【外伝】デートに行きます(強制 in 旦那side)
俺の名前はオニキス。竜の谷に住んでいる竜の一頭。黒の身体に銀色の翼を持ち平凡に大人になり、何れ誰かと結婚するだろうなと過ごしていた。
が、ある日俺は運命?いや不運の女神の悪戯によってとある人間の少女(自称:伯爵令嬢)と結婚することになってしまった。
…それから数か月で順応してしまった俺は…待て、今ちょろいとか言ったの誰だ
紆余曲折を経て貞操の危機を何度も何度も乗り越え気が付いたらその彼女が妻になっていた。
何言ってるかわからないって?大丈夫僕もわからない。
彼女が妻になって暫くの間はそれなりに警戒もしていたけど何事もなく平穏な日々を送り、彼女の奇行(ヤモリを突然揉んだり舐めたり・突然固まって動かなくなる等)にも慣れ適度な距離感で過ごせる様になった。
そんなある日、竜の姿で日光浴をしてそのまま眠ってしまった時の事…
◇◇◇◇◇
僕は人型で深い森の中を剣1本のみで進み隠された宝を探す冒険をしている夢を見ていた。
奥に進めば進む程森は深く暗くなり、出会う敵もどんどん強くなっていった。
もうすぐ目的の宝に辿り着く、と、その一瞬の油断と緩みを見事に狙われ僕は花の形をした魔物に襲われてしまった。
花の形の魔物は甘い匂いを撒き散らし僕を深い眠りに誘おうとしてくる。
ちなみにこのタイプの魔物は捉えた者を養分にする為に巣へ持ち帰り骨と皮になるまですべて吸い尽くすのが多い。簡単に言うと寝たら死ぬ。
「…ーっ」
ぎりりと自分の爪を左掌にくい込ませ血を流す痛みで眠気を吹き飛ばす、竜だから多少の傷は自分で治せるから問題ない。
だから、眠気さえ無ければ倒せると掌をそのまま治療せず片手で剣を構え魔物目掛けて大振りに振り下ろした。
「な?!しまった!」
ふわり。と踊る様に僕の一撃を躱した魔物は空いてしまった左側から回り込み僕の懐へ飛び込んできた。
甘い香りが顔周りに漂い頭がくらくらする。
花の魔物のはずなのに動きが機敏であっという間に僕の動きを封じ、首元に湿ったものが這い回りそうしてー…
ぶち
◇◇◇◇◇
「ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!」
人型の時には無いはずの鱗を引きちぎられる激痛で僕は夢から目を覚ました。
「あら?おはようございます旦那様」
「ぇ、ま、え???」
ジンジンと痛む首元+首の方から聞こえる押し掛け嫁の声=嫁鱗ちぎった
「旦那様、私デートというものがしてみたいのでお出掛けしませんか!!」
と言いながら首元に生暖かいものが這う感触…や、やられる…!!
「わかった、わかったから離れて話そう何処に何に行きたいって…!?」
と泣きながら訴えたのはしょうが無いと思う。
後から見たら生えてた鱗が1枚無かったぐすん。
そうして僕と彼女は初めてでーと?とかいうやつに出掛ける事になった。
でーとってそもそも何?彼女は「私に任せて下さい完璧に計画を立てました!」って言ってたんだけど…
物凄く不安なのは僕だけだろうか…
◆◆◆◆◆
そうして僕の背中に乗せて隣国の港町にやって来たのですが…何事かありましたー!!
港町ならではの海産物を食べたり食べたり食べたりしたのですが、彼女は海を見るなり…ウミアクアナだかイグアナだかを見つけるとか言って飛び込んで大騒ぎになった。
…素潜りできる伯爵令嬢ってこの世界の普通なの?違うよね、周りの人たちドン引いてたし
救助というか引き摺り出したというか、海から出てきた彼女は当然全身海水塗れ。
更に片手はウミヘビ(生きてる)を引っ掴んでいた。活き活きしてた。蛇も彼女も。
その後お土産を買いたいと駄々をこねる彼女を宥めて早々と谷に帰ってきたのは言うまでもない。
その後ちらっと聞いた話ではその港にずぶ濡れの女がウミヘビを連れて現れ、それを見た人を海に引き摺りこむという噂が流れていたらしい。
自らすすんで飛び込む女性はなかなか衝撃的だったらしくホラーな事件にされていた、僕含めてなのは解せぬ
……ここでの彼女を見たらあのくらいはまあ普通というか奇行の一種な訳で…………やっぱり僕は彼女に慣れすぎてしまったのだろうか………
「君のその興味があるものに対しての姿勢が凄すぎる」
と伝えた所、満面の笑みで
「ありがとうございます!!!」
とのこと。
(褒めてない!!!!!!そして伝わらない!!!!)
…………彼女は今日も元気です(泣)
わーいやっと旦那竜の名前出せたぞー
(わりと最初から決めてた)




