38/93
042⚫️暗殺計画
なに、ベルス?!
妻の仇を討つつもりはないか、だと?
王が商人になりすまして、巡幸している?
供はひとりだけ?
間もなくここにやってくる?
……王の暗殺か?
そうだ、バルハイン!
皇太子に仕えたわたしが、ラグナを屠る!
ふん、今はレグナスと名を変えたのだったな。
既に仲間も集めてある。
軍勢規模は無理としても
相手が油断していれば容易い。
貴殿も加わらんか?
ベルス……
怨みでことを為すことは誤りだ。
見よ、今の王国を。
レグナスの下、やっと穏やかな日々が戻ってきたのだ。
先王の血まみれの過去と
現王の狂乱の侵攻を経て
民衆が息をつき、豊かになりつつこの状況を
貴殿は力で覆そうというのか。
たとえ正義の平和ではないとしても
たとえ恨みの根が地中深く眠っていようとも
束の間であるとしても平和と自由は戦乱と抑圧に勝る。
わたしは貴殿の誘いに乗るわけにはいかぬ。
さらばだ……。
だが、バルハインが部屋から出ることは叶わなかった。
剣はベルスの配下に預けていた。
秘密漏洩を防ぐため、監禁されたのである。




