クーリング・オフ(力付く)
「いや、どう見ても馬だろ」
絨毯の上に乗せられずぷかぷかと宙を回せて連れて帰った魔牛たちを見たメイオさんの一言目がそれだった。うん、よくわかる。
ちなみに魔牛たちは初めに恐慌状態になり、しばらくして落ち着いたものの、それ以降従順になり、夕熾さんが狙ってやったんじゃないかと疑っている。
結局蹄が割れているやらどうやらと話し込んでしまう二人。どっちも研究とか好き過ぎる似たもの同志だからなぁ……とか考えていたらメイオさんにキッと睨まれました。
「今なんか失礼なことを考えたろ?」
「ソンナコトナイデスヨ?」
なんやその超直感は!?
「まぁ、いいか。どっちにしろまだしばらくは試飲出来そうにないな」
なんとかごまかせたようです。
「なんでだ?」
夕熾さんが首を傾げて言えば、メイオさんも私同様何言ってるんだって顔をしていた。
「いや、産後じゃないと出ないだろ、牛乳」
夕熾さんが崩れ落ちる。
「まぁ、受精したとしても生まれるまで時間かかるからな。とりあえず柵とかつくるか」
こうして魔牛乳事件は一旦幕を下ろした
わけがなかった。
翌朝、私が朝ご飯の準備をしていても夕熾さんが起きてこなかった。
「オルフィ、おはよってあいつまだなのか?珍しいな」
朝食の時間になっても夕熾さんが来ないのは珍しいのでした。
部屋に行ってもおらず、家の中を探してもいない。
「ったく、出かけるんなら一言言っていけってんだよ、なぁ」
メイオさんが朝食を待たされて不機嫌です。
朝は沸点低いんですよね。
「まさか、昨日すごいショックそうだったから……」
「ないない。あいつがそんな上品なタマかっての」
ひどい言われようでした。
「あれ、なんだ?」
窓の外を見たメイオさんが、素で驚いていて、私も目を向けると、
家より一際大きな建物が……。
「私の見間違えじゃ、ないよな?」
私は駆け出します。見覚えというか以前もこういうことがあったんですよね。
「ちょっ待て。なんだってんだよ」
後ろからメイオさんも続いてきます。
新しく建っていた建物の扉を開くと、乾燥させた牧草のロールの上に夕熾さんが寝ていました。右手にマグカップをもって口の周りに白いヒゲを残しながら満足そうに。
「あれから産後の牛?を探しに行ったってのか。なんていう執念」
メイオさんの見る方向には昨日とは違う固体がいました。




