待望のピクニック ⑥
カーテンをポンポンと叩いて咳をした望実に布が渡される。ノアから受けとるとさっと口に巻き、一度髪をほどいてお団子にして望実はまず窓という窓を開けた。いったいどれぐらい長い間放置されていたのだろう。ほこりがキラキラと輝いていて複雑な気分だ。
「ネビルは高いところをお願い」
「わかりました」
「オランジュはテーブルの上のものをミネオラとあちらの台にまず置いてくれる? ノア、台にそっちの布を。エスクード、棚という棚をはたいてください。基本は上から下です」
これはお隣のおばあちゃんからさんざん言われたので刻み込まれている。掃除は上から下。さすがのおばあちゃんもお城は掃除したことはないと思うが。
「グルナードはこの部屋に必要なものとそうでないものの仕分けをお願い。特に貴重な本は違う部屋に運んで順序よく並べてくれるかしら?」
「ええ。貴重な書物もありそうです。隣の部屋も見てみましょう。あの方はあれで価値のあるものは大事に扱うので」
「じゃあ、この部屋にあるものは価値がないの?」
グルナードは苦笑いすると「ディオールにとっての、です。サガが持っている坪などは銀数十枚では?」と言う。サガは自分の給料の十倍の壺を見てそっと戻していた。
「器や皿は大事に扱いましょう。ネビル、カーテンを外したら、グルナードに聞きながら騎士団で本を虫干しに、カビが凄いことになっているのものは後で許可をとって処分しましょう。勝手に捨てたら本気で怒られると思うから」
「わかりました」
大勢でやれば一部屋ならまだなんとかなるだろう。大きなテーブルにつみあげられた本の山がなくなったのを見て、ノアに持ってきてもらった布をかけてテーブルクロスにする。サガには燭台や椅子を磨いてもらい、望実はペッシュとカーテンを洗って干した。
今日はいい天気なので午後には乾くだろう。
「かなり大きかったし大変だったわね」
「部屋は片付いたでしょうか?」
「結構きれいになったみたいよ」
望実の指差す方向には大きな窓から食事の間が綺麗になった様子が見える。
「午後のお茶はあそこでしましょう。しばらく換気はしないと」
「わかりました。台所も使えそうにない状態だったので何とかしないとですね」
「ノバは専ら保存食を買い込んで食べてるだけなんでしょうね。時々向こうでもそういう人いたけど美味しいもの食べたくならないのかしら?」
「食べるより時間の方が大事なんですよ。きっと」
心当たりがあるのか笑顔になるペッシュに望実はああと頷く。
「ここらへん日当たりもいいし、ノアから違う布貰ってピクニックシートがわりに引きましょうか?」
「いいかもしれません。騎士団の方に火を起こして貰います」
もうそろそろ馬車が来る時間だ。そしてついに攻略対象が全員揃う。
望実は大きく息をすって気合いを入れ直した。




