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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第三章 真穂の十二月二十五日~十二月二十六日
45/130

045.汚れ

ここから真穂視点開始。

 高圧洗浄みたいな魔法で、廊下の天井と床がピカピカになる。

 ヤニと煤と油煙と埃で真っ黒だったのが、一気に明るくなった。

 キレイな廊下に土足で上がるのは気が引ける。でも、奥は汚いままだから、やっぱり土足。

 床を埋めていた物がなくなって、棚の足元がどうなっていたのか、わかった。

 棚の前にも、カラーボックスが横倒しに置いてあった。って言うか、埋まっていた。中身はギュウギュウ詰め。玄関に一番近いカラーボックスは、ラップとアルミホイルとビニール袋とタッパ。パッケージはどれも変色していた。

 腐汁が垂れて、色々な生き物の糞がこびり付いて、小さな歯型もある。食べ物じゃないのに、何で(かじ)っちゃうかなー?


 どう見ても無理です。使えません。ゴメンナサイ。


 齧られてできた穴に指を入れて、ラップを引っ張り出す。一本抜けるとどんどん抜ける。一段でゴミ袋が満タンになった。軽いから、後で纏めて持って行こう。

 口を(くく)って玄関に置いて、二段目、三段目もゴミ袋に入れる。

 お兄ちゃんとツネちゃんは、カラーボックスの後ろの棚を開けた。

 「何でこんなとこに食器があるんだ?」

 「知りませんよ。捨てましょう。全部」

 ツネ兄ちゃんに聞かれて、お兄ちゃんがキレ気味に答える。


 ゴメンナサイ。台所に入りきらないからです。


 私は心の中で謝りながら、カラーボックスの中身をゴミ袋に移した。いちいち段ボールから出してあって、面倒臭い。

 下の箱が潰れて空いた隙間に、ビニール袋とかを詰めて埋めてあった。


 意味わかんない。

 他の物みたいに段ボールのままだったら、まだ使えたかもしれないのに。


 ゴミ袋四つ持って、外に出る。

 外は寒いけど、空気がキレイでホッとした。

 さっきの大きい靴箱とかも、もう焼いてあった。灰入りの透明ゴミ袋が塀の傍に積んである。

 はちきれそうなゴミ袋を何もないゴミ焼きの円に置いて、ノリ兄ちゃんに声を掛けた。

 「ゴミ焼き、ありがとうございます。そこ、寒くないですか?」

 「ん? 風除(かぜよ)け作ったから、大丈夫だよ」

 杖で足元の円を指してくれたけど、タダの円にしか見えない。


 でも、きっと何か凄い魔法なんだ。

 いいなぁ。魔法。

 私も魔法使いだったら、こんなゴミ屋敷、パーっと片付けられるのに。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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