空から落ちてきた32
ここからロキの視点です。
朝、起こしに来た蒼空にちょっとした悪戯をする。
あいつが顔を赤らめる姿が可愛くて、どうしてもからかっちまうし、怒らせるって分かってるのに、どうしても構っちまう。
拗ねた顔が、可愛くてたまらねぇ。
俺がどんなに誘っても、乗ってこねぇ女。
口が悪くて気がキツい女なのに、時々見せる寂しそうな顔が俺を引き付ける。
この感情の名前を俺は知らねぇ。
今朝も、なんだかんだと置いてきぼりを喰らった。
蒼空は俺との登下校をやたらと嫌がる。
学校でベタベタするのを毛嫌いしやがるし。
なんなんだよ・・・。
他の女は俺がちょっと構ってやれば、股を簡単に開くのに・・・。
蒼空には俺の魅力が通じねぇ。
少し送れて教室に入ると、普段と変わらない蒼空の姿。
クラスの奴らに好かれてる蒼空。
あいつの周りはいつも明るくて、賑わってる。
蒼空が、太陽みたいな笑顔を見せるだけで、殆どの奴が蒼空信者に変わる。
あいつはその事を知らない。
ただの人間のはずなのに、不思議な魅力があるんだ。
あいつは側にいる奴らに無条件で愛され大切にされる。
そんな奴は今まで見たことねぇ。
例え神でも、天使でも居なかった。
でもたった一人だけ無条件で愛され慈しまれる人物が居るとすれば、それは全能の神ゼウスのみだ。
俺は会った事はねぇが、小さい頃からそう聞かされて来た。
機嫌の悪い俺を見ても、何食わぬ顔で俺を見る蒼空に苛立った。
真っ直ぐ蒼空を睨みつけて、歩いて行く。
すると俺の携帯電話が鳴り出した。
出ろと言う蒼空。
俺はサブディスプレイで相手を確認する。
相手は、今遊んでる女、No.11番。
名前なんて覚えれねぇから、番号で振り分けてる。
蒼空に言わせりゃ、それが酷い事らしい。
でも体だけの相手の名前まで、覚える必要はねぇだろ?
相手には初めにそれも伝えてるし。
納得した奴しか相手にしねぇ。
着信拒否にしてポケットに携帯をしまう。
蒼空の机の前まで行って、音を立てて机に両手を置いた
それなのに、蒼空はいつもと変わらない様子で俺を見上げる。
俺だけが疎外感を感じる。
「どうして、毎回毎回一人で行くんだよ」
自分で思ってたより低い声が出た事に驚いた。
一瞬目を見開いた蒼空は静かに、
「一緒に登校したくないからよ」
って真顔で言う。
当たり前でしょ? って感じがひしひしと伝わる。
一緒に居てぇって思うのは俺だけなのか。
蒼空にとって俺は特別な存在じゃねぇのか。
「・・・っ・・・」
蒼空のホントの気持ちが知りてぇよ。
「本気か? それ」
自然と口から出た言葉。
蒼空が胸を押さえて、俺を切なげに見上げる。
そんな顔出来るんじゃねぇかよ。
本当の俺を見てくれよ。
「・・・ロキは私なんかじゃなくても、誘えば喜ぶ女の子が沢山いるでしょ?私に拘らなくても良いじゃない」
蒼空の口から出た言葉に戸惑う。
そうだよな、そう思われても仕方ねぇよな。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
蒼空に返す言葉がねぇ。
全て俺が自分が招いた事じゃねぇか・・・。




