もうひとりの召喚者と同窓会
――――side:ゼン
ヒメナが驚きつつも俺を見つめる。
「あの……あなたもしかして私たちと一緒に召喚されたひとですよね!?」
「あぁ……今まで輪郭がぼやけていたような感覚だったが今はっきりと思い出した……」
続いてシロナが頷く。
「うん、俺もはっきり見た記憶はないんだけど、君だったと思う」
イチルも呟く。
「……」
どうして急に……?
「え……ゼンさんも召喚者だったんですか?」
クロ殿下が見上げてくる。ここははぐらかす意味もない……か。
「……えぇ、まぁ」
「……」
そう答えると何故かヒメナが不思議そうな顔をして俺を見つめてくる。
「でも今までどこにいたんだ?全く会えなかったが……」
シロナが首をかしげる。本当はずっと近くにいたんだけどな。
「ううん、多分私たちのずっとそばにいてくれたんですよね」
ヒメナが告げる。
それってまさかあの牢でのことを覚えているのか……?あれが俺だったと気が付いているってことか……?
「あの時も、今も」
ヒメナが柔和に微笑む……。
「……」
あの称号の意味が何となく分かった気がする。
「……産まれながら影が薄いので」
「いえ、そんなこと……!私は覚えていますよ。あなたの言葉も優しい手も!」
「あ……ありがとうございます!」
何故か感極まりそうだ……。
「あのあなたのお名前は……?」
「ゼンと言います」
「ではゼンさんも一緒に私たちと同窓会しませんか?」
ヒメナが俺の腕を引く。
「そうだな。せっかく集まったんだ」
とシロナまで。
「俺ももっと話してみたいな」
イチルそう言ってくれた。
「……それともお忙しいですか?」
「あ……いえ。ランベルト様からは今日はお暇をもらっていますから」
召喚者仲間同士の同窓会……俺が気になっているだろうというランベルト様からの配慮だろうが。
まさか本当に参加することになるとは。
「あの、ディートたちも一緒にどうですか?」
「……ん。まぁいいぞ」
とディートハルト殿下。何となく頬が嬉しそうに桃色になる。
「ヒメナがどうしてもって言うなら……行ってやらんくもない!」
「はい、どうしても……です!」
「ふん……っ!」
何だかそのツンデレが妙に愛おしく思えるのは、先日の世論調査で帝国民人気皇子ランキング第1位に輝いた魅力だろうか。特にツンデレでたぬたん好きという部分が評価されていた。そう言えばヒメナってたぬたん耳にしっぽだな。ヒメナが好きだからたぬたん好きなのか……?それともたぬたんが好きだからヒメナのことを気に入ったのか……?――――いや、どっちもかもしれない。
「私もイチルの召喚者仲間が少し気になっていたところだ」
と殿下方と一緒にいたキレイな銀色の髪の少女が微笑む。
「それじゃ、ここからは皆でやろうか」
幸い迎賓室のテーブルとイスは足りたので、改めてディートハルト殿下やクロ殿下たちを加えて同窓会が催されることになった。
「ところでクロ殿下。あの……今度エストレラにシロナを招待してもいいでしょうか?」
「はい、もちろんです。歓迎します」
「しかし私は勇者です。歓迎されないのでは?」
「そんなことないです。イチルさんも勇者だし、そのお父さんだって勇者だけど、2人とも人気者だもん。それにヒメナさんのお友だちなら、皆歓迎するって」
「それは良かった!じゃぁ今度はイチルの暮らすエストレラで同窓会をやりましょう!」
「あぁ、早速次の楽しみが増えたな」
「えぇ!」
こんな和やかな風景の中に交ざれる日が来ようとは。召喚されてから今日まで思いもしなかったなぁ……。
――――と、その時だった。
「見つけたのれす?」
「クロ殿下お兄ちゃまの影響なのれす?」
「ディート殿下お兄ちゃまの影響もぷらすされてるのれす?ぼくたちの番人さんなのれす~~」
甲高くかわいらしい子どもの声が響いた。こんな帝国城の中に、子ども……?
驚いて足元を見ると、そこには緑の毛並みと目の3にんの子どもたちがいた。
「えと、君たちは……」
「わぁ……!森の精だ!」
戸惑っていればクロ殿下はぱあぁぁっっと顔を輝かせた。……森の精?




