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第35話 『新しい世界へ』

世界樹が植えられてから一年が経った頃、

メルキュリア女神が再び姿を現した。

「素晴らしい成長ぶりです」

女神は世界樹を見上げながら言う。

「実は、この世界樹には特別な意味があるんです」

女神は語り始めた。

かつて、全ての世界は一つだった。

料理を通じて人々が繋がり、

豊かな文化を育んでいた時代。

しかし、ある出来事をきっかけに世界は分断され、

それぞれが孤立した世界となってしまった。

「五つの神器と世界樹。

これらは、世界を再び一つに繋ぐための鍵だったのです」

女神は料理人たちに、最後の試練を告げた。

「全ての世界の料理人たちを集め、

究極の饗宴を開いてください」

「それが成功すれば、世界は再び優しく繋がり始める」

準備が始まった。

世界樹の実が次々と熟し、

様々な世界への招待が行われる。

日本からは若い料理人たち、

銀の月からはアーサーとティターニア、

エルフの森からは風の料理人たち、

ドワーフの山からは大地の職人たち。

そして、影喰らいの一族も姿を現した。

『まかない亭』の庭に、巨大な宴の場が設えられた。

世界樹の下、無数の料理人たちが集まった。

五つの神器が中央に置かれ、

その周りを様々な世界の料理が取り囲む。

「では、始めましょう」

智也が静かに告げる。

一斉に調理が始まった。

それぞれの世界の技法が交わり、

新しい可能性が生まれていく。

神器たちも共鳴を始め、

世界樹全体が輝き出す。

完成した料理は、

「世界を結ぶ虹の宴」と名付けられた。

人々が口にすると、

まるで全ての世界の記憶が蘇るような感覚。

喜びと感動の声が響く中、

世界樹が最後の輝きを放った。

すると、空に無数の光の道が現れる。

それは、世界と世界を繋ぐ永遠の架け橋。

女神の言葉通り、世界は緩やかに繋がり始めた。

しかし、それは完全な統合ではなく、

優しい交流が可能な状態だった。

『まかない亭』は、その交流の中心となっていく。

世界樹の下で、様々な世界の人々が出会い、

料理を通じて心を通わせる場所に。

『星風亭』も、世界中の料理法を学べる

特別な学び舎として発展していった。

智也とさくらは、相変わらず心を込めて料理を作り続ける。

今では弟子たちも増え、新しい世代が育ちつつあった。

「ご主人、今日も美味しかったよ」

「さくらちゃんの盛り付け、本当に素敵ね」

「また来るからな!」

いつもの常連たちの声に、

新しい世界からの来客の声が混ざる。

「先生、私も『まかない亭』のような店を開きたいです」

リリアは立派な料理人として成長していた。

大将は、たまに昔話を聞かせてくれる。

影喰らいは、今では笑顔で料理を楽しむようになっていた。

全ては、一杯のスープから始まった物語。

それは、これからも続いていく。

「さあ、今日も開店準備を始めましょう」

智也がいつものように声をかける。

朝日を浴びた世界樹が、優しく揺れていた。

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