空から落ちてきた31
「こ・・・こいつらやべぇ」
おぉ~気づいたかリーダー君。
「こんなのやってらんねぇ、俺達は帰る」
裏から逃げようと、残りの学ランヤンキーが駆け出す。
「まっ・・・まってよ」
大人しくしてたケバ先輩達3人も追いかけるように駆け出した。
逃げるなら最初から来るな。
まぁ、証拠の映像もあるから逃げてもいいけどねぇ。
「おぉ~っと。いかせませんよ」
逃げた連中の前に立ちはだかったのは、実弦先輩と廉先輩。
「ごめぇ~ん、心配だからきちゃったよ。姫ちゃん」
両手を顔の前で合わせて廉先輩が言う。
2人の後ろにはうちの高校でも有名な不良君達、総勢20名。
「「「ひぃ~」」」
学ランリーダー達は腰を抜かして地面に座り込んだ。
うん、廉先輩達の迫力は、やっぱ凄いよね。
「チッ...余計な事しやがって、あいつら。俺達だけでじゅーぶんだっつーの」
顔を歪めたのは衣弦。
「まぁ、まぁ、せっかく来てくれたんだし」
衣弦を諌めるのは瑠衣。
固まった板倉先輩と他2名は、廉先輩と実弦先輩の登場に完全にビビってる。
「俺達の可愛い姫を呼び出すなんて、10000年早かったねぇ」
実弦先輩、目が笑ってませんよ~。
「先輩達、これで観念してくれますね? 当初の予定とはずいぶん変わっちゃったんですけど。先生が来るまで大人しくしててくださいね」
私は出来るだけ優しく声を掛けた。
だって、青ざめて震えてる人達に厳しくできるほど、私は極悪人じゃないからね。
「・・・なぜ・・・どうしてなの・・・こんな子が・・・」
呟くようにそう言って、涙を滲ませる板倉先輩。
「今回は相手が悪かったわね。蒼空は皆のアイドルだもん」
いや・・・それは違うよ、咲良。
「そうそう、私達の姫に手を出してただで済む訳がないじゃない、馬鹿な人たちね」
ウフフって笑う麻美。
「それに神野が姫を呼び出した事を知ったらどうなるんだろうな?」
衣弦が瑠衣を見る。
「ホントホント、あいつ怒り狂うだろうねぇ」
心底楽しそうに2人は笑った。
しばらくして前もって呼んであった先生達が到着する。
話がややこしくなると困るので、廉先輩達には早々に退散願った。
私達3組fiveは先生達に悪い印象を持たれても居ないので、すんなりと話が進んだ。
呼び出しされた経緯を話して、蜜が証拠ムービーを手渡した後、項垂れたままの先輩達と学ランのヤンキー達が、数人の先生に囲まれて連れて行かれる姿を見送った。
「さぁ~て一件落着。帰るとしますか?」
と衣弦。
「うんうん、お腹減ったからお好み食べて帰ろうよ」
ニッコリと微笑む瑠衣。
「私達も行くわ」
麻美が言うと、うんと蜜が頷いた。
「いいないいなぁ。私も帰りた~い」
「蒼空は部活でしょ、行くわよ」
咲良に首根っこを掴まれて連行される。
「いやぁ~お好み焼きぃ~」
もがきながら瑠衣に向かって腕を伸ばすも、私の手は空を舞う。
「いってらぁ~」
他人後の様に手を振る衣弦に殺意が芽生えた。
まぁ、衣弦にとっちゃ~他人事なんだけどさ。
薄情者~。
「みんな、また明日ねぇ」
咲良は空いてる手を振る。
「は~い」
「ほ~い」
「また、明日ねぇ」
蜜、麻美、瑠衣の順番に返事が返ってくる。
もう・・・みんな助けてよぉ~。
こうなった咲良の敵に回る人間は誰一人としていないのであった。
「みんなぁ~今日はありがとぅ~」
引きずられながら、みんなに手を振る。
お礼はキチンと言っておかなきゃね。
「「「「おー」」」」
4人の手が上がる。
仲間ってやっぱいいなぁ~。
そう思いながら首根っこを掴まれたまま連行された私だった。
事件はとりあえず一件落着した。
酷い目に遇った女の子達の心が癒されるわけじゃないけど、これからは被害者が出る事は無いと思う。
間違った愛情は憎しみを生み、歪んだ心を作るのだと痛い程分かった。
ロキにはしっかりお仕置きしなきゃね。
あいつには肝に命じて貰わなきゃだわ。
その頃、商店街を歩いていたロキは、意味の分からない寒気に背筋を震わせていたと言う。




