母になる事とは。
『母』になるという事。
子供を持つ事。
責任が生じ、義務も生じる。
無条件の愛情。
厳しく叱り、優しく包み、見守る。
子供の成長と共に、複雑になる心境。
それぞれ、母としての考えや思いは違うけれど、愛情を注ぎ、慈しむのは同じだと思う。
時に子供を突き放し、自立も必要で。
頼り頼られる。
自分の分身ではない。
一人の人間。
自尊心。
尊重。
生めば母になる訳でなく、育て一緒に親子になる。
これも人それぞれ違うかと。
私は自分の子供が大切だ。守るべき存在。
だが、個人として尊重すべき所はそうしている。
悪い事をすれば叱る。訳を教え、理由を説明する。
怒りに任せてしまう事もあるけれど……。
その後に、分かるまで理由を述べる。
所有物でないが、親の義務として色々言ってしまうが……。
姉夫妻の子供を生む事。
私の母としての役割り。生んだ時点で全ての感情、思いを拭い去らなければならず、私の思いも考えも聞いてはもらえないだろう。
教育方針が違うから。
私は黙っていられるだろうか。
遺伝子的に姉の実子になるけれど、自分のお腹に宿ったとしたら、愛情が湧いてしまう。
全くの他人ではないし、甥っ子になるであろうが、私が生んだ事実を、私は胸にしまい、
普通にできるだろうか。
育てながら親になる。
そう思う私だから、恐らくは大丈夫かも知れない。
しかし、万が一にも。一瞬でも、我が子と感じてしまったら?
育てる事はないけれど、一瞬でも。
親になってしまうかも知れないし、分からない。
私の定義、親の定義。否定する事になってしまう。
だから私は怖いんだ。
自分勝手と姉をなじるが、結局は自分が怖いだけ……。
お腹で育った赤ん坊を、私の中に宿る命を、
簡単に手放せなかったら?
生んだだけでは親にならない。
けれど、愛情は持ってしまうだろう。
子供を生むと言う事は、本来ならば喜びに浸る瞬間なのに、それが許されない。
私も、生まれる事になるかも知れない命も、道具として扱われてしまうのか。
違う。
新しい命をの誕生、それを道具として扱われる事はない。
揺さぶられ、フラフラした私の気持ち。
姉達は、どこまで理解してくれるのだろうか。
ぼんやりと考える。
答えは何処にあるのか。
私は何をすべきか。
隣で眠る我が子をそっと見つめた。