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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第二章 賢治の十二月二十五日

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044.洗剤

 流石にこれだけ人数が居ると、ガンガン進む。

 俺達は、パンパンになったゴミ袋を何十個も庭に積み上げ、箱買いの洗剤を倉庫前に運び、トイレ前までの足場を確保した。

 無駄に広いせいで、突き当りの台所まで、まだこの三倍はある。

 床は汚れ過ぎて、材質もわからない。

 ゴミ捨てに行った双羽さんが、風呂一杯分くらいの水を連れて戻った。

 全員、安全地帯に退避した。

 水を床に這わせ、汚れを溶かし込む。水は、一瞬で泥水になった。

 野菜や長靴についていた泥、朽ちて土に還った布類、紙類、埃、胞子、ゴキブリの足、何か小さい虫の生体、糞、虫の卵、煙草の吸殻、灰。

 手で拾えないサイズの物が、水に混じる。


 洗剤を手にした真穂が、水の汚れをゴミ袋に移す双羽さんに言った。

 「あの、水にこれ混ぜてやると、早くキレイになるかも……どうしましょう?」

 「試してみましょう」

 清水に、掃除用洗剤をボトル一本丸々入れる。水はうっすら緑色に染まった。


 洗剤を含んだ水が、床を這う。

 空き地に進出した雑妖が、一斉に逃げた。一回水洗いしても、まだ床は汚く、あっという間に泥流と化す。

 ゴミ堆積エリアの手前で折り返し、水は生き物のように床を這い回った。


 ザブザブ波打っているのに、泡が立たない。

 ゴミ層の下で、埃や何かが腐汁と湿気で固まって、上をそのまま歩くから圧着されて、何十年も掛けて廊下の床は、地層化していた。

 これをメラミンスポンジとかで地道に削る事を想像して、気が遠くなった。


 魔法、スゲー……


 三回、汚水のゴミを捨て、洗剤を足し、四回目でやっと泡立った。

 ヘドロが奥に引っ込んで、俺にも床が見えるようになった。この床、板張りだったんだ。

 五回目は洗剤なしで、すすぎをしてもらった。

 直接見ているのでなければ、コラ写真だと思うくらい、このエリアだけキレイになった。

賢治視点、一旦終了。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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