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観光4:反省を敢行するために世界観光してきます

本日2話目。そして最終話です。


最終話まで書いておいてなんですが、恋愛要素がなかったのでジャンルをハイファンタジーに変更しました。

「そもそも、君達が言うところの魔王とはいや魔族とは本来は僕一人を指す言葉だったというのを知っているかい?」


「僕はね、かつて普通。それこそどこにでもいるような人間だった。ただ一つ普通じゃないことがあるとすれば人間ではありえないレベルの魔力を保有していたということだろう」


「その強すぎる魔力は肉体的にはただの人間でしかない僕の体には強烈過ぎて僕は止む無く生き残るために人間という枠を捨てざるを得なかったのさ」


 唐突に始まった魔王の自分語りを私達はただ聞くことしかできなかった。

 元デュラハンで自分では魔王に至ったとほざいていたあいつがどれほど恥じ知らずの存在だったか。私達が手古摺っていたのが本来の魔王と比較すればレベルが数段落ちる……そんな次元で語れる存在でないことを考えれば当然のことだった。


 もしも、あいつが魔王の力を取り込むのではなく復活を目論んでいて復活するのがこいつだと知っていたら私達は例え世界を犠牲にしてでも復活前にこいつを排除しようとしていたはずだ。


「残念ながら、副産物として魔族やモンスターと呼ばれる凶暴な存在を世に解き放ってしまったのは本当に遺憾だったよ。まさか、人間をやめた僕の魔力に呼応するように変質を遂げる存在がいるなんて予測できるわけがないだろう?」


「……魔族は人間を滅ぼうそうとしていた。それをなんとかするために魔法道具が作られたと伝承されていますが?」

「うん。そうなんだよ。なんでかは知らないけど、魔族は人間を目の敵にしている。そればっかりは僕が何を言っても聞こうとしなかった。それ以外のことでは僕が死ねといえば死ぬような従順な奴らなのに」

 魔族が命令を聞くだけでも驚きなのに、言葉だけで死ぬ? そんな存在をどうやって昔の人達は封印することが出来たんだろう? そもそもの話、こうやって復活しているということは封印が甘かったということ。さらには封印しても命を奪うには至らなかったということになるんだけど……。


「魔族が暴れまわり始めてからしばらくすると魔族にはボス的存在がいるって噂が立って、気付いたら魔王だよ? ひどくない。どうもやられた魔族の何体かが僕のことを叫びながら死んでいったのが問題だったらしいんだけど……。それでもあんまりだと思わない?」


「——で、追いかけ回されるのにも飽きてきたところで僕は自分の才能を最大限に生かして三種の魔法道具を作り出すことにしたんだよ」

「「えっ?」」

 思わず師匠と私の口から疑問が飛び出る。


「それが君達が使っていた魔法道具ギロチン・天秤・鎚というわけさ!」


「え~~~!?」

 どどど、どういうこと!? 魔族に有効な魔法道具を魔王が自ら作ったてこと!?


「まあ眠りにつく前にそれまでで一番僕を追い詰めてきた三人の英雄に『今から眠りにつくから絶対に起こすな。鍵としての機能もある魔法道具はお前達に預けるからな!』って言って眠ったわけなんだよ」


「魔法道具が一つのところに揃わなければ、揃ったとしても真の力を解放しなければ眠ったままだったんだけどまさか解放する人間が現れるなんてね~。いや~時間が経ってそれなりに人材が育ってきたってことなんだろうね」


「ちょっとお待ちなさい! 魔法道具をあなたが作った……それはこの際認めましょう! ですが、真の力を解放しなければ魔王が目覚めなかったというのはどういうことですか!?」

「そうですよ! 現に私達は魔王の力を手に入れた、手に入れかけた魔族にやられてたんですよ!?」


「ああ、それね。僕もびっくり。まさか魔族が僕の力を取り込めるぐらい進化してたなんて。まあ一時的なものでその分体への負荷も大きそうだったけど……」

「それが魔王が復活していたということじゃないんですか!?」

「違う違う。僕は、ほらこんな風になる前から魔力の制御が苦手だったから……」


「……つまり?」


「つまりはあの魔族は僕の漏れ出た魔力に充てられてちょっとだけ強くなっただけ」

「そんな酒の匂いで酔っ払ったみたいな言い方をするなーー!!」

 こっちはその酔っ払いに殺されかけたんだよ!


「だけど、そこで僕が復活したんだ。君達は運がいい」

「~~~~!」

 駄目だ話がまったく通じない!


「さて、長々と話をしてきたわけだけど、そろそろ僕をもう一度封印してもらってもいいかな? 真の力を解放した君達ならばできるはずだよ」


「「……はっ?」」

 もう、絶句! 言葉が出ない!


「……残念だけど、ギロチンは壊れてしまったわよ」

「ありゃ、本当だ。う~~ん、困ったな」


「あの、もう一度作り直すというわけには」

「いかないねえ。あれは僕の魔力のほとんどと当時でもかなり貴重な宝物をがっつり使って作ってるから」


「そうだ! だったら、君が僕とずっと一緒にいてくれればいいよ!」

「はぁ!?」


「お~い、ちょっと待っておくれよ。僕は体を動かすのがそんなに得意じゃないだから」

「そんなこと知りません! 無駄口を叩くならいつもより多めに叩きますよ!」


 あれからなんでいきなりプロポーズ!?と思わないでもなく、ひと悶着があったわけだが。

 結論から言うとプロポーズではなく、ハンマーの力は魔力を払い抑える力があるというのが原因らしい。つまりは一日何発か殴ることで漏れ出る魔力を抑制し、魔王を普通の人間にしてしまえということなのだとか。

 都合がいいことに何回か殴ればそのうち元の魔力も少なくなっていくらしいのだ。


 そんな便利な道具なら自分で使えと思わないでもないが、自傷行為をする趣味はないのと結構本気で殴らないと魔力を拡散させるには至らないらしい。

 以前やろうとしてあまりの痛みに強力なモンスターがポンポン生まれてしまったのでさすがにやらない方がいいだろうと脅されて私はまた旅に出ることになった。


 旅に出なくてもいいと皇帝陛下などは言ってくれたのだが、魔王がじっとしているのが性分に合わないということ、ついでに今までというか今現在も彼の生み出した魔族が世界に迷惑をかけていることもありそれらを見つけたら始末もしてくれるらしい。

 あとはせっかく長い時を経て目覚めたのだから世界中を見て回りたいとか……。どう考えてもそちらが主な理由だと思う。


 まあ、世界を見て回りたいのは私も一緒だ。

 結局、私がダイアナ・フォン・クインテットの体に宿った理由はわからない。本来だったらダイナという少年になっていたのだとしたら元の魂は男だったのかもしれない。

 そんな色々を考えてみても魔王を倒して世界を救う大役はやっぱり荷が重いと思う。


 それでも世界を周る理由、それは――。


「はあ、そもそも私反省するために自分の足で歩いていたのになんで世界を救った聖女になってるのかしらね?」

「どうかした?」

「いいえっ! さっ、それよりももっと急ぎましょう! じゃないと今夜も野宿することになりますよ!」

「うぇ~そんなことしなくてもちゃんとお金を払って場所とか使えばいいじゃないか」


「何を言ってるんですか! は反省するために行動してるんですからしっかりと自分の足で行わないと!」

「……やれやれ、とんだ体育会系の人に手綱を預けちゃったもんだよ」


「さあ、行きますよ! ——レッツ、反省!!」

作者がぐだぐだしていたので思った以上に長い連載になってしまいました。

あと、当初考えていたストーリーとは全く違う終わり方になったことに作者自身が驚いております。


実際はもっと短い予定でした。

それこそ最初の断罪を数話やって終わるとか……。


あとは考えていたのはデュラハンとくっつくとかも考えてました。


まあだけどある意味これがいいんじゃないかという終わり方になったと思っています。


それではまた逢う日まで。


2020年10月22日 あなぐらグラム

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