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第五十話 どうなるのか?

「あのさぁもっと早くならないかな」


「何言ってんのよ、焦ったって仕方がないでしょ、馬が倒れたらどうするのよ」


「そうだよな、悪かったな」


 イレイガを出発してから一日が過ぎたが、まだここから4日もかかると思うと少しだけ焦ってしまう。


 春奈さん達の事も気掛かりだし一人で行動している【サムライ】と少しでも早く合流がしたいと思っている。


 ただジールは間違った事を言ってる訳では無いのでこれ以上言うのは止めようと思った。


「あのさ、そろそろ良いんじゃない」


「んっどうした? あぁそうか昼休憩ね、だったら次の村に入ろうか」


「そんなのはどうでもいいの、それよりあんたは記憶がないなんて嘘なんでしょ、それに六宝星とどんな繋がりがあるのよ」


「えっ……」


 ジールの腰に掴まっているのでその表情は分からないが、いきなりこんな事を言いだすのだから生半可な答えはしてはいけないだろう。


「あのさ、そろそろ信用してくれないかな」


(悪い子じゃないのは知っているっけどだからと言って簡単に秘密を話して良いのだろうか、ただかりそめの勇者の仲間だと知ったらジールはどんな反応をするのか少しだけ気になるな)


「いきなりどうしたんだ」


 まだ考えが固まっていないので少しでも時間を伸ばしたい。


「あんたとドロフェイは声が大きいのよ、それにね見送った時のあんたの様子がおかしかったからね、知り合いがいるんだって思ったのよ」


 ジールは意外と観察力があるようだし、この先の事を考えて正直に話す事に賭けてみた。


 オルガ達には迷惑は掛からないし、それにジールが裏切ったとしたらそれでこの国の対応が分かるかも知れない。


 簡単に終わる話では無いので街道脇にある倒木に腰を下ろして俺の正体を打ち明けてみた。


 ジールは黙って話を聞いていて、その話が終わってもただ俺の顔をじっと見ている。


(嘘だと思ってるのか、まぁそうだよな、おかしな話だからな)


 暫く黙ったままだったがようやく薄く笑うとそのまま話し掛けてくる、


「まさかあんたがかりそめの勇者だとはね……あっ弾かれたから違うのね」


「まぁそうだよね、そうなると何て呼ばれるのか知らないけどな、もしかしてなりそこないかな」


「そうかも知れないけど、どうしてあんたがエルフと同じような魔法が使えるのかそれなら納得出来るよ、普通の人間がそんな事を出来る訳ないからね、それよりさ私は特に大変だねってぐらいにしか思わないけど、かりそめの勇者を毛嫌いしている人もいるから秘密にした方がいいね」


 かりそめの勇者が嫌われている事は知っているが、この反応だとジールは俺を裏切らないかも知れない。


「やはりこの世界の人間じゃ無い俺達は嫌われているんだな」


「何て言うかさ、召喚されてきた人はほぼほぼあれでしょ」


「そうらしいよな、いきなり力が授かるから暴走すんだよ」


「そうだね……んっそういえばさかりそめの勇者の話は伝わっているけどあんたみたいな人の話はあまり聞かないな、六宝星もそうだけどそっちの方が多いはずなのに」


 平井の話が本当だとすれば勇者の素質を持つ者は平井と今村主任だけらしい。だとするとそこまでの素質を持たない奴の方が遥かに多いのだが。


「一部はかりそめの勇者のパーティにいた奴がそうなんだろうけど、それにしても人数が足らないな、残りは死んでしまったか……まさかな」


 今までと同じく死んだという答えの他にもう一つが頭に浮かんできたが、ジールも俺と同じ答えが出たみたいだ。


「あんたもエルフの里に保護され無かったら魔法は使えないままだったかもね」


「そうだよな」


「あのさ、召喚された時にはどれぐらい側にいたの?」


「三十人以上だよ、無事に召喚された人達も何人か死んでしまっているってさ、王都にはあの6人の他に3人いるそうだよ」


「酷いね、かなりの人数が死んでいるじゃない」


「俺みたいな奴がもっといればいいいんだけどな」


 ドロフェイ達以外にこの話を普通にすることが出来て気持ち的にはかなり楽になったが、ほんの一部でこの事がきっかけで危機になるかもしれないと覚悟もしている。


「それでどう思うんだ?」


「どうって……あぁその事ね、誰にも言う訳無いでしょ、言ったところで私に何の得があるのよ、このままにしておいた方が良いに決まっているじゃない」


 ちゃんとした教育を受けているだけあって損得の計算が出来ているんだろう、ただちょっとだけ寂しい気もするがそれは贅沢な話だ。


(もし父上にこの事を言ったらどんな手を使っても子供を作れって言うんだろうな……どこかの馬鹿貴族に嫁に行かされるよりかはマシなのかな……まだ仮定の話なんだから考えるのは止めよう)



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