9話
とりま出来ました。
プロットの作成状況はまぁ、ぼちぼちです。ある程度は出来上がっています。
学校が再開されて時間がないです。
あと、カクヨムでも同時投稿できました。
その様な事もあり、ラーゼフは今までアルフレッドに甘く接してきた。アルフレッドの容姿と色彩が王妃に似ていたのも原因の一つだろう。
また、ラーゼフは王妃しか愛さなかった。側室を迎え入れる事すら拒否し、結局今の状況になってしまっている。『そう言う』視点で見ればアルフレッドに限らずラーゼフもまた、国王としては失格なのかもしれない。
◆◆◆◆
リエル達は婚約解消などについて、条件を付けることや、他の貴族達への説明をどうするか、などを決めることになった。
その内容はリエルが婚約の解消を条件付きで受け入れるというものだった。
その条件は
・エルミナ王国の貴族、またその関係者にリエルに一切の手出しをしないよう王命を出すこと。
・アルフレッドはエレノアと婚約し、エレノアの妃教育が完了、もしくはラーゼフが王位を立ち退かなければならなくなった場合に王位に就く。また、正妃はエレノアとし、エレノア以外の妃を娶ることはできない。
・エレノアは王太子の婚約者、そして正妃としての公務を懐妊などの事情がない限り全て自ら行わなければならない。
・アルフレッドも王太子、王として公務を自ら行い、放棄することは許されない。
・リエルはエルミナ王国貴族としての立場を完全に放棄する。また、貴族としての籍を消し、身分は平民となる。
・リエルは国外追放という形で国を出、10年国に帰ることは許されない。
と言うものだった。
条件といっても、婚約解消に関して、解消される側が解消する側に条件を出すことは珍しくない。それどころか出さなければ、出す側は出さなければ勿体ない、出される側は詫びもしないなんて、と、後ろ指を指されることになるのもしばしばだ。
「殿下、これで納得していただけますか?」
リエルはこれぞ完璧とでも言うように満面の笑みを浮かべて机から身体を離しアルフレッド達の方へ振り向いた。
「ちょっと待ってくれリエル! 国を出るつもりなのか? それに貴族籍を捨てるって……!」
リエルの出した条件に思わずレイドが口出しをする。リエルが出した条件は……それは……
「お兄様。それ以上は言わないでください。せっかくの……なんですか? 殿下」
「お前、何企んでるんだ?」
「ん? 何を言っているんですか? 別に何も考えていないと言う訳ではないですけど企んでなんていませんよ?」
リエルは白々しくも誤魔化そうとする。
「そもそもどうしてお前は私がお前に言おうとしていたことを殆どそのままいつもいつも言えるんだ!」
「あら、殿下も同じことを考えていたのですか? 奇遇ですね。それと殿下、殿下と私はもう婚約者と言う間柄ではなくただの公爵令嬢と王太子です。『お前』と呼ばれるのは令嬢に対して少しまずい気がするのですが……」
またリエルは口調などの話を入れて誤魔化した。
リエルは婚約破棄の条件を、アルフレッドの単純な考えを読んで推測した内容に自身の要望を、今まで見極めてきたアルフレッドが納得する範囲内に収め、完璧な状態で出した。まあ、条件の中にはエレノアやアルフレッドへの嫌がらせも入っている。だが、それもギリギリアルフレッドの許容範囲内だ。
と言っても客観的に見て、リエルの考えを知らない者は全てアルフレッドの望んでいたように思えるだろう。リエルの嫌がらせの条件も国の未来の為のように思える。
だが、レイド、そしてギデオンはリエルが考えていることに気が付いていた。
「リエル……お前まさか……!」
「お兄様。私、先程『言わないで』とお願いしたはずですが?お兄様は可愛い妹のお願いも聞いてくださらないんですか?」
リエルは若干不満な目をレイドに向ける。
ヘルグナー公爵家一家の家庭内カーストは一位が故・アリシアだ。私情と言う点ではギデオンですらアリシアには勝てない。
なぜならギデオンはこの国の辺境伯の令嬢であったアリシアを3年間も邸に通い詰め、ようやく娶ることが出来たのだから。
まあアリシアもなんだかんだ言ってギデオンの事は好いていた。だが、そのアリシアの父が結婚を許さなかったのだ。
◆◆◆◆
アリシアの実家、辺境伯家はエルミナ王国では侯爵位に相当する。
また、エルミナ王国での公爵家が担っている役割は、領地の管理の他に、王族は近親婚をしやすいので、公爵家にある程度薄めの血筋が流れている者を嫁がせ、王族の血を少しでも薄めさせるというものなのだ。
そして辺境伯家にはここ数代、王家の者、または王家の濃い血を引く者を血縁に迎え入れていない。
侯爵相当で王家の血もある程度薄い。まさにお似合いとしか言えない組み合わせだ。
だが、その娘を辺境伯は溺愛していた。学園に入学するまでに公の場に出たのは10歳の社交デビューの時の一回のみ。余りに公の場に出ないせいで『辺境の氷妖精』と呼ばれるようになるほどに。
『氷妖精』と言われているのは、そのまるで氷のような銀髪の髪に、俗世には興味が無いとでも言うような、愛想笑いしか浮かべていない顔、そしてどこか無機質なアリスブルーの眼、その浮世離れした態度と容姿、滅多にその姿を見ることが出来ないことに由来する。
アリシアが学園に入りギデオンと出会い見初められ、在学中の猛アタック。そして3年間の通い詰めでようやくアリシアもギデオンとの婚姻を結ぶことに同意した。
そしてそんなアリシアの説得で1年後、ようやくギデオンとアリシアの婚約が成立し、その1年半後、2人は結婚した。
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