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Fランク魔王と魔眼メリエス  作者: はかまだ
一章 【独立】
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4話 攻略開始

 遺跡を攻略するにあたり色々と策を練ろうとしたんだけど、レイミーの処遇をどうするか。

 まずは、その解決を優先する事にした。


「お嫁さんは無理だけど、パートナーなら条件次第でなれるかもしれないよ」

「な、なれるんですか! パートナー! 教えてください、言ってください! その条件をっ!」


 ああ、またこうなっちゃう。

 寡黙で恥ずかしがり屋なレイミーの印象は、もう跡形もなく崩壊しちゃったよ。


「条件自体は簡単」


 魔王が持つ、魔導書(ブック)の機能には、様々なものがある。

 地味に収納が一番重宝したりするんだけど、手駒となる使い魔は、魔導書(ブック)がないと契約出来ないし召喚も出来ない。


 レイミーに出す条件とは、魔導書(ブック)機能のひとつ【傘下同盟】への加入と、情報の制限。


「どんな条件でもクレアさんに差をつける為です! 言ってください!」


 やっぱり私情しかないのかもね。

 まあでも、この条件を飲むと言うのなら問題なさそうだ。

 元クラスメイトをこの手で殺めずに済むかもしれない。


「魔王規約による、魔導書(ブック)での傘下同盟に入ってもらう、ってのが条件。同時に、僕の能力について他言しない事も含んでもらうよ」


 要は、魔王のまま僕の部下になってくれと言ってるのだ。


「え、そんな事でいいんですか? 入ります、入りますよ! それってネルさんのそばに置いてくれるって事じゃないですか~」


 まさかの即答。

 満面の笑顔で。


 幼さが残っているせいで、邪気のない純粋な印象をより強くさせている。

 それだけで、彼女の言葉には嘘がないのだと思い込まされてしまう。


 それに、こんな不利な条件だと言うのに、まったく問題が無いようだ。

 魔導書(ブック)を広げて契約するその顔は、次第にだらしない笑みへと変貌していく。


 ひとまずこれで、レイミーの処遇は決まった。


 それはそうと、右眼から無言の圧力がかけられているような気がするんだよね。

 時折、ズキンと古傷が疼くような感覚に襲われる。


 メリエスのご機嫌は傾いたまま。

 そんな怖気を抱えながらも、僕はレイミーと正式に同盟関係になり、遺跡攻略の作戦を本格的に練る事にした。



 ◆



 森を抜けると、一目見ただけで巨大と分かる遺跡が広がっている。

 1か月前に下見した時は、誰も棲みついていなかったと思う。


 魔導書(ブック)から50匹の魔改造スライムを召喚し、液体化。

 偵察部隊として、その全てを遺跡内部へと放っておく。


 それはそうと、色々と僕の能力を垣間見た事でレイミーの興奮が再燃しているようだ。


 転位眼で封じた魔力は、元通りに修復してあげ、そしてスライムが地面に吸い込まれるのを見て僕の事を絶賛している。


「す、すごいですよネルさん! やっぱり色々な秘密を隠していたじゃないですかぁ!」

「ちょっとレイミー。あまり大きな声で能力の事に触れないで欲しいんだ。契約違反はランク剥奪になるし、そうなるともうクレアの足元にも及ばなくなるよ?」

「ひぃっ、しゃ、喋りません! もちろんこの事は秘密ですよ! はい」


 うん、分かってくれたようだね。

 しかし、物わかりがよろしい、と思ったのは束の間だった。


「でもでも、まさかネルさんの魔眼がそんな恐ろしい力を放つなんて……それだけじゃなく魔術(ガルドラル)も2系統からの能力なんて反則ですよ~」


 羨ましいのか、ただ僕を褒め讃えたいのか、それとも秘密を共有したと自慢げに語りたいのか。


 だけど、転位眼については説明がまだだったね。


 あれは【ありとあらゆる情報を転位】させる能力。

 要は、Aと言う情報とBと言う情報を瞬時に入れ替えるものなんだ。


 レイミーにかけた例で言うと。

 体を流れる魔力って言うのは、基本的に血液と同じように循環している。

 そこで、転位眼は『血流と同じ流れ』と言う情報を『血流と逆の流れ』と言う情報へと転位させたのである。


 これにより、異常を来したレイミーの常体魔力が機能不全。

 更に脳に激しい船酔いのような、耐え難い不快感が襲い気絶に至らしめたのだった。


 これを聞いたレイミーは、大袈裟にウンウンと頷きながら手を叩いた。


「さすがです! 凄いですよその魔眼!」


 すなわち、レイミーの魔力情報を一部破壊したのだ。


「それにこのスライムなんなんですかぁ! もしかして、2年生の時に治療してくれてたのって、このスライムなんですか?」

「ああ、うん。そうだよ。そいつは治療専門のスライム。これの種明かしはまた今度ね。どうやら、遺跡の魔王が動き出したみたいだ」


 薄緑色をしたスライムに頭以外を包まれて、レイミーは治療に専念してもらっている。

 かすり傷と打ち身程度なら5分くらいで完治しそうだね。


「血盟により契約せし我が化身 ここに顕現し配置につけ!」

「治療が終わったら、わ、わたしも戦います! ネルさんには指一本触れさせませ……ん、から……って、な、なんですか、これぇぇぇ!」


 一気に大量のスライムが姿を現す。

 名付けて【攻略スライムセット】である。 


 こちらの戦力は先に潜り込ませた、性質を変える【ディジェネスライム】が50匹。

 これが遊撃隊。


 さらに【カタパルトスライム】が10匹に【バレットスライム】が1000匹。

 僕の手に【ガンスライム】1匹と、腰袋に【ヘヴィバレットスライム】が100匹。

 これが、メイン火力。


 そして【ゴーレムゴブリン】10匹を僕の周囲に配置する。

 で、これが僕を守護するディフェンダーだね。


 もちろんこれら全ては、僕とメリエスで魔改造した使い魔だ。

 これだけあれば相手の出方を窺いつつ、戦いを有利に進められるはず。


 危なくなった時は、僕とメリエスが出張ればいいだけ。

 巨大遺跡のダンジョンだけに、攻略には時間がかかりそうだけどね。


 レイミーも【ヒーリングスライム】での治療を終えて自分の使い魔を召喚した。


「ダンジョン攻略に最適のドラゴンがこの子です!」


 姿を見せたのは、これまたAランクの【クエイクドラゴン】だった。

 小型で鼻っ柱に鋭いドリルが三つ生えている。


「じゃあ行こうか」

「はい! これが2人の第一歩ですね!」


 訳の分からない事を言っているが、無視するのが正解だと思う。


 ともあれ、僕たちの大軍勢は一気に遺跡の入り口を包囲して、攻略に乗り出したのだった。

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