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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第二章 賢治の十二月二十五日
43/130

043.違い

 クロエさんも廊下に上がり、朽ちて束ねられない古新聞を袋詰めしている。

 真穂と並ぶと、違和感に気付いた。

 外国人と言う事を差し引いても、もっと何か、決定的に違う。

 俺は手元を見ずに袋詰めしながら、二人を見比べた。どうせ、ヘドロで手元は見えない。


 クロエさんも魔女だから、雰囲気が違うのか?


 双羽(ふたば)さんをチラ見する。いや、やっぱり違う。

 双羽さんはどっちかっつーと、ツネ兄ちゃんに近い。ツネ兄ちゃんは、霊感があるだけで多分、普通の人だ。

 ツネ兄ちゃん、真穂、クロエさんを見る。

 クロエさんだけが明らかに違う。


 何が違うのかわからない。見た目は凄い美人なのに、人っぽくないって言うか、何なんだろう。


 古雑誌を掴んだ。

 色褪せた表紙は、ベテランの落語家だ。この間、この人のデータを基にアンドロイドを作ったって、ニュースでやってた。

 TVで、この表紙より大分老けた落語家と、アンドロイドが並んでいた。

 アンドロイドは外見も仕種も語りも、落語家にそっくりだった。でも、人には見えなかった。

 クロエさんの雰囲気は、それに近い。


 あ、でも、命令の仕方とか、ホントにそうなのかも……

 なら、人間離れした怪力もわかる。


 見た目グロいだけで、雑妖は直接、何かしてくる訳じゃない。

 居ないモノとして、ヘドロに手を突っ込み、紙袋を引き上げた。底が抜ける。

 「うぉっ! ゴメン!」

 お裾分けと一緒に紙袋も腐っていた。腐ってから干からびて、カビの苗床になった物体と、ハエの蛹らしき赤茶色の粒が玄関に散らばる。

 ツネ兄ちゃんがちょっと退き、双羽さんは小さく溜め息を吐いた。

 真穂は俺の声に振り向いたが、クロエさんは無反応。

 段ボールを即席の箒とチリトリにして、散らばった物をかき集めた。

「野茨の血族」を先に読んだ方は、クロエが何者かご存知だと思いますが、知らんぷりして読んでください。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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