第1話「背が大きく、ムネがデカくて、お嬢様で、清楚な彼女が欲しいです!!」
みんな!!おはよう!!
俺の名前は龍波 一喜!
今日から俺は高校生である!
高校生……いい響きだ!
俺の人生でついに大イベントがやってきた!
俺は幼稚園・小学校・中学校……すべての出会いの場で……
『彼女が出来なかった』のである!!
理由は聞くな!聞かないでくれ!!お願いだ!!!
………………。
やっぱ、聞いてくれる?
……まぁなんだ、全然大したことは、ないんだけどね。うん。
俺が幼稚園の時……
…………
………
……
ある日
「みづきちゃん!好き!!」
幼稚園児の俺はまだ幼く、そしてバカだった。
俺は初恋の相手の呉羽 観月ちゃんに対して、毎日のように好き好き、言いまくっていた。
だが、観月ちゃんは俺の事が嫌いらしく、無視をし続けるんだ。
またある日
「み~ず~き……ちゃん!好き!!」
無視をされても続けます。そう俺は……諦めの悪い男なんでね!
そんな観月ちゃんは所謂、お嬢様……社長令嬢である。
観月ちゃんのどこか浮世離れした顔立ちや雰囲気に、幼心ながら恋をしていたんだ!
そしてまたある日
「みずきちゃん!なんで無視するの!!」
ついに俺は無視をされるのが嫌になり、みずきちゃんに聞いてみたんだ。
そしたら……
「だって一喜くん……あたしのスカート毎回めくるんだもん。きらい」
って言うんだよ。
……………………
いや、まぁ……その~……なんだ……今、思えば嫌われて当然っちゃ当然だよね。
ガキの頃とは言え、会うたびにそんな事を毎回されれば、誰だって嫌いになるだろうさ。
でもさ~……これぐらいの年齢ってさぁ……何が悪くて、何が良いのかの区別がついてない……そんなお年頃じゃん? 許してくれない?
と、まぁ……これが俺の最初の失恋だ。
この時は失恋なんて言葉知らないからね、唯々、呆然と立ち尽くしているだけだったね。
まぁそんな事もありましてだな~……
次に……
小学生の時だが……
…………
………
……
「もみじ!俺と付き合ってくれ!」
校舎裏。小学生にしてはちょっと背伸びした告白場所だ。
俺は目の前の彼女、斎藤 紅葉に告白していた。
「俺……俺……ずっと……ずっともみじの事が……好きだったんだ!」
この頃はたしか、小学5年生だったと思う。
俺は周りが少しずつ色気づき、彼女・彼氏を作り始める雰囲気に流され、俺も作りてぇ!……そう思い、ずっと片思いをしていた紅葉に告白したんだ。
そんな俺は幼稚園以来の好きの宣言に少しばかり、舞い上がり気持ちが高ぶっていた。
「もみじ!返事をくれ!どっちなんだ!?」
焦りからくる緊張のせいで、告白を急かしてしまった。
俺は当初、振られた理由がその急かしだと思っていた。
………………
あ、振られることは決定事項ね。
まぁそれは置いといて……
「え?普通に無理なんだけど?なんで私がお前と付き合わなきゃいけないの?」
そう、言われたんだ。
………………酷くない?もう少しマイルドに言えなかったのかな……?俺のハートは粉々だよ?俺じゃなくても今の言い方はダメだと思うよ?
「あー……その……一応……理由って、聞いても……良いかな?」
俺はさっきの突き放すような言葉にビビりながらも、理由を聞いてみた。
そしたら……
「は?いやだって私のこと、胸しか見てないよね?キモいんだけど」
………………………
はい。その通りです。おっぱい大好きです。
そうなんだよ。小学生の頃の俺は、とにかくおっぱいが好きだった。
大きければ大きい程、好きと=になるんだよ。
そして紅葉は小学生にしてはかなりの!ダイナマイトボディだ!!
胸がデカい!……そんな存在が小学生の時に、近くに居れば……恋するしかないよね?
「いや?でもほら?今は……その、なんだ?ムネ?……だけしか見てないかもだけど……その~……きっとほら、付き合えば変わる……かも?」
俺は諦めきれず紅葉に言い訳にも似た言葉をつらつらと吐き続けるぜ。
だってぇ~諦めぇきれないも~ん!!
いいじゃん!おっぱい大きいの好きなの!何がいけないんだ!!
「……………………」
あー……視線がキツイです。めちゃくちゃ見てます。
ゴミを見る目じゃないですよ、それ。
もはやゴミの方が、彼女は好きなんじゃないのかい?
そう、思えるほどに彼女の視線は冷え切っていた。
あー……ヤダなぁ……また彼女出来ないのかぁ……
はぁ……こんなことなら……
「おっぱい揉みてぇなぁ……」
――ゲシ!!
「グヘェッ!!」
え?!何々……!なに今の衝撃!!
………………
…………
……ぁあ……だめですは……これ……
あぁ……――
――――
――
と、まぁこんな感じで俺は振られた。
最後の一言が、すこ~~~~~しだけ、マズかったんだろうなぁ~と……今、思うよ。
え?衝撃は何だったのかって?
あ、金〇蹴られたんです。はい
痛かったね~……人生で初めての〇金への衝撃!
あの時の薄れゆく意識の中で見た紅葉のムネ!
あの大きさが俺の金〇の衝撃とリンクして少し興奮したね。
こういう危機的状況に与えられる記憶のすり替え……小学生の頃はこれが先生の言っていた「吊り橋効果」だと、その時に体で実感したね!!
これが俺の2回目の失恋だ。
最後に……
中学生の時だが……
…………
………
……
「よう……俺と付き合わね?」
いやーこの時の俺は尖ってたね~。
なにせ、この時に通っていた中学が、割と不良のたまり場として使われていたのもあってか……
「どう……付き合わね……マジで?」
頭にコッペパンでも乗せてるのかってくらいの小ささのリーゼントで、俺は決め顔をしてたんだよ。
………………
はい?コッペパンがなんだって?
………………
金がねぇんだよ!中学生は!それも1年生だぞ!!
金がないんだから床屋でリーゼントなんて出来ねえよ!!しょうがねぇだろ!!
なので俺は自分で髪の毛を寄せまくって、親父のワックスをこれでもかってくらいに大量に乗せて固めまくったんだ。
もはや髪の毛で出来たリーゼントじゃなくて、ほとんどワックス!……そんな髪型をしていたぜ!
あ、そうそう告白相手は~……
「マジ付き合った方が良いよ?雪?」
この学校で唯一の高嶺の花……和泉 雪に告白していたんだ!
見た目がも~う良い!!背が高くて~黒髪で~何より~……
「駄目よ……一喜くん……先生にそんな感情を抱いたら……」
清楚なんだよ~!!
気品あふれるその姿は、少しだけピッチりとしたスーツを纏っていて、俺は心臓を掴みまくられで、心拍数が上がりまくっていた!!
「いいじゃん?雪?……生徒と教師……禁断の恋……燃えるぜ……」
俺が言葉を発する度に、先生の黒髪ロングからふわりと香る良い匂いがする。
その匂いに俺はノックアウト寸前だったぜ……
そんな俺は、ハードボイルド顔負けの重低音ボイス(声変わり前なので高音)を響かせ、高鳴る鼓動を悟られない様に決め顔をし続けた。
「本当に……駄目……駄目なんだけど……もし一喜くんの……その気持ちが、成人まで変わらなければ……」
ゴクリッ!
その言葉を待ってました!……とでも言わんばかりの、唾を飲み込む大きな音を鳴らし、俺は言葉を待つ……
「考えてあげるわ……」
……………………
あ?マジですか?本当ですか?
その言葉を待っていたはずなのに本当に来るとは思わず、俺は……
「了解しました!先生!!絶対ですよ!!!言質取りましたからね!!!!」
あまりにも嬉しくなりさっきまでの決め顔や重低音ボイスはどこへやらな感じで、叫びまくった!
やったぜ!成人するまでお預けとはいえ!ついに……ついに……俺に春が舞い降りた!!
……
…………
………………
……………………
「あ~和泉先生だが、この夏に子供を授かったので、家庭に専念されるため、退職することになった」
……………………
はい?子供?あれ?先生独身だったよね?
「みんな~和泉先生に、お祝いとありがとうのメッセージを色紙に書いてくれ~」
……………………
後に知ったのだが、俺にあの言葉を言った時点では、独身だったらしい……
でも……その1年後に大学時代の人と気が合い、付き合ったそうだ……
それに先生はいつまでも清楚だった……
「ごめんね……一喜くん……あんな……あんな思わせぶりなこと言っちゃって……先生その後、好きな人が出来て……でも、生徒と教師は……やっぱり駄目だと思うわ……」
そう言って涙を流しながら……
「私がイケないの……生徒に対して……あんな……あんな、思わせぶりな……言葉を……」
そう言っていた。
………………
俺はこの時、失恋の悲しさもあったが……ここまで俺を……俺の事を最後まで悪者にしなかった……その心に、俺のハードボイルドにまた火が付いちまったよ……。
「雪……気にすんな……俺はお前が幸せなら……それでいい……」
そう言って……小さなコッペパンを揺らしながら……
俺はその日の夜に布団で号泣したよ……
…………
………
……
そんなこんなで現在!
改めまして!みんな!!おはよう!!
俺の名前は龍波 一喜!
今日から俺は高校生である!
高校生……いい響きだ!
俺の人生でついに大イベントがやってきた。
俺は幼稚園・小学校・中学校……すべての出会いの場で……
『彼女が出来なかった』のである!!
だから……今度こそ……今度こそ……!
「背が大きく、ムネがデカくて、お嬢様で、清楚な、そんな……」
はいここで大きく息を吸って~
「そんな彼女を作るぞぉおおおおおおお!!!!!!!!!!」
春満開!4月!
響き渡る一喜の雄たけびは彼の幼・小・中の失恋時代を今度こそ払拭してやる!!
その思いが込められていた!!
だが……
今度こそ彼女を作ると決めた一喜は、この時はまだ知らなかった……
背が大きく……
胸がデカく……
お嬢様な……
そんな……理想の女性に出会うことを彼はまだ知らなかった!!!
だが、しかし!!
本当に知るべきは……
絶対に知るべきは……
その女性に……
『清楚』が無いことだ!!!!!
………………
そして、待ち受けるであろう……
一喜がこれから通う、高校……
私立『笑ヶ丘 学園』の部活動の一つに……
学園唯一の混沌の存在が……
その彼女であると……
一喜は、まだ知らない!!!!!
どうなる一喜!?
どうする一喜?!
それでも……それでも……
付き合うのかぁぁああああああああ!!!!????
かあ…かぁ…か…………
………………
…………
……
「……来たか……今年も春が……」
「集めるぞ……騒ぎ散らす馬鹿どもを……」
「この学園を……地球を守るために……!」
………………
「始動だ……」
『サワゲ部!!!』




