044.洗剤
流石にこれだけ人数が居ると、ガンガン進む。
俺達は、パンパンになったゴミ袋を何十個も庭に積み上げ、箱買いの洗剤を倉庫前に運び、トイレ前までの足場を確保した。
無駄に広いせいで、突き当りの台所まで、まだこの三倍はある。
床は汚れ過ぎて、材質もわからない。
ゴミ捨てに行った双羽さんが、風呂一杯分くらいの水を連れて戻った。
全員、安全地帯に退避した。
水を床に這わせ、汚れを溶かし込む。水は、一瞬で泥水になった。
野菜や長靴についていた泥、朽ちて土に還った布類、紙類、埃、胞子、ゴキブリの足、何か小さい虫の生体、糞、虫の卵、煙草の吸殻、灰。
手で拾えないサイズの物が、水に混じる。
洗剤を手にした真穂が、水の汚れをゴミ袋に移す双羽さんに言った。
「あの、水にこれ混ぜてやると、早くキレイになるかも……どうしましょう?」
「試してみましょう」
清水に、掃除用洗剤をボトル一本丸々入れる。水はうっすら緑色に染まった。
洗剤を含んだ水が、床を這う。
空き地に進出した雑妖が、一斉に逃げた。一回水洗いしても、まだ床は汚く、あっという間に泥流と化す。
ゴミ堆積エリアの手前で折り返し、水は生き物のように床を這い回った。
ザブザブ波打っているのに、泡が立たない。
ゴミ層の下で、埃や何かが腐汁と湿気で固まって、上をそのまま歩くから圧着されて、何十年も掛けて廊下の床は、地層化していた。
これをメラミンスポンジとかで地道に削る事を想像して、気が遠くなった。
魔法、スゲー……
三回、汚水のゴミを捨て、洗剤を足し、四回目でやっと泡立った。
ヘドロが奥に引っ込んで、俺にも床が見えるようになった。この床、板張りだったんだ。
五回目は洗剤なしで、すすぎをしてもらった。
直接見ているのでなければ、コラ写真だと思うくらい、このエリアだけキレイになった。
賢治視点、一旦終了。




