないと。


俺は心の中で固く決意した。


君主だの魔王だの、そんな危険そうな連中とは関わらない。


「…ところでその君主ってのはどんな君主がいるんだ?」


情報を持っていて損することはない。聞き出せることは聞き出しておこう。


「あぁ、実は現段階の7人の君主は全員伏せられているんだ。歴史的な君主だったら、魔導の君主オーシャン、鋼の君主ノラなどがいたよ。」


…魔導の君主?…鋼の君主?

聞いたことないな。どんな君主だったのだろうか。


「その、魔導の君主のなんとかって人は、どれぐらい強かったんだ?」


俺が聞くと、店主は少し考え込む。


「そうだな……噂程度なんだが、地球ぐらいなら簡単に壊せるとかなんとか」


は?


意味が理解できない、一旦保留にしよう。


正直、そんな化け物がいたなんて信じられん


「ありがとう、では焼き鳥ひとつ。」


店主は二つくれる、しかも無料で。


「今回は金取らねえよ。生憎この時期あまり売れなくてね。」


それはありがたい、この世界の硬貨を持ってなかったから好都合だ。


「ありがとう、店主さん。」


軽くお辞儀し、食いながら歩く。


さて、何処へ向かうか。


その時。


「君か、京介から逃げ切ったで有名な白銀の青年ってのは。」


——気配がなかった。


いや、最初からそこにいたのかすら分からない。


それに…なんの話だろう、京介?…誰だそれ。


「なんの話だ、俺はその京介とやらを知らないよ。」


相手はフードを深く被っており顔が見えない。


「しらばっくれるのは辞めなよ」


マジでなんの話してるんだか……もういいや、無視し———


ホルスターからリボルバーが抜かれていた


「……」


……逃げようなら撃つということか。


零は思考をフル回転する。


さて、どう逃げるか。


「?君、そこに蜂がいるよ。」


男は固まる


「……は?」


そりゃそうなる。戦闘中に蜂がいるなんて言われても何言ってんだこいつってなるだろう。


———が。そんなことお構いなしに、零は続ける。ポーカーフェイスで。


「ほら、そこ。」


指を指す


「どこだ?!」


男が思わず視線を逸らした。


その隙に零は逃げる


「嘘だよ。」


それだけ行って全力疾走し、路地裏に逃げる。


「ちっ、やられた!」


そのとき、蜂が男の真横を通った


「うわっ!!?」


実際に蜂はいた。


最初に「蜂がいる」と言われれば人は警戒する。


そして「嘘だよ」と言われれば、その警戒は解ける。


警戒が解けた直後に本物の蜂が横を通れば、人間は反射的にそちらを見る。


俺が欲しかったのは、その一瞬だった。


そう、つまり心理的な作戦だったのだ。


———そしてなんとか撒いた。


「戦闘は避けたいからね。」


そんなこんなで戦闘を避けられたのはいいが、今更ながら一つ気付く。


京介。


あれ、昨日の侍の名前じゃないか?


……ということは。


あいつらは何かの組織に所属している。


しかも、俺を追っている。


「なんて連中に絡まれてるんだか。前の世界から俺は変わらないな。」


どういうわけか、昔から厄介事に縁がある、


銃を持った犯人。


誘拐事件。


失踪案件。


———探偵業をしていると、そういう連中と遭遇するのも珍しくない。


もっとも、異世界に飛ばされたのは初めてだが。


———だが、近い経験はしてる。


監禁だ。


あれは今思い出しても最悪だった


目が覚めたら見知らぬ牢に入れられていたのを思い出す。


「よし、忘れよ。」


とりあえず何か別のことを考えよう。


———そういえば何故ここは異世界なのに電話ができるのだろうか?


「…通信は圏内?」


確認すると圏外じゃなく、4Gと表示されてる。


———やはり、何かおかしい。


昨日電話かかってくる時点で気づかなきゃならないことだったな。


「電柱は———ないな。なんだ、実は魔力によって電波が成り立ってるとかそう言う系か?」


まぁいい、何がなんであれ、今考えても仕方がない。


———とりあえずは雫からの電話を待つしかないかな。


その間、暇だな。


魔術に関して図書館にでも行って学んでみるか


そうして、魔術を学びに———


〝グルルルル……〟


……なんの鳴き声だ?


路地裏に魔物でも出るのか?


〝ヴォオオオオオン!!〟


———背後。


反射的に体を捻る。


次の瞬間。


俺がいた場所を、巨大な爪が抉り取った。


「危な。」


地面が砕け、石片が飛び散る。


間一髪。


あと一瞬反応が遅れていたら、胴体ごと持っていかれていた。


数歩距離を取って振り返る。


そこにいたのは———。


全身を黒い毛で覆われた巨大な獣。


狼にも熊にも見える異形の魔獣だった。


黄色い瞳が、獲物を見つけた肉食獣のように俺を見据えている。


〝グルルルル……〟


低い唸り声。


口元からは鋭い牙が覗いていた。


零は額の汗を拭う。


「なんだこいつ。」


その狼熊みたいな奴はこちらを睨む。


……俺を餌だと勘違いしてるな。


黄色い瞳には明確な殺意が宿っていた。


どうやら話し合いで解決できる相手ではないらしい。


「参ったな……」


零は頭を掻く。


探偵として犯人を追いかけることはあっても、巨大な獣に追いかけられる経験はそうそうない。


いや、普通は一生ない。


〝グルルルル……〟


魔獣が地面を爪で引っ掻く。


次の瞬間。


地面を砕きながら突進してきた。


「……」


———横へ飛ぶ。


直後、背後の石壁が轟音と共に砕け散った。


「……いや待て待て」


強すぎる。


どう考えても熊と狼を足して十倍くらいにしたような化け物だ。


「この世界の生態系どうなってるんだ」


叫びながら路地を駆ける。


だが魔獣は執拗だった。


獲物を逃がすつもりはないらしい。


〝ヴォオオオオオン!!〟


咆哮。


その音だけで窓ガラスが震える。


「うるさっ!?」


再び魔獣が飛び掛かる。


「待———」


巨大な爪が迫る。


零は全力で踵を返した。


「こりゃダメだ……次回に回そう。」


———続く。

多分、前書き読んだ人は数数えるほどしかいないだろう。

ちなみに今回の敵は、京介ではない誰かです。

同じ組織のものなのか、はたまた関係ないのかは伏せておこう。

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